クリストファー・M・ウイブル編集、稲継裕昭翻訳「公共政策: 政策過程の理論とフレームワーク」(2025年4月、成文堂)を紹介します。
原著は1999年に初版が出て、この翻訳は2023年の第5版です。学生、研究者、実務家にとって公共政策研究・政策過程研究の入口となる書であり、最も定評がある教科書とのことです。
行政学や公共政策論については、日本の学者も本を出していますが、諸外国の動向は意外と紹介されていないのではないでしょうか。もちろん日本の行政の仕組みや特徴を知ることが重要ですが、諸外国と比較して日本の特徴を知ることも重要でしょう。
訳者はしがきで、稲継先生が次のようなことを述べておられます。
「アメリカで始まった理論の実証的適用が、欧州諸国のみならず、南米やアジア諸国、さらにはグローバル・サウス諸国へと広がりを見せている。そのような中で、日本の事例については、国際的なジャーナルへの投稿が極めて少なく、(自戒の念も込めて)海外へ発信されていない。2024年に『Public Administration in Japan』(Palgrave Macmillan)を出版した際、海外の学者から「日本の行政はこれまで謎だった」などと指摘された。具体的適用例についてはなおさらだ。だが、日本は事例に富んでおり、本書の諸理論を適用して分析すれば、国際的には非常に注目される実証研究となることは言うまでもない」