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社会

変わる日本の労働慣行

6月18日の日経新聞企業欄に、「採用新時代 会社が変わる 背水の「適所適材」 スキル重視、「日本型」転換 人材争奪 世界の土俵で」が載っていました。新卒一括採用などの雇用慣行が変わりつつあることの報告です。

・・・「営業の仕事はしたくなかった」。三井住友海上火災保険に2019年春に入社した松下真彩さん(22)はこれまでの新入社員の常識とは違った言葉を口にする。
保険会社の新人は営業の基礎をたたき込まれるのが一般的だ。同社に今春入社した約450人の新卒の多くも営業職として社会人のスタートを切った。ところが松下さんが配属されたのは債券や為替などの金融商品に投資する「投資部」。専門分野に配属されたのは15人という狭き門だ・・・
・・・三井住友海上は保険商品を設計するアクチュアリー(保険数理人)など専門4分野を対象に「スペシャリスト採用」を始めた。京都大学や留学でファイナンスなどを学んだ松下さんは大手商社の総合職の内定も獲得した。三井住友海上を選んだのは「確実に投資部門に配属される」からだ。
給与や残業もあり得る働き方など、松下さんの処遇は他の総合職と大きく変わらない。しかし希望し続ける限り投資に関連した部署に在籍する。同社は「スペシャリスト採用の枠を広げることを検討する」という・・・

・・・経団連が推進するのが「ジョブ型」雇用だ。働く人が専門性やスキルを基に仕事内容や勤務場所を決める欧米で主流の制度だ。会社の仕組みをジョブ型に転換する動きも広がり始めている。
オリンパスは4月、国内にいる約1800人の全ての管理職を対象にジョブ型人事制度を導入した。管理職への30代の抜てきや外国人社員が日本の本社の事業責任者級に就く例が目に見えて増えてきたという・・・
・・・欧米のジョブ型雇用にならい、個人の役割や必要なスキルを大まかに記したジョブディスクリプション(職務記述書)も定めた。報酬は職務で決まり、必ずしも給与は右肩上がりではなくなった。年功序列時代とはまた違った緊張感が社内に生まれているようだ・・・

そうですよね。みんながみんな総合職や一般職である必要はないですよね。いままでが、おかしかったのではないでしょうか。
役所でも、事務官と技官(技官の中は細かく別れています)、上級職と中級・初級職といった、分野別の区別が昔からあります。
もっと、専門分化してもよいと思います。採用時から、あるいは一括採用してからです。「何でもこなす」では、この時代に生きていけません。

一人暮らしの高齢者を支える、フィンランド

高橋絵里香著『ひとりで暮らす、ひとりを支える』(2019年、青土社)が、勉強になりました。文化人類学者による、フィンランドの高齢者ケアの体験と分析です。

欧米は、日本に比べ、家族が一緒に住まない、一人暮らしが多いと聞きます。では、その場合の高齢者介護は、どうしているのか。著者は、ある町を調査対象として、実際に高齢者ケアに参加し、日本との比較をします。

元気なうちは良いのですが、誰しも衰えが来ます。その際に、どのような援助をするか。なるべく本人の意向を実現するようにします。すなわち、高齢夫婦だけの暮らしや一人暮らしを、町が支援するのです。

日本では2000年に介護保険制度を実施し、高齢者への介護サービスは充実してきました。また、予想以上に利用されています。
その次の課題が、最後(死)の迎え方だと思います。この本では、蘇生措置拒否が紹介されています。本人のほか医師も、蘇生措置拒否を決定することができます。
多くの人に、その決定がされているとのことです。体調を崩した場合、拒否していない人は病院に運ばれ、拒否者は緩和ケアになります。
この項続く

家族の形の多様性

セサミストリートって、ご存じですよね。かつて、NHKでも放送されていました。6月8日の朝日新聞1面に「ひらけ、セサミの多様性 TVの枠超え、学校教育に 番組50年」という記事が載っていました。

ここで紹介したいのは、多様な子供たちが出てくることです。
自閉症、親が離婚・再婚し義理の兄弟がいる子供、父が戦地で負傷し車いす生活になる子、ホームレスの子、生まれたときからHIVに感染している子・・・アメリカ社会の現実を反映しているようです。

理想的な人生や家族を教えることも重要ですが、みんながそうなるわけではありません。現実を教え、その際の対処方法も教えるべきです。

日本の若者「日本は良い国」

日本財団が、18歳の意識調査を続けています。
第14回は「海外と日本について」です。17歳から19歳の男女1000人から、回答がありました。
なお、海外渡航経験は半数の人にあります。もっとも、多くは旅行でしょうから、どのように知識を得ているかはわかりません。それは、多くの大人にとっても同じですが。

日本をよい国だと思う人は77%、思わないは7%です。かなり肯定的です。理由は、平和、治安がよい、安心で住みやすいなどです。
よいと思わない理由は、差別、不平等、働き方、生きにくいです。

日本が世界に誇れるものは、アニメ漫画、和食、景色や自然、治安の良さ、平和です。
他の先進諸国に比べて日本に欠けている点は、男女平等、外交力、経済力、教育水準、政治的影響力です。
戦後日本が達成した、高い経済と教育が低い評価になっています。これは、半分正しいと思います。二つとも世界最高水準を達成しましたが、その後、低下している実態を、若者は感じているのでしょう。

キャッシュレスの便利さと心配

6月1日の読売新聞解説欄で、スウェーデンのキャッシュレス事情を伝えていました。「キャッシュレス 民間が主導
現金お断りの店や博物館、券売機などが紹介されています。
同じく3日には、各国のキャッシュレス決済比率がグラフになっていました。ドイツが16%、日本が20%、アメリカは46%、スウェーデン52%、中国60%、イギリス69%、韓国は97%です。

確かに、カード払いは便利です。私も、飲食店や本屋ではクレジットカードで、コンビニでの買い物は電子マネー(スイカ)済ませます。電車に乗るのは、スイカで便利になりましたよね。いちいち切符を買わなくてすむし、ほとんどの私鉄でもバスでも使えます。小銭を持ち歩かなくてよい、おつりをもらわなくてもよいので、便利です。現金で払うのは、お医者さんくらいですかね。
海外旅行でも、便利です。ユーロはまだしも、ハンガリーのフォリントや、チェコのコルナに両替して、出国する前に小銭を使い切るのは面倒です。そして、種類が増えると面倒な上に、あちらの貨幣は部厚くて重いです。もっとも、あちらでは無料の公衆トイレは少なく、おばさんが座っているので小銭が必要です。

ということで、私は現金払よりカード払いに賛成なのですが。一つ気になることがあります。子供です。彼らがカードを持って、紙幣や貨幣での買い物をしなくなると、計算が上手にならないのではないかと心配しているのです。
もう一つは、お小遣いや貯金です。もちろん、これらもカードでできないことはありませんが。紙幣や貨幣を見ずに、スマホの上での数字だけで、お金のありがたみが実感できるでしょうか。
電子機器の発達で便利になるのはよいのですが、子供の発達や学習に悪い影響はないでしょうか。いかに機器が発達しても、簡単なお金の計算は、頭でしなければなりません。
もちろん、多額、多数の数字の計算は、電卓やコンピュータに任せると便利です。しかし、日常生活に必要な暗算は、電卓に置き換えるわけにはいかないのです。