先日紹介した、「幼児のライター遊び」の続きです。鈴木主任研究員は、さらに詳しく分析しています。子どもが火遊びで死亡した事例の6割は、大人が不在の時に発生し、夜間の場合はその割合がさらに高くなっています。また、核家族や片親が多いです。親が在宅していても、寝ていた場合もあります。
もっと驚く分析もあります。母親の第1子出産時の年齢を推定すると、20歳代前半が一番多く、次に10代です。その次が20歳代後半です。しかし、全国平均では20歳代後半が最も多く、近年ではその次は30歳代です。母親が若い家庭に、子どもの火遊び事故が多いという結果が出ています。親にかまってもらえない子どもが、親の気を引こうとして火をつけたとするなら、悲しいことです。子どもの火遊びを防ぐには、子ども本人より、親への啓発が重要なのです。ライターの保管を考えても、親の責任でしょう。
さらに、1歳から4歳までの子どもの事故死を分析すると、1位が交通事故、2位が溺れること、3位が窒息で、4位が火災なのです。転落や転んだりが、5位です。しかし、母子健康手帳には、誤飲、転落や転倒、やけど、溺れる、交通事故の記述はあっても、火遊びは、まだ書かれていないのだそうです。
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幼児のライター遊び
幼児がライター遊びで、焼死するニュースが続いています。いたましいことです。私はニュースを聞いた時、「3歳の子どもがライターをいじって、火をつけるなんてできない」と思っていました。しかし、今や火遊びの火災は、3歳から11歳の子どもが中心で、その手段のほとんどがライターなのです。しかも、3歳の子ども、特に男の子が圧倒的に多いのです。
消防庁消防技術研究室の、鈴木恵子主任研究員に、教えてもらいました。鈴木主任研究員はいろいろ論文を書いておられますが、インターネットで見ることができる簡単なものとして、経産省の審議会の資料を挙げておきます。これについては、昨年(2009年)12月5日の朝日新聞にも、大きく取り上げられました(鈴木さん、早くホームページを作って、載せてください)。3歳は、火をつけることはできるが、逃げることができない年代だそうです。その家庭環境についても、興味深い分析がされています。
鈴木さんは、さらにショッキングな分析も、しておられます。住宅で焼死する被害者は高齢者が多いということは、皆さんご存じだと思います。では、次に多いのは、どの社会集団・階層でしょうか。私はびっくりしました。これについては、また次の機会に紹介しましょう。
消防大学校長の喜び
昨日の幹部科に続いて、今日は、救助科で校長講話をしました。救助科の学生は、危険な場所で被災者や逃げ遅れた人を救い出すプロです。テレビで、ロープを伝って救助する場面をごらんになったこともあるでしょう。あの屈強な強者たちです。といっても、大学校に入学するのは、若者ではなく、後輩を指導する立場の人たちです。今回の60人は、平均年齢37歳です。昨日の入校式といい、今日の授業中といい、姿勢は正しく、動作は機敏、挨拶や返事も大きなはっきりとした声で、ほれぼれします。
ところで、私は大学3年の時に、ある授業にショックを受けました。もう35年も前の話です。たぶん、法学部31番教室だったと思います。名物教授ということで、必須科目ではなかったのですが、履修しました。第1回目の授業で、私にとっては、つまらない話をされました。「これが東大法学部教授か」と、がっかりしました。ところが講義が終わる際に、先生がおっしゃいました。「今年の学生のできは、いまいちだな」と。「笑うべきところで、笑わない、反応がない。私は何年も授業をしているが、今年の学生のヴィンテージは、良くないね」と。同じブドウ畑でワインを作っても、できの良い年とそうでない年があります。先生は、私たち学生をブドウとワインにたとえられたのです。
同じように、授業をしていて学生の反応がよいと、うれしいですね。今になって、石川吉右衛門先生の授業を思い出します。
消防大学校も新学期
今日は、幹部科と救助課の入校式がありました。いよいよ、授業が始まります。私も早速、校長講話をしました。明日もあります。今日は、久しぶりに快晴で、桜がきれいでした。チューリップも、花を咲かせ始めました。散った桜の花びらの海に、浮かんでいます。昨日と一昨日は、多くの学校で入学式があったらしく、街でピカピカの一年生と着飾ったご家族を、たくさん見かけました。満開の桜は、ぴったりですね。
災害の映像アーカイブ
消防庁が、防災についての知識や、災害時にどう行動すべきかを学ぶことができる、ウエッブサイトを作っています。例えば、大地震を3日間生き延びる方法や、津波の時にどう行動すべきかなどです。子供から大人まで、市町村職員や消防団員までもが、勉強できるようになっています。
「防災・危機管理e-カレッジ」です。
今回、内容が追加され、また「災害の写真や映像」が掲載されました。災害の怖さや被害のひどさは、口でしゃべるより、絵で見た方がわかりやすいですよね。例えば阪神淡路大震災から15年経ち、知らない人も増えています。被災された方にとっては、見たくない、思い出したくないことでしょうが、次なる災害に備えるために、ご協力を頂いています。
このサイトには、動画や写真が、200点載っています。一度ご覧ください。また、これらは、自由に使って良いとのことです。講演などに使うには便利な、アーカイブができました。