22日の朝日新聞「けいざいノート」小林慶一郎さんの「政治と経済政策」から。
・・市場の競争機能を高め、市場の力を尊重し活用しながら不公正をなくしていこうとする自由主義的な人々と、市場ルールに介入してゆがめることに躊躇せず、財政資金の再分配で政治をしようとする人々が、与党にも野党にも混在している。時代の状況によって政治の方向が大きく流されるのは、こうした思想的混在によって政党の意志を明示的に統一できないからではないのだろうか・・
自由主義とは、為政者(政治家や官僚)の理性や能力には限界がある、という謙虚な認識から出発する。為政者の理性には限界があるから、個々の国民が、市場で自由に生活を立てるしかない。そのためには、市場をできる限りフェアで自由なものにするしかない、というのが自由主義的思想の筋道だ・・
「政治の役割」カテゴリーアーカイブ
行政-政治の役割
中間権力の重要性
3月17日付け朝日新聞「報道と人権委員会」が、政治資金規正法違反事件について検察の捜査とメディアが批判を受けたことに関して、議論していました。その発言の中から。
長谷部恭男東大教授:権力は一元的であるべきか、多元的であるべきかという点について、人々の思いが一元化の方向に流れている。司法・検察やメディアを、民主的な正統性を与えられた権力とは違った中間権力と位置付け、多元的にバランスを取るのが良き社会というイメージがあったが、総選挙で政権が交代した後、権力の正統性は一元的に政府、政権に集中すべきだという危険な声が広がっている。国政選挙に勝つための「政治」と、国民の利益や国益を実現して維持するための「統治」が混同されている・・
中間権力の重要性
3月17日付け朝日新聞「報道と人権委員会」が、政治資金規正法違反事件について検察の捜査とメディアが批判を受けたことに関して、議論していました。その発言の中から。
長谷部恭男東大教授:権力は一元的であるべきか、多元的であるべきかという点について、人々の思いが一元化の方向に流れている。司法・検察やメディアを、民主的な正統性を与えられた権力とは違った中間権力と位置付け、多元的にバランスを取るのが良き社会というイメージがあったが、総選挙で政権が交代した後、権力の正統性は一元的に政府、政権に集中すべきだという危険な声が広がっている。国政選挙に勝つための「政治」と、国民の利益や国益を実現して維持するための「統治」が混同されている・・
国際貢献
19日の朝日新聞は、イラクでの世論調査を載せていました。自衛隊の2年半の駐留については、良かったが79%です。自衛隊の活動が役に立ったかは、77%の人が肯定的です。自衛隊が駐留して日本に対する見方が良くなったという回答は74%でした。うれしいですね。
ところが、朝日新聞は、この調査結果は3ページ目で小さくコメントし、データは7ページ目に載せています。一方、1面では、工事が手抜きであることを、写真付きで大きく伝えています。ちょっと見ただけでは、イラクでの自衛隊の活動は大きな問題があったのだと思ってしまいます。この扱いを、バランスを失していると考えるのは、私だけでしょうか。
政治の存在意義
17日の読売新聞・地球を読むは、佐々木毅先生の「新前川レポート」でした。
・・グローバル化時代における政府の役割は、経済環境全体の大きな変化の中で、限界はあるにしろ、まずは国民に一定程度の安定感を与えることを通して、社会の生存能力を維持することである。
言い換えれば、日々疾風怒濤の中に置かれているグローバル企業の動向から、一定程度自立した社会空間を国民に提供することが政府の役割であり、国民を漫然とこの疾風怒濤の中に投げ込んでいるのでは、存在意義がないことになる。それでは、グローバル化と民主政治を抜き差しならない対立関係に導くことにつながる。
先に触れた旧来のシステムの解体の結果、何が起こったかというと、それは比喩的に言えば、社会の信用創造の慢性的な劣化であった。過度の癒着の排除の後に登場したのは、バラバラの中での相互不信、相互無関心の増殖であった。官と民、中央と地方から株式市場に至るまで、究極的には少子化に至るまで、この劣化は至る所に深く根を張っている。
これは、経済や社会の前進を阻むゆゆしい兆候である。この立て直しは基本的に政治の課題であり、それは最終的には、政府の存在意義の確立を通してのみ実現可能である・・