日経新聞1面連載「戦後70年、これからの世界」8月11日は、佐々木毅・東大名誉教授の「政治主導、ルール明確に」でした。「官僚主導から政治主導に変わりました」という問に対して。
・・・政治主導とは政治家主導だと多くの政治家が思ってしまっている。問題は政権党が公約で約束したことに沿って行動するかどうかだ。
政治家と役所の役割分担は非常に難しい問題だ。大臣・副大臣・政務官チームと役所チームがどうつながるかをもう少しルール化しないといけない・・・
新聞記事と、インターネットの記事、さらには映像とは、表題も内容も一部異なっています。新聞(インターネット)の記事とともに、ネットの記事、映像での語りもご覧ください。
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行政-政と官
国会審議、待機と答弁案作り
財務省文書課の国会答弁担当室長の高田君が、「国会業務の改善へ向けて」を書いています。霞が関の官僚が、国会審議のためにどのような仕事と生活をしているか、お読みください。日本で最も生産性の低い仕事の一つだと、私は思っています。いずれ、政治主導が進めば、この風習はなくなると予想しています。
自民党、大島理森復興加速化本部長
自民党復興加速化本部の大島理森本部長が、今日、衆議院議長に選出されました。
大島本部長には、自民党が政権復帰し、加速化本部長に就任されて以来、お世話になりました。あの厳つい雰囲気で、皆さんだまされます(本人もそれを楽しんでおられるようです)。週刊誌などでは、「悪代官」と書かれていますが、やさしい方です。呼び出しを受けて説明に行くと、地元や省庁の意見を、じっくり聞いてくださいます。また、被災地にも何度も足を運んで、実情を見てくださいました。その上で、的確な判断を下されます。ときには、テーブルを叩くという「演技」もなさいますが(苦笑)。
本部長就任直後、2013年1月ごろのことです。「全勝統括官、まずしなければならないことは何かね」とのご下問がありました。「あれもこれも・・・」と説明したら、一喝されました。「優先順位の高いのは何か」「被災者は何を望んでいるのだ」と。「そりゃ、住宅ですわ」と申し上げたら、「年内に、住宅を完成させよ」とのご指示。「3年目の冬を、仮設住宅で越させてはいかん」。
「無理です」と答えたら、なぜかを説明させられました。納得してもらうと、次には「年内に、住宅のめどを立てよ。避難者に、いつ頃どこに入居できるかを示せ」との指示でした。これが、与党の第1次提言「復興加速化のための緊急提言~震災三年目の冬を希望持って迎えるために」です。
復興庁はその提言を元に、関係省庁や自治体と一緒になって、何よりも住宅再建を優先し、予算も職員も作業も、ここに投入しました。逆に、公園や箱物、集団移転跡地整備などを後回しにしました。批判も受けましたが、私は正しかったと考えています。
もう一つは、原発被災地復興の方針転換です。民主党政権時は、「避難者全員に一日も早く帰還していただく」というのが、政府の方針でした。しかし、時間とともにわかってきたのは、放射線量の高いところは当分の間、帰還は困難だということです。大島本部長の判断は、「避難者を、いつまでも、不安定な状況に置いてはいけない」でした。これが、第3次提言「原子力事故災害からの復興加速化に向けて~全ては被災者と被災地の再生のために」です。すなわち、早期に帰還できる地区や人には、それを急ぐこと。帰還を待つ人には、そのための住宅を建てること。そして、新しい生活を選ぶ人には、その支援をと、大きく3つに分類して、支援の方向を打ち出していただきました。これもまた、大きな政策変更でした。
政府・行政は、一度決めた決めた方針に沿って、平等・一律に政策を進めます。方向転換や、優先順位を付けることが不得手なのです。そこを、与党・政治主導として、補ってくださいました。
衆議院議長に就任され、自民党復興加速化本部長は外れられます。この2年余りの間、政府与党一体の政策遂行、政治家と官僚の協働と役割分担の見本を、示していただきました。ここに書けないことも多いですが、その一端を皆さんにお見せしました。感謝を込めて。
内閣法制局の役割
朝日新聞3月25日オピニオン欄「法制局 番人の未来」。石破茂・自民党幹事長の発言から。
・・政治家はこれまで、集団的自衛権が行使できないことをもっぱら内閣法制局のせいにしてきました。「私たちは行使を容認したいのだが、法制局が認めない」というのは、政治家のエクスキューズ(言い訳)だった。憲法によって「国権の最高機関であり唯一の立法機関」と位置づけられる国会の構成員として、一種の自己否定なのではないかと思います・・
・・内閣法制局は設置法によって「内閣に意見する」ことが任務とされており、議員立法に対して意見する権限を持ちません・・
・・そもそも集団的自衛権の行使が、わが国の自衛権として認められている「必要最小限度」に当てはまるかどうかは、安全保障政策上の判断であって、内閣法制局が憲法解釈として決めるべきことではありませんでした。「政策判断の問題だ」とすればよかったのに、歴代政権と内閣法制局が憲法解釈の世界に持ち込んでしまったことが誤りだったのではないでしょうか・・
同じく、福田博・元外務省条約局長、元最高裁判事の発言から。
・・その原因は東西冷戦時代に、自衛隊や在日米軍基地といった政治的にやっかいな問題が国会で議論されると、政治家が内閣法制局長官に答弁を丸投げしたことにあります。その結果、本来政策を語るべき政治家自らが、内閣法制局の法律論に振り回されているのが現状ではないでしょうか・・
・・また内閣法制局を「憲法の番人」などと言うのは間違いです。違憲審査権はあくまでも司法にある。民主主義は多数が決める政治ですが、その民主主義が行き過ぎた時にそれに歯止めをかけるのが司法の役割です。内閣の一部門である法制局に、暴走の歯止めをかけさせようというのは、土台無理なのです。
戦争を防ぐには法制局の憲法解釈ではなく、真に民主的な選挙で選ばれた政治家によるシビリアンコントロールこそ必要なのです・・
国会対応、職員の長時間残業
28日は、午前中に参議院本会議で、平成24年度の決算が審議されました。復興庁担当の質問は少なかったのですが、最後の質疑者の質問が判明したのが、27日の24:00でした。その中に、復興庁が担当する総理答弁があったのです。職場に残っていた職員が、大至急で答弁案を作ってくれました。それも3つの班にまたがる問なので、それを調整して、私の携帯に送られてきたのが25:28でした。24時に質問が判明するまでの間、霞ヶ関では、膨大な数の職員が待機していたのでしょうね。
復興庁では、国会班が目星を付けて、当たらないだろうという班には帰宅を許し、連絡が取れるようにしてありました。目星が当たって、残っていた職員で案を作成し、それぞれの班の責任者の確認を受けて(たぶん携帯メールで)、私に送ってくれたのでした。もちろん、私は熟睡中で、着信音で目を覚まし、携帯メールで文章を確認し、「了解」と返事を打ちました。原案のできが良かったので、一発回答でした。しかも、国会班は「たぶん、岡本統括官は寝ているだろう」と推測し、24:00の段階で、「質問が当たったので、答弁案ができたら送ります」という予告メールを送ってくれました。でも、そのメールを見ても、再び熟睡。朝、職員に「何時間寝たの?」と聞くと、ある職員は「3時間」、別の職員は「2時間」とのことでした。
この労働状態は、国民の皆さん、特に民間企業の方には、恥ずかしくて言えない話ですね。