カテゴリーアーカイブ:復興15年

企業による復興支援

2026年3月31日   岡本全勝

3月13日の朝日新聞に「復興支援の「隙間」埋めた企業 135億円拠出、三菱商事の財団が今年解散へ」が載っていました。
・・・東日本大震災の復興支援のために三菱商事が立ち上げた復興支援財団は震災から15年となる今年、その役目を終えたとして解散する。拠出総額は135億円と一企業としては異例の規模だ。国や行政ではできない「隙間」を埋めるような支援を企業として続けた・・・
・・・三菱商事復興支援財団は12年春に設立。三菱商事が震災直後に作った基金を使って被災地支援に取り組み、同社の拠出総額は135億円に上る。財団は学生向けの奨学金や助成金も出してきた。ただ、企業による支援ならではの取り組みが、20億円をあてた「産業復興・雇用創出支援」で、投資(出資)や融資による支援をした。
財団の代表理事も務める三菱商事の野島嘉之・常務執行役員は狙いをこう話す。「寄付だと実行後に基本的に関係も終わる。中長期でどうコミットしていくかを考えた」
投融資で支援先企業を育てる一定の責務も財団が負う。財団は経営への相談にも乗ったほか、三菱商事グループで販路の紹介もしたという・・・
・・・財団は計50件の投融資を実行。このうち45の支援先が今も事業を続けている。ただ、復興も徐々に進む中で、活動も縮小。19年には新規投融資を終え、財団も今年中に解散する予定だ。

震災の復興は一義的には行政が担う。そのうえで、企業の復興支援とはどうあるべきなのか。
野島氏は「企業は行政よりフレキシブルに、ある程度リスクを取った形で協力していく補完的な役割があるのではないか」とする。そしてこう続ける。「財団の資金がそうした隙間を埋めるような役割を果たせたと期待をしている」

東日本大震災の復興支援には多くの企業が取り組んだ。義援金などの金銭的な支援だけではなく、長期にわたる支援や他団体との協働など、中身の多様化が進んだ。
長期支援には宅配大手のヤマトホールディングスも取り組んだ。ヤマト福祉財団は11年7月から「東日本大震災生活・産業基盤復興再生募金」を開始。集めたお金を被災地の産業復興や振興などの助成にあてた。対象事業数31件、助成総額は142億円超にのぼった。
国や自治体、地域に根ざしたNPOとの協働も盛んだった。製薬大手の武田薬品工業は、認定NPO法人「日本NPOセンター」に総額12億円を寄付して「タケダ・いのちとくらし再生プログラム」を立ち上げた。社会的弱者に対する福祉・保健支援や、雇用創出に動く約430のNPOなどに助成するなどした。
復興庁はこうした事例を「東日本大震災の教訓継承サイト」にまとめている。担当者は「今後起きる災害でもこうした教訓やノウハウを生かしてもらいたい」と話す・・・

「災害ケースマネジメントに基づく 被災者支援ガイドブック」

2026年3月25日   岡本全勝

一般財団法人ダイバーシティ研究所が、「災害ケースマネジメントに基づく 被災者支援ガイドブック」を作成しました。無料でダウンロードできます。

災害時に被災者支援に携わる自治体職員、福祉・医療関係者、NPOやボランティアなど、現場で支援を担う人たちが、「災害ケースマネジメント」の考え方に立って、実践に活かすための手引きです。これまでに実践してきた被災者支援の取り組みと、中国5県の被災自治体における支援の実践経験を基に、「災害ケースマネジメント」で必要な要素を体系化して提供するものとのことです。

被災者支援活動は、行政の手が行き届いていませんでした。極端に言えば、避難所で支援物資を提供し、仮設住宅を建設するまででした。東日本大震災で、NPOによってさまざまな被災者支援の重要性が認識され、支援内容も充実してきました。
研究所代表の田村太郎さんは、その面での私の師匠です。

震災デジタルアーカイブが消えてゆく

2026年3月18日   岡本全勝

3月4日の読売新聞に「東日本大震災15年 震災デジタルアーカイブが消えてゆく 約50件中10件超が閉鎖・停止」が載っていました。

・・・2011年に発生した東日本大震災の写真や動画、文書などをインターネット上で保存・公開するデジタルアーカイブが、徐々に姿を消している。経費節減や担当者の世代交代などが原因だ。持続可能なデジタルアーカイブのあり方や、データの継承が課題となっている。

東日本大震災では、数多くのデジタルアーカイブが作られた。政府が「復興構想7原則」などで、震災の記録や教訓を国内外から容易に閲覧できる仕組みの構築を示したことや、デジタルカメラが浸透し、スマートフォンも普及しつつあったことが要因だ。
国立国会図書館などへの取材や資料から、約50件は作られたことを確認できた。運営主体は、県や市町村、大学、図書館、研究機関、報道機関などが多いが、そのうち少なくとも9件が閉鎖され、2件が公開停止となっている。主な理由は、維持費やシステム更新などの経費節減、担当者の世代交代という。

2016年に公開を始めた「茨城県東日本大震災デジタルアーカイブ」は、21年度末で閉鎖した。その後、国会図書館が運営する東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」が、データを継承した。県の担当者は「システム更新の時期でもあり、資料も集まりきったので引き継いだ」と説明する。年間約140万円の維持費が削減できたという。
宮城県気仙沼市が運営していた「けせんぬまアーカイブ」は、開始から10年経過し、老朽化したサーバーの更新を行わず、24年に閉鎖した。約1万点の写真や動画などは、県と県内市町村が運営する「東日本大震災アーカイブ宮城」が引き取り、公開を続けている。

米ハーバード大ライシャワー日本研究所の「日本災害DIGITALアーカイブ」は、今夏をめどに東北大が運営する「みちのく震録伝」に引き継がれる予定だ。
当初から運営に携わるハーバード大のアンドルー・ゴードン教授は、1月に東北大で行われたシンポジウムで「私もいずれ退職する。人材が循環する中で、災害に関心のある研究者が、常にライシャワー日本研究所にいるとは限らない」と、移管する理由を語った。

六つの閉鎖アーカイブを継承している「ひなぎく」を担当する、国会図書館の小林芳幸主任司書は、「担当者や組織のトップが代替わりすると、活動が停滞してしまうアーカイブもある」と指摘する・・・

復興予算32.5兆円の内訳

2026年3月17日   岡本全勝

3月5日の朝日新聞に「東日本大震災15年」「復興予算 32.5兆円、どこからどこへ」が載っていました。

・・・国が東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所事故の復興予算に投じたお金は、2024年度までで約32.5兆円になった。国民1人当たり27万円に相当する。どこから集め、どう使ったか、お金の流れから探った。

復興に使うお金は増税や国の借金「復興債」などで賄っている。24年度までの国の決算でまとめると、国の借金は約17・4兆円分増え、増税額は約7・2兆円に達した。「借金」は税収や政府保有株の売却益などで返していく。
災害復興のための増税は戦後初。復興特別所得税は今年まで2・1%、27~47年は1・1%を上乗せする方向。法人税は12年度から原則2年、10%を付加。住民税も14~23年度、納税者1人当たり年1千円を上乗せした。「今を生きる世代全体で連携し負担を分かち合う」との考えが増税の原点にある。

使い道は、防潮堤や高台移転などの「住宅再建・復興まちづくり」が約13・5兆円と最多で、「産業・なりわいの再生」は約4・5兆円。生活支援などの「被災者支援」は約2・3兆円と全体の1割弱。復興庁のまとめだ。

5年ごとに見直してきた復興予算の枠は膨らみ続ける。15年度までの「集中復興期間」は26・3兆円で、20年度までの「復興・創生期間」で32・0兆円へ。今年度で終わる「第2期復興・創生期間」で32・9兆円、次の「第3期復興・創生期間」の終わる30年度までで34・9兆円となる見込みだ・・・

復興15年での振り返りなど

2026年3月15日   岡本全勝

今年の3月は東日本大震災から15年ということで、いくつか取材を受けました。ここに整理しておきます。

1月31日 福島民友新聞「衆議院選ふくしま 識者の考え 復興・創生」「1.6兆円の第3期予算 実情に沿う活用重要
3月9日 共同通信による配信記事
3月12日 NHKスペシャル 「わたしたちの“復興” 震災15年・当事者たちの告白
3月14日 朝日新聞社説「津波被災地の復興 一人ひとりの歩みをより前へ
3月14日 朝日新聞ウェッブ版「「仮設住宅ができても暮らせません」 官僚を動かした被災者の言葉

参考「復興10年での振り返りなど