2月26日の朝日新聞夕刊に、大月規義編集委員の「誰のための復興なのか、東北の「失敗例」継承して」が載っていました。
・・・大きな被害を受けた能登半島の人たちも、震災前の町をつくりかえる「復興」へ向かう時期が早晩くるだろう。そのとき、東北の復興は参考になるのか――。
11年余り、人口ゼロの状態が続いた福島県双葉町。原発事故という特殊な背景があるが、一から町づくりを強いられているという点で、究極の復興事例と言える・・・
そこに移住した、浜田昌良・元復興庁副大臣、参院議員(公明党)の話が載っています。本論と違った箇所を紹介します。
・・・いま、複雑な気持ちで見ている事業がある。長年帰れなくなった家々の「解体」だ。
約13年前の震災でさほど損傷を受けていなくても、原発事故で長い間住めなくなった住宅は「機能的損壊」として、自然災害の場合の「半壊」の扱いにできる。
「そうするように指示したのは自分だった」と明かす。半壊にするかしないかで、何が違うのか。
半壊認定を受けた世帯が解体を余儀なくされた場合、全壊の家屋と同じように「被災者生活再建支援金」の制度の対象となる。1世帯最大300万円。
もともとは、住宅という私財の再建に公的資金を入れることができなかった阪神大震災をきっかけにできた制度だった。
「福島の避難者によかれと思って復興庁に指示したが、時間がたつにつれ制度本来の目的が見失われ、帰らなくても支援金ほしさに解体を急ぐ人たちが出てきた。原発事故の賠償金をもらって家は再建できているはずだが……」・・・
原発事故で住めなくなった家屋、土地、家財については、東京電力から賠償金が出ています。また、別の場所に家を建てる際にそれだけでは不足する場合にはその差額も補填されます。この方々に被災者生活再建支援金を支給するのは、本来の住宅再建支援とは異なった趣旨になっています。