20日の朝日新聞は、福島県矢祭町の町議会が、議員報酬を月額制から日当制に変える方針であることを伝えています。記事に「欧米では日当制やボランティア制を採り入れている議会もあるが・・」とありますが、私の知る限り、月額制の方が少ないです(拙著「新地方自治入門」p338)。
議員活動に支障があるとの意見もありますが、ヨーロッパの市町村のように、昼間に議会を開かず、夕方から開けばいいのです。もちろん、議員にどれだけの報酬を払うべきか、その報酬を負担する住民に、民意を問えばいいことです。(12月20日)
イギリスの市の場合は2002年欧州探検記に、ドイツの町は欧州探検記その2に、フランスの村は欧州探検記その3に、イタリアの市は欧州探検記その4に載せてあります。
「地方行政」カテゴリーアーカイブ
地方行財政-地方行政
コンパクトシティー
16日の朝日新聞は、「低炭素社会へ。コンパクトな街、注目」を解説していました。車社会の代表として、市街地がドーナツ化した宇都宮市と、コンパクトシティーに踏み出した富山市を紹介しています。地球温暖化という視点以上に、住みやすい街・財政が伸びない時代の街を考えたときに、コンパクトな街と車に頼らない街は重要です。
雪国では、冬の道路の除排雪に膨大な経費がかかります。山の中の一軒家から街の中に降りてきてもらうと、住民も市役所も大助かりです。もちろん、強制することはできず、誘導になるのでしょう。かつて炭焼きと稲作では暮らしていた山村での暮らしは、成り立たたなくなりました(昭和30年代の生活水準なら暮らしていけますが)。
中心市街地を発散させた責任は、行政にもあります。一つは、市役所庁舎や警察署などを、町中から郊外に移転しました。新しい文化ホール、高校、老人ホームも、町はずれにつくってしまいました。用地買収や土地代を考えて、50年というまちづくりを考えませんでした。もう一つは、ゾーニング(用途地域の指定)を、十分に考えなかったことです。どこをにぎわいの場所にし、どこは田園で残すかです。そこで、土地代の安いところやバイパスの沿道に、無秩序にいろんなものが立ち並びました。田んぼの真ん中に住宅も建ちました。右肩上がりの時代が終わり、ようやくこのような議論が真剣にされるようになりました。
経済の論理と地方の発展
12日の日経新聞経済教室は、前川耀(正しくは火偏)男教授の「これからの国土発展、大都市への集積テコに」でした。前川さんは東京都庁出身の方で、都市から見た国土の発展を述べておられます。
・・東京などへの人口と諸機能の集積は、国や大都市自治体が誘導したのではない。集積が進んだのは市場経済の自律的な運動であり、近年はそれがさらに高次の段階へと移行したにすぎない。世界共通の動きとして知識、情報が経済・科学・文化などの社会活動で大きな比重を占める時代に入り、大都市の集積が富の増大の推進力となった。後戻りできない巨大な文明史的転換がおきている・・
私も、同意見です。ただし、それが一極に集中するかどうかは、別です。すべてが東京に集中することは、必然ではありません。中央集権システムによって、行政と経済と高等教育が東京に集中し、その上に経済の集中の増大があるのでしょう。地域経済振興を考えたとき、この状況を打破するために、道州制がふさわしいと、私も考えています。
地域経済の分析
内閣府から、「地域の経済2007-自立を目指す地域経済」が、発表されました。インターネットでも見ることができます。図表が多いですが、文章はそんなに多くないので、ご関心のある方は、ご覧ください。簡単には、最後のページ「おわりにー自立構造を模索する地域経済」をお読みください。今回の景気回復過程で、地域間のばらつきが指摘されています。そして、地域間格差は政治問題になっています。いくつも興味深い分析がされているので、参考になると思います。
今回の景気回復は、製造業が牽引していて、製造業の比率の高い地域が好調。公共投資が減って、それへの依存度が高い地域ほど減っている。建設業に代わる雇用の場がなく、就業者全体が減っているところもある。公務員数は減少しているが、全体の就業者数が減っているので、公務員の比率が上がっている地域がある。工業立地件数は1990年代前半に激減、海外生産比率は着実に上昇(図1-1-14)。設備投資額1億円につき、0.5人の新規雇用が発生(図3-4-6)。