カテゴリー別アーカイブ: 地方行政

地方行財政-地方行政

地域づくりアドバイザー

内閣府のホームページに「地域づくりのための専門家データ検索サイト」ができました。アドバイザーを、分野別や地域別に検索することができます。また、官庁だけでなくNPOなどの各種のデータベースが、一覧できます。これは便利です。ご関心ある方は、一度ご覧ください。
ところで、このようなデータベースやリンク集は、作るのも大変ですが、更新するのも大変なのですよね。最初は、熱意ある幹部や職員の努力で作るのですが、その後時間が経つと、熱意が冷めることが多いです。そのようにならないために、継続した努力が必要です。

地域はこれから何で食べていくか

20日の日経新聞連載「ニッポンこの20年、長期停滞から何を学ぶか」は、「地方、疲弊止まらず」でした。
地域の活力の元は、なんと言っても産業です。それによって、住民は暮らしていけるのです。戦後の地域の発展は、農業の生産性向上、工場の地方分散、そして社会資本の整備によります。地方自治体は、農地整備、工業団地造成と企業誘致、公共事業に力を入れました。かつて「地域政策」は、産業振興と社会資本整備でした。国にあっては、「均衡ある国土の発展」をスローガンに、数次にわたって「全国開発計画」がつくられました。
1990年代以降以降の地方経済の低下は、次のような要因によります。
組立型工場が、アジアに出て行ったこと。農業の生産性が上がらなかったこと。それに代わる産業が育たなかったことでしょう。豊かになったことで賃金が上がり、アジア各国に勝てなくなったのです。グローバル化の影響も大きいです。2007年10月28日の記事も参照してください。
近年は、「地域政策」という言葉も聞かれなくなり、国土庁地域振興局も無くなりました。豊かになったことで、「開発」という言葉もそぐわなくなりました。
各地域が何で食べていくか。従来のような企業誘致も大切ですが、それだけでは国全体では好転しないでしょう。国家としても地域としても、これまでにない大きな課題になっています。

自治体を信頼していないが信頼している?

中邨章先生が、『日経グローカル』2011年2月7日号に、「公助依存症候群の改善検討を』を書いておられます。
行政に対する信頼は、日本も西欧諸国もかなり低いです。興味深いと先生が指摘しておられることは、次のようなことです。
世界価値観調査によると、「これまで政府や自治体が提供してきたサービスを今後、どうしますか」との設問に対して、フランス、イギリス、アメリカでは、50%を超える人が「個人責任」と答えています。不信感の募る政府や自治体に依存するより、自分のことは自分でするというスタンスです。この個人責任の中身は、住民がNPOやNGOを設立し、ゴミ処理や福祉、健康に関連する課題に対応する方法をとることです。一方、日本では75%の人が「この先も福祉や保健などの対策は行政指導」と答えています。

先生は、さらに次のように書いておられます。
「行政に厳しい眼を向けながら、自助ではなく引き続き公助に依存するというのが、日本の大多数の住民意識である。日本の場合、個人責任を選択した回答は、25%を下回る低率にとどまる。そうした反応を見ると、日本の住民はわがままで、甘えが過ぎるという印象を受ける。これは、逆説的であるが、日本の地方自治体が、ほかの国とは比べものにならない、すばらしい質と量を誇るサービスを提供しているからである・・」
続きは、原文をお読みください。

また、この号には、坂本森男千葉県副知事による「地域で異なる高齢化、きめ細かな対応必要。猶予は10年、カギ握る高齢者の活用」も載っています。85歳以上人口の急増、2035年までに要介護高齢者が倍増するとともに介護不要高齢者も2,300万人から2,800万人に大きく増加すること。さらに、千葉県下でも、地域によって人口構成が異なることを、豊富な図表で解説しておられます。

市民の協力によるコスト削減

大学院の公共経営論で、「大きな政府・小さな政府」を話しました。論点はいくつもあるのですが、今日紹介するのは、市役所の窓口サービスについてです。これまで私たちは、より手厚いサービスを、そして最近ではより安いコストで提供することを目指してきました。
数年前、ある議員にお叱りを受けました。次のような話しです。
議員:岡本さん、市役所に行ったら、朝の忙しい時間だったけど、待たずに窓口で対応してもらったよ。
全:それは、サービスが良かったですね。褒めてやってください。
議員:違う。あれではダメだよ。
全:???
議員:今どき、銀行でも番号札を取って待つ。待たなくても良い窓口は、職員が多すぎるということだ。少しくらい待ってもらって、良いじゃないか。
全:おっしゃる通りです。

このような意識が広がってくれると、行政もやり易く、コスト削減もできます。市民が行政コストを意識し、それは自分の税金で行われているのだと考えてくれれば。
市民による行政への協力の例に、ごみ出しがあります。毎日、分別せずにごみを出すと、便利でしょう。しかし、毎日集めるコストや、集めてから分別するコストを考えると、市民の協力は大きな費用削減になっています。一方で、急ぎでないのに、救急車を呼ぶ人がいます。それは、市民の負担になっています。余計な負担をさせられる人からは、批判が出るでしょう。
道路を清掃したり、花壇を手入れする例を取り上げましょう。市役所が直営する場合、民間委託をして経費削減する場合。さらに、町内会にお願いする場合、住民がそれぞれ家の前をきれいにする場合があります。不満を言っておればよい立場から、自ら汗を流す立場へです。