日本社会の勝ち組と負け組、単線的社会、格差、社会関係をうまく作れない問題などを、「再チャレンジ」の表題(分類)で書いてきましたが、内容と表題がズレてきたので、「社会関係リスク」という表題(分類)に変更しました(このページです)。この表題でも、しっくり来ないのですが、良い言葉が浮かばないので、しばらくこれで行きます。
新しいホームページソフト(ホームページビルダー)に、まだ慣れないので、表題を変えるだけでも四苦八苦です。
カテゴリー別アーカイブ: 再チャレンジ
行政-再チャレンジ
外国人向けの就労対策
独立行政法人の労働政策研究・研修機構が、地方自治体における外国人の定住・就労支援への取組に関する調査結果を取りまとめました。先月公表されていたそうです。
詳しくは報告書を読んでいただくとして、雇い止めや解雇が増え、帰国する外国人や失業者が増えています。生活や就労の支援が、必要となっています。
そのほか、市町村では、外国人にも利用しやすくするために、ホームページの翻訳、通訳の配置、ごみ分別案内、母子手帳の翻訳などを行っています。
変わらない年功型賃金制度
7日の日経新聞連載「検証、ニッポンこの20年。長期停滞から何を学ぶ」は、「進まぬ脱・年功賃金」でした。年功型から成果重視への賃金制度改革が、この20年の間、足踏みしています。その結果、専門性の高い人材を思うように採用できず、外国企業への流失も後を絶たないと指摘しています。競争力の源泉である人材確保に、苦しんでいるのです。
1993年に富士通が成果主義賃金制度を導入しましたが、うまくいきませんでした。2002年にはNECが、2004年には日立製作所が、裁量労働制を導入しましたが、あまり広がりませんでした。「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」は、2007年に導入を見送りました。中途採用の実施企業の割合が、2007年度の44%から、2009年度の33%に減ったという数字もあります。
同一労働同一賃金や職種別賃金への改革は、進んでいません。企業別組合が、壁になっているとの指摘があります。高度成長期には適合的だった制度が、そのあと条件が変わったのに変革できていないのです。
日系定住外国人施策
地域の悩みの一つに、定住外国人問題があります。特に日系外国人は、多数の人が一部地域で固まって住むことで、日本社会と関わりを持たなくても暮らしていけました。しかし、日本語が話せない、文化や習慣が違うことから、地域住民と摩擦を起こすことも多いです。さらに近年の日本の不況で、困難が増しています。地方自治体は、様々な取り組みをしています。
内閣府共生社会政策統括官にある定住外国人施策推進室が、取り組み事例を取りまとめました。ご覧下さい。
私がこの問題を取り上げるのは、次の2つの理由からです。
一つは、この問題が、これからの自治体にとって、課題は地域で発生し、解決策も国からは来ないという一例だからです。
もう一つは、自治体がつくらなければならない「マチ」とは、道路や施設といった有形のものだけでなく、人と人との付き合いや助け合い、ルールやマナーといった無形の社会資本が重要だということです。住民の暮らしにとって、道路や施設以上に、人とのつながりが重要なのです。外から来た人が困ることを数え上げると、何が重要なマチの要素であるかがわかるのです。これについては、拙著『新地方自治入門-行政の現在と未来』p177で述べました。
男女収入格差の縮小
10月14日の日経新聞に、「若年層収入、女性が上回る」という記事が出ていました。総務省の2009年全国消費実態調査によると、単身世帯、30歳未満の女性の可処分所得は月に21.8万円で、男性の21.6万円を上回りました。初めての逆転です。男性の所得が減少し、女性の所得が増加したのです。
その背景に、男性の比率が高い製造業は、海外移転で就業機会が減り賃金も上がらない。一方、女性の比率が高い医療や介護分野では労働力需要が高まり、就業機会も給与水準も上向きだというのが、記事の分析です。記事では、諸外国に比べ大きいとされていた日本の男女賃金格差も転換点を迎えつつあると、述べています。
男女格差が縮小することは、好ましいことです。これまでは、例えばパート勤務は正規雇用に比べ賃金が安い、そしてパートといえば女性であるというような「二重の差別」によって、女性の収入が少なかったのです。もちろん正規雇用にあっても、仕事の内容によって女性の収入は低く抑えられがちでした(2006年11月8日の記事)。男女格差が縮まるのはよいのですが、若年男性の所得が減っているのは、手放しでは喜べません。また、介護従事者の給与は低い、との調査結果もあります。