カテゴリーアーカイブ:著作と講演

サヘル諸国地方行政能力強化研修で講義

2023年9月19日   岡本全勝

今日は、国際協力機構(JICA)の「サヘル諸国・周辺国における地方行政能力強化による政府と住民間の信頼醸成」研修の講師に、JICA東京本部(幡ヶ谷)に行ってきました。
サヘルとは、サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域で主に西アフリカです。報道では、クーデタが頻発しています。今回の参加国は、 チャド、コートジボワール、マリ 、ブルキナファソ、モーリタニアの5カ国。その地方行政機関・地方政府を監督する中央政府機関職員9人が相手です。ニジェールはクーデターで、参加できなくなったそうです。

資料はフランス語に翻訳してもらい、通訳を通しての講義です。第二外国語はフランス語だったのですが、その後目にすることもなく、すっかり忘れています。
投影資料は写真が主で、骨子に基本的なことを書いて渡してありますから、通じたと思います。質疑応答は、熱心でした。質問は災害復旧に限らず、日本社会などについてと幅広でした。

連載「公共を創る」第161回

2023年9月8日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第161回「改革は「できるもの」─私の経験」が、発行されました。

前回まで、官僚の失敗事例を取り上げ、そこには新しい課題への対応が遅れていることと、それまでの政策の転換うまくできていないことを指摘しました。
私は若い頃から、おかしいと感じた仕事の仕方や内容を、おかしいと指摘するだけでなく、どうしたら変えることができるかを考えてきました。官僚の多くは、私と同じことを考えているでしょう。とはいえ、そう簡単に変えることはできません。

今回は、私がやってみた「改革」をいくつか紹介します。
それぞれに難しいことでしたが、関係者の理解や社会の動きが、背中を押してくれました。すべてうまくいったわけではありませんが、「やってみたら、できた」こともあるのです。

連載「公共を創る」第160回

2023年8月24日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第160回「政策の失敗、政策転換の遅れ」が、発行されました。

前回は、官僚の政策執行と事務処理における大きな失敗事例を取り上げて、説明しました。問題を起こした組織は、何らかの見直しが行われます。組織の廃止、改組などです。業界の振興と規制が分離されることもあります。
大きな失敗をした組織は取りつぶされることもあるのですが、それが責任の所在とその後の償いを曖昧にする危険もあります。私はこれを「お取りつぶしのパラドックス」と呼んでいます。「事故を起こした責任と償い」「責任を取る方法2

このほかに、長期的な評価で見えてくる「政策の失敗」もあります。農業振興に力を入れてきましたが、食糧自給率は低下し、農業従事者は激減しています。教育に力を入れてきましたが、子どもたちは学校が楽しくないと言い、大学はレジャーランドと揶揄されています。道路整備に巨額の予算を投入していますが、鉄道やバス路線が廃止され、車を持っていない人にとっては不便になっています。

これらに共通するのは、当初は高く評価されていたのに、その後に批判の対象となってしまったことです。政策の転換がうまくいっていないのです。目標設定が間違っていると、公務員がいくら一生懸命仕事をしても、国民からの評価は上がらず、職員の意欲も低下します。

連載「公共を創る」第159回

2023年8月17日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第159回「官僚の失敗─官僚機構の機能不全」が、発行されました。

前回まで、官僚を巡る問題の概要や背景を説明してきました。次に、「官僚の失敗」といわれるものを分析します。官僚批判にはいろいろなものがありますが、大きく分けると3つに分類できます。
決裁文書改ざんなどは、仕事ぶりが適正かどうかという問題です。セクハラなどは、人としての立ち居振る舞いの問題です。そして3つめが、官僚機構の機能不全です。

官僚組織の失敗例として、原発事故、公害、薬害事件、不良債権処理、年金記録問題、統計偽装を取り上げました。
若い人は、話に聞いたことはあっても、詳しくは知らないでしょうね。その時々は大きな話題になっても、それらをきちんと記録し分析した本がないのです。しかし、失敗に学ぶことは重要です。関係者は話したくないでしょうから、誰がどのようにして分析し、記録として残すかです。

コメントライナー寄稿第13回

2023年8月16日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第13回「マイナカード問題と組織管理」が8月10日に配信され、15日のiJAMPにも転載されました。また時事総研のHPにも掲載されて、これは無料で読むことができます。

マイナンバーカード交付を巡る混乱が問題になっています。政府は行政の電子化を進めるために交付を急ぎましたが、他人の情報を登録するなどの多くの間違いが発生しています。この問題を、東日本大震災での被災者支援や、新型コロナウイルス対策と比べてみました。これらは、政策の実施過程として見ると、新しい課題への取り組みであること、政府を挙げて対応するため本部組織が作られたこと、広範な国民を対象とすることなどが共通しています。

問題の原因を、3つ上げました。
1つめは、本部組織での現場感覚の欠如です。新型コロナウイルス対策では、当初自治体に膨大な指示が出て混乱が生じましたが、自治体を知る総務省幹部が地方との連携を担うことになって円滑に進みました。
2つめは、本部組織の社風の問題です。各省庁や民間から集められた混成部隊の職員をどのようにして能力を発揮させるかです。
3つめは、幹部職員の人選です。組織の全体を把握し、首相官邸や大臣と意思疎通する人が必要です。