カテゴリーアーカイブ:著作と講演

連載「公共を創る」第164回

2023年10月6日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第164回「政府の役割の再定義ー公務員の「目標」」が、発行されました。

官僚機構が国民の期待に応えていない現状を分析しています。そこにあるのは、新しい課題への対応ができていないこと、その裏返しとして既存政策の転換が遅れていることであり、突き詰めれば「目標設定の失敗」です。この問題を考えるために、公務員の目標と評価から始めます。

国家公務員に、目標による評価制度とそのための期首面談と期末面談が導入されたのは、この20年ほどのことです。制度が導入される前は、どのようにして目標の設定と共有が行われていたのか。
期首に目標の確認などほとんど、いえ私が知る限りでは、霞ヶ関でも自治体でも誰もしていなかったのです。私は40数年の公務員生活で、上司と期首あるいは異動直後に目標のすりあわせをした経験がありません。
各職員に職務を明示する「ジョブ型」の職場では、各人の業務内容と期待する成果を示した職務記述書が必須です。しかし、職員を一括採用し、係みんなで仕事をする日本の「メンバーシップ型」の職場では、それがなくても、引継書と前任者の作っていた資料を見ながら、周囲の同僚の支援で仕事を進めることができたのです。

しかし、毎年同じ仕事を(少々右肩上がりに)こなしていくだけで済む時代が終わり、各職員に「自分は何をすれば良いのか」を理解してもらう時代が来てみると、管理者が目標を明示し、職員と共有することが必要です。それなしに必要な都度に指示をしていくのでは、職員も不安で、工夫の余地もないでしょう。各人ごとの目標を職員と共有し、職員の達成度や工夫を見る中で、その職員を評価する意味も明らかになります。
近年、新型コロナウイルス感染防止などのために、在宅勤務が進みました。これも、「方向性はわかっているけど、細かい進め方がちょっとわからないので、隣の人に聞く」という仕事の進め方ではなく、引継ぎ書と目標管理ができていたからこそ、可能になったということができるでしょう。逆に、その「作法」を知らず、誰に相談すれば良いかがわからない新人には、つらい職場だったのです。
また、このような引継ぎ書と同僚の協力に依存し、上司との間での意思の交換に基づかない仕事の進め方は、職場の同僚との人間関係がうまくいっていない場合には、困ったことになります。

徳島県町村会で講演

2023年10月5日   岡本全勝

今日10月5日は、徳島県町村会で講演をました。町村幹部の研修です。管理職の抱える困難を取り上げて、お話ししました。
50人近くの方が、熱心に聞いてくださいました。質疑応答が終わった後も、何人かの方が話しに来てくださいました。

徳島は、公務員になって4か月目に赴任した、実質的に初めての職場です。財政課の末席で、仕事の仕方、県庁の仕組み、社会人としての作法などを教えてもらいました。今から思うと、恥ずかしいくらい世間知らずでした。

その後何度か訪れたことはありますが、しばらくぶりなので、少し町を見てきました。
私の下宿は取り壊されて、分からなくなっていました。市内中心部も、地理的には覚えていましたが、すっかり風景が変わっています。商店街が寂れています。デパートもなくなったとのこと。45年前ですから、当然ですよね。

連載「公共を創る」第163回

2023年9月28日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第163回「政府の役割の再定義ー改革の仕組み方と官僚機構の転換方策」が、発行されました。
前回、官僚や公務員が新しい仕事に取り組まない理由を整理しました。今回は、どのようにしたら、行政組織において改革が進むのかを説明しました。役所の現場でも参考になると思います。

まず、業務の転換についてです。
・職員の誘導
・管理職の役割
・既存事業の廃止と再編成
・職員と幹部の共同作業
・一度作った事業はなくならない
・成熟期の困難

次に官僚機構の転換についてです。
・官僚の失敗=社会の課題が変化したこと
・行政改革の「遺産」=予算と人員の縛りがきつく、新しい課題に取り組めないこと
・行政の手法=社会と課題が変化したので手法も変える必要があること

連載「公共を創る」第162回

2023年9月22日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第162回「政府の役割の再定義ーなぜ官僚は新しい仕事に取り組まないのか」が、発行されました。

「官僚の失敗」と呼ばれる問題を議論しています。その本質は、新しい課題への対応が遅れていることと、それまでの政策の転換がうまくできていないことでした。今回は、官僚や公務員が新しい仕事に取り組まない理由を整理しました。それには次のようなものがあります。
・日本の官僚の変質=明治期の官僚や終戦直後から経済発展期の官僚は、進取の気風を持っていました。それがいつの間にか、現状維持派に変質しました。
・行政機構の持つ性質=行政機構に限らず、組織には考え方を固定化する仕組みが埋め込まれています。
・外部要因=企業と異なり、新しい事業に問題が生じると、報道機関や国民からきつい批判を受けます。
・余裕がない=予算や人員面で余裕がありません。
・組織の風土=以上のような行政機構の性質や外部要因が、役所の気風をつくります。
・職員の志向=事なかれ主義と前例踏襲主義は公務員批判の定番です。

サヘル諸国地方行政能力強化研修で講義

2023年9月19日   岡本全勝

今日は、国際協力機構(JICA)の「サヘル諸国・周辺国における地方行政能力強化による政府と住民間の信頼醸成」研修の講師に、JICA東京本部(幡ヶ谷)に行ってきました。
サヘルとは、サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域で主に西アフリカです。報道では、クーデタが頻発しています。今回の参加国は、 チャド、コートジボワール、マリ 、ブルキナファソ、モーリタニアの5カ国。その地方行政機関・地方政府を監督する中央政府機関職員9人が相手です。ニジェールはクーデターで、参加できなくなったそうです。

資料はフランス語に翻訳してもらい、通訳を通しての講義です。第二外国語はフランス語だったのですが、その後目にすることもなく、すっかり忘れています。
投影資料は写真が主で、骨子に基本的なことを書いて渡してありますから、通じたと思います。質疑応答は、熱心でした。質問は災害復旧に限らず、日本社会などについてと幅広でした。