カテゴリーアーカイブ:著作と講演

若手新聞記者への講義

2024年7月16日   岡本全勝

今年も、新聞社で若手記者への講師を務めました。今年は7月10日、11日、16日の3回に分けて話しました。内容は昨年と同じで、取材される側からの経験です。「2023年」「2023年その2

駆け出しの記者たちは、まずは全国の支局で取材中です。多くは警察署から始まり、市町村、県庁へと経験を積んで、本社に帰ってきます。取材先では十分に相手してもらえず、苦労しているようです。
そうでしょうね。公務員にとって、記者は「やっかいな相手」と思われている場合が多いです。よいことは宣伝してほしいのですが、取材を受けるとなると身構えます。
公務員の多くは、記者対応を教えてもらっていません。記者への講義とともに、公務員にも講義が必要です。まずは、「明るい公務員講座 管理職上級編」(仮称)に書かなければなりません。

記者の本分は、当局の発表を書き取って原稿にするのではなく、その背景を理解し、問題点などを質問して、解説することだと言いました。そして、講義の冒頭に「この講義の最後に質問の時間を取るので、そこであんたたちの能力を試す」と宣言しました。毎回、鋭い質問が出ました。

連載「公共を創る」第192回

2024年7月12日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第192回「政府の役割の再定義ー行政組織のパラドックス」が、発行されました。前回から、幹部官僚に職務を果たさせることを議論しています。まず、自らの所管行政についてです。

制度を所管している、それを運用すればよいという「制度所管思考」から、所管範囲で課題を見つけ取り組むという「課題所管思考」に転換しなければなりませ。その思考を、若いときから植え付ける必要があります。それを指導するのは局長であり課長の役割です。もっとも、それをしたことがない、それに消極的な上司も多いのです。この「社風」を変える必要があります。
もう一つは、外部からの入力です。かつてはほぼ局ごとに審議会があり、有識者を入れて新しい課題と解決方向を議論していました。これは、有用な仕組みです。地域で起きる新しい課題について、研究者、報道機関、非営利団体、そして自治体は官僚より情報を持っていることが多いのです。審議会という形式にこだわらず、彼らの知見を取り入れて新しい課題に取り組むことがよいでしょう。

さて、パラドックスとは、次のようなことです。制度を所管している組織の方が、所管していない人より課題を見つけやすいと考えますが、そうならないことがあるのです。制度を所管していると、それの運用に注力し、課題が発生していても気がつかないことが起きるのです。例えば、その制度に関して補助金を持っていると、補助金配分だけで終わってしまうのです。

ベトナム地方政府幹部研修

2024年7月10日   岡本全勝

昨日7月9日は、政策研究大学院大学で、ベトナム地方政府幹部に講義をしました。各省(日本の県に相当)の幹部です。
いつものように、写真を示しながら、説明します。その方が迫力があり、わかりやすいです。大災害に見舞われた際、地方政府幹部としてどのように判断し行動すべきか。それを考えながら、聞いてもらいました。ベトナムは地震はないようです。質疑も充実していて、理解してもらえたと思います。

「日本は暑いでしょう」と言うと、「ベトナムも同じ。もっと暑い」という答えが返ってきました。

コメントライナー寄稿第18回

2024年7月9日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第18回「転職自由社会が与える衝撃」が7月4日に配信され、9日のiJAMPにも転載されました。

人事院が行う国家公務員総合職の新採研修で、講師を務めています。今春の採用者数は約800人ですが、2014年度は約600人でした。10年間で約3割も増えました。主な理由は早期退職者が増え、各府省が採用者数を増やしているのです。中途採用も広がりました。民間企業でも同様で、知人の大企業でも離職率は3~4割、3大銀行では中途採用者数が新卒採用者数と同数になっています。
日本の労働慣行であった、新卒一括採用、年功序列、終身雇用が崩れつつあります。崩した「黒船」は、転職が不利にならなくなったことです。人手不足や専門職の必要性から、中途採用枠が増えました。次の仕事が見つかりやすくなると退職しやすくなり、退職者が増えます。すると中途採用を増やさなければならないという「拡大循環」が生じています。

転職する職員は仕事のできる人たちですから、転職者が増えれば雇い主にとって損害は大きいです。職員が求めるのは、よい処遇、働きやすい職場、やりがい、技能の習得です。
新卒一括採用と人事課による配属先決定、経験年数による昇進と給与という仕組みから、本人の望む職場を提供し、できる職員にはふさわしい給与を提供する仕組みへ変わるのでしょう。それができない職場からは、できる職員は逃げていき、他方で評価の低い職員は居続けます。彼らの処遇も問題になります。