カテゴリーアーカイブ:著作

連載「公共を創る」第201回

2024年10月10日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第201回「政府の役割の再定義ー「官僚主導」の実態」が、発行されました。政治主導の下での行政の役割を考えています。まず、かつての「官僚主導」の問題を説明しています。

官僚主導が、内閣の意向を無視して「勝手な」政策を考えて実現させたなら、それは大きな問題です。しかし、現憲法ではそのようなことはできようはずがありません。官僚主導として批判された問題の本質は、別のところにあります。官僚が考える政策案は、与党が決定権を持っていたのです。

予算や法律案は、閣議決定の前に与党の了解を取る仕組みが定着しました。これによって、与党は、内閣案、官僚の作った案に拒否権を持ったのです。与党の審査は、各部会で行われ、内閣より与党の部会が力を持ったのです。
「官僚主導」は、政策決定において官僚機構が大きな権力を保有しているという意味ではありません。本来の判断者である首相や大臣よりも、与党の各部会が主導権を持っており、その間の結節点として活動していた官僚機構が主導しているように見えた状況だった、と言えます。

部会と各省の利害が一致する場合はよいのですが、与党議員間で意見が一致しない場合に、その間で板挟みになり、官僚が立ち往生することもあります。
官僚が考えた政策で、与党部会や有力者の反対で実現しなかったり、実現が遅れたりしたものもあります。農業政策、文教政策、社会保障政策などです。財政再建もそうでしょう。こうしてみると、どう考えても、官僚主導などという代物ではありません。

官僚主導が可能な範囲は、政治的決断を伴わないで済む事案です。その範囲内でなら、官僚は良い仕事をするでしょう。逆に、政治的決断が必要になると、官僚主導は機能しません。例えば、外交方針の転換、国民に負担を問うことです。

『Public Administration in Japan』が届きました。

2024年10月4日   岡本全勝

私も第19章を執筆した『Public Administration in Japan』。注文していた本が届きました。「執筆者に1冊贈呈」がなかったので、インターネットで購入しました。

画面で見るのと紙の実物とでは、ありがたみが違いますねえ。ずしりときます。書いてあることは同じですが。全体420ページのうち、私の執筆は18ページです。
単著が初めて本屋に並んだときは、もっと感激しました。何度も棚の前に行って確認し、次に別の本屋に行って並んでいるのを確認したものです。ほかのお客さんに「この本よいですよ」と、勧めたりはしませんでしたが(苦笑)。

まずは、アマゾンで発注しました。ところが、版元からも取り寄せることができる(画面の右上に出ていました)、しかも送料無料とのことなので、こちらも頼んでみました。1冊、6,499円です。
すると、版元からの方が早く届きました。ドイツ、ハイデルベルクからですが、大日本印刷(埼玉県久喜市)経由、クロネコ便です。インターネットで注文したのが9月26日、10月2日朝には配達されました。所要1週間ですね。

10月3日夜の時点で、本書へのアクセス(ダウンロード回数でしょうか)は5826、私の第19章は380のようです。

連載「公共を創る」第200回

2024年10月3日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第200回「政府の役割の再定義ー官僚機構と「政府・与党」」が、発行されました。
前回から、行政の役割を考えるに当たって重要な、政治との関係の議論に入っています。まず、国民の政治意識の問題を取り上げています。

1991年のバブル経済崩壊後、政治家と官僚は、そして報道機関も国民も、いずれ経済は持ち直し、以前と同じ状態に戻ると考えていました。この考えに沿って、90年代は大型の経済対策を続けたのです。しかしその効果は少なく不況は長期化し、当面している経済停滞は単なる景気循環ではないと分かりました。就職氷河期もあり、98年には自殺者が3万人を超え、社会の不安が多くの国民の目にも明らかになりました。
ようやく政府も社会も、日本が発展期を終え成熟期に入ったことを認識し、政治の在り方を変えなければならないと考えました。行政改革が、「小さな政府を目指した時代」から、「仕組みの改革の時代」へと進んだのです。それが、橋本龍太郎内閣の省庁改革です。そこで指摘されたのは、官僚主導から政治主導への転換です。

ついに、連載が200回になりました。2019年4月25日に始めて、5年です。「第1回

『Public Administration in Japan 』に分担執筆3

2024年9月30日   岡本全勝

『Public Administration in Japan』に分担執筆2」の続きです。

その1」で本書の前書きを引用しましたが、1983年に辻清明先生が出されて以来、英語による日本の行政の概説書はなかったのとのことです。それだけ内向きだったのでしょうか。日本語でも、教科書はたくさん出版されていますが、概説書は見当たりません。読者がいないということでしょうか。
外国人特に政府関係者に日本の行政を説明する際に、適当な英文書物がないのです。これは、行政学者と学界、政府の怠慢でしょう。日本の地方行財政については、自治体国際化協会が数カ国語で紹介しています。諸外国の地方行財政制度の紹介も。
今回出版された本は、外国の方に紹介できます。特にインターネットで無料で読むことができるのが便利です。そんな時代になったのですね。

時を同じくして、田中秀明・明治大学教授らによる『Handbook of Japanese Public Administration and Bureaucracy』も出版されました。目次を比べると、それぞれに特徴が出ています。
ところで、洋書は高くなりましたね。円が安くなったこともあります。

なお、私の肩書きは、第19章では次のように書かれています。
Japan Acacemy for Municipal Personnel, Chiba, Japan

本の最初の部分「NOTES ON CONTRIBUTORS xxv」では、次のように出ています。
Masakatsu Okamoto served for the central and local governments,including as Executive Secretary to the Prime Minister Taro Aso. He has worked for recovery and reconstruction from the Great East JapanEarthquake since immediately after the disaster as Director-General andVice-Minister of the Reconstruction Agency and Special Advisor to the Cabinet.

『Public Administration in Japan 』に分担執筆2

2024年9月25日   岡本全勝

『Public Administration in Japan 』に分担執筆」の続きです。
要旨を、日本語で載せます。日本の危機管理を行政学として書くにあたって、次のような観点から執筆しました。

・・・第二次世界大戦後の半世紀にわたり、日本では自然災害がしばしば発生したが、国内でも対外的にも大きな危機に直面することはなかった。ところが1990年代に入り、国内ではこれまでにない大規模な自然災害が発生し、国際的には北朝鮮と中国が軍事力を増強し日本への脅威が現実のものとなった。
日本の危機管理の対象としては、大規模自然災害、安全保障、新しい感染症の流行を上げることができる。
それまで、国家の危機管理は日本政治と行政の重要な課題ではなく、対応組織も法制度も十分ではなかった。しかし度重なる危機に直面し、組織や法制度を順次充実してきた。それはまた、各省が内閣の事務を分担する原則から、総理に情報を集約し総理が指揮を執るという総理主導への転換でもある・・・

目次も日本語で載せておきます。

1.日本政府の危機管理の特徴
1.1半世紀ぶりの転換 1.2平穏な半世紀とその後の急激な変化 1.3危機管理行政の再発見
2.政府の危機管理の仕組み
2.1危機の分類 2.2内閣官房の組織 2.3運用 2.4地方自治体 2.5民間組織
3.日本の特殊事情1―大規模自然災害
3.1大規模な風水害 3.2大規模地震
4.日本の特殊事情2―安全保障
4.1戦争放棄と環境の変化 4.2 国際的な平和協力活動 4.3北朝鮮と中国の挑発 4.4サイバー攻撃
5.新しい感染症の流行
6.日本の強みと課題
6.1国民の意識と行動 6.2想定内と想定外の危機
7.結び

その3」に続く。