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「新地方自治入門-行政の現在と未来」

2015年11月27日   岡本全勝

2003年10月発行

 

東京大学での講義(2002年度)を加筆し、専門誌『地方行政』(時事通信社)に「地方自治50年の成果と課題」という表題で連載しました(2002年7月~03年4月)。それを、単行本にまとめ「新地方自治入門-行政の現在と未来」として、2003年10月に時事通信社から出版しました。

これまでの地方自治の教科書は、地方自治法の解説です。本書は、制度の解説だけでなく、それが果たした機能や、果たしていない問題点を中心に解説しました。これまでにない本だと自負しています。地方公務員や議員さん、一般の方にも読んでもらえるよう、記述にも工夫を凝らしました。
私は、戦後の日本の地方自治体は、ナショナル・ミニマムと社会資本整備という課題を、実に良く達成したと考えています。日本の経済成長の成果の上に、行政機構や地方財政制度がうまく機能したからです。「明確な目標」「潤沢な財源」「効率的な行政機構」が、成功を支えた要件でした。しかし、豊かになったのに、日本人は幸せを感じません。住民も、地方自治体に対し、満足を感じません。自治体がこのままの路線を続けても、住民は評価してくれないでしょう。これまでの課題がほぼ達成された今、地方行政は次なる目標を探しあぐねています。また、現在の地域の課題に必ずしも的確に答えていないと思います。
地方行政そして日本の政治は、目標を転換するべき時がきています。それはまた、日本経済・日本社会・日本人の思考の転換でもあります。成功の3条件はそれぞれ「目標の喪失」「財政の制約」「行政の機能不全」という足かせになりました。これまでの行政は、「モノとサービス」の充実でした。それは、お金があれば「買え」ました。それに対し、これからの地方自治に求められているのは、「関係と参加」です。これまでの成果を振り返り、「豊かな社会の政治と行政」に求められていることは何かを考えることで、日本社会を分析しています。

先日予告していたように、第4刷りができました。一昨年の10月に出版してから、2年間で4刷りです。嬉しいですねえ、多くの人に読んでいただけるのは。いくつかの大学や大学院の授業で、テキストや参考書に使っていただいているようです。
本人は、「これからの地方行政の標準的教科書」と思っています。だって、これまでの教科書は、地方自治法の解説であったり、地方財政制度の解説であって、地方行政の全体像を書いた本ってないですよね。また、その機能や効果、そして問題点も書いていません。それに比べ、拙著は入門と銘打って、コンパクトな本ですが、かなり広く高度なことが書いてあるんですよ。「類書がない」というのが、自慢です。目指せ、売り上げ部数『バカの壁』(こればっかり言ってますね。笑い)。(2005年6月30日)

(拙著が、大学入試に使われました)
今日、ある予備校から、書類が届きました。何だろうと思ってみると、私の著書の転載使用許可を求める依頼でした。なんと、拙著『新地方自治入門』の文章が、大学入試に使われたとのこと。その予備校では、2014年度大学入試小論文問題集を発行するので、問題を転載するのだそうです。
私の文章を使ってくださったのは、金沢大学人間社会学部です。拙著の第11章「住民の意識」から6ページ分を引いて、3つの問を作ってあります。それぞれ、200字~300字で答を書く、小論文試験です。
この本の第3部では、これからの地方行政を考える際に、取り組むべき課題(対象)、誰が解決するのか(主体)、どのように解決するのか(手法)という「機能としての地方行政の課題」とともに、地方公共団体に何を期待するのか、そして住民の意識を変える必要があるという「思想としての地方行政の問題」があることを述べました。その最後の部分です。
この本は、東大の大学院での授業を本にしたものですが、大学生だけでなく自治体の職員や議員さんに読んでもらうように平易に書きました。また、この第3部は、狭い意味の行政学でなく、日本社会の問題として広い視野で書いたので、高校生にも理解してもらえるのでしょう。もちろん、高校生が読むような本ではないので、受験生は初見だったでしょう。取り上げてくださった先生に、感謝します。
それにしても、うれしいですね。とともに、出版から、もう11年も経っています。版元でも、在庫はなくなりました。古本では、出ているようです。こんなに評価してもらえるのなら、早く改訂しなければなりません。でも、他に書かなければならないテーマがあって、そちらも放置したままですし・・。(2014年6月9日)

(拙著が、大学入試に使われました。2)
先日、拙著『新地方自治入門』の文章が、金沢大学の入試に使われ、ある予備校の入試小論文問題集に、それが載ることを書きました(6月9日)。
今度は、別の出版社から、同じような転載許可の求めが来ました。うれしいですねえ。
ところで、受験生にとって、私の文章は難しいのでしょうか、また入試の設問は難しいのでしょうか。(2014年8月19日)

目次

第Ⅰ部 地方行政の成果
第一章 地方自治五十年が得たもの
1 戦後日本の経済発展 2 地方行政の成果 3 成功を支えた条件 4 成功の先にあるもの

第Ⅱ部 地方行政の現在
第二章 地方行政の仕組み
1 中央政府と地方政府 2 地方公共団体の仕組みと仕事 3 仕事の仕組み
第三章 地方公共団体の問題点
1 規模の問題 2 分権の必要性 3 総合行政主体を目指して
第四章 地方財政の現状
1 暮らしと地方財政 2 市の財政 3 地方財政と国家財政の関係 4 財源保障と財源調整の仕組み
第五章 地方財政の課題
1 巨額の財政赤字 2 財政再建のために  3 国からの自立を目指して 4 住民自治を支える
第六章 地方行政がなすべきこと
1 地域社会の課題と地方行政の仕組みの課題 2 新しい地域の問題群 3 新聞記事と市の総合計画のずれ 4 豊かな社会の地方行政を考える

第Ⅲ部 地方自治の未来
第七章 地域の財産とは
1 住み良い町の条件 2 広い社会的共通資本 3 行政目標の再検討を
第八章 公の範囲
1 公共主体の分散 2 サービスの主体 3 公の機能とは
第九章 行政の手法
1 手法の分類 2 評価の必要性 3 手法が難しい政策分野
第十章 政治と行政の在り方
1 地方政治と地方行政の違い 2 政治に期待されること 3 公と政治の在り方
第十一章 住民の意識
1 意識の分権の必要性 2 私たちの思考の枠組み 3 二十世紀型思考を超えて

明るい公務員講座、2

2015年11月18日   岡本全勝

『地方行政』連載、「明るい公務員講座」第2回11月16日「仕事で悩んだとき」が発行されました。今回の内容は、次の通り。
一人で悩むな、抱えるな。相談に乗ってもらったら、安心した。メンターを持とう。山よりでっかい獅子は出ん。

連載開始、明るい公務員講座、2

2015年11月10日   岡本全勝

何人かの人から早速、「読んだよ」というメールをいただきました。ありがとうございます。「明るく元気にやります」という励ましから、「いつも同じことを言っていますね」という反応まで。はい、そうですね。職場の悩みは、時代を超えて同じなのです。人類に進歩はありますが、人間関係はいつの時代でも同じです。親子、夫婦、姑と嫁・婿、上司と部下・・・。
今後の連載予定を載せるために「明るい公務員講座」のページ(このページ)を作りました。

明るい公務員講座

2015年11月9日   岡本全勝

時事通信社『地方行政』に、2015年11月9日号から、2016年9月12日号まで連載。
2016年10月からは、明るい公務員講座・中級編へ。

(目次)
11月9日  ①楽しく仕事をするために
11月16日 ②仕事で悩んだとき
11月30日 ③実は人間関係に悩んでいる
12月7日  ④説明の仕方
12月14日 ⑤資料で説明を
12月21日 ⑥説明資料の作り方
12月28日 ⑦読んでもらえる資料とは
2016年
1月25日 ⑧何から始めるか~時間と仕事の管理術①
2月1日 ⑨自分なりの工程表を作ろう~時間と仕事の管理術②
2月8日 ⑩会議の開き方~時間と仕事の管理術③
2月15日 ⑪書類の山に埋もれるな~資料整理
2月29日 ⑫資料の分類と保管~紙資料
3月7日 ⑬資料の分類と保管~電子データ
3月14日 ⑭職業人として自分を磨き能力を上げる
3月28日 ⑮変えてみよう
4月4日 ⑯判断力を養う
4月11日 ⑰知識の多さと視野の広さ
4月18日 ⑱職場の技能を磨く
4月25日 ⑲話す技術(1)伝えることは難しい
5月9日 ⑳話す技術(2)熱くならず、熱意を伝える
5月16日 ㉑書く技術
5月23日 ㉒私の作文術
5月30日 ㉓勉強を続けよう
6月6日 ㉔公務員はサービス業
6月13日 ㉕服装でも良い評価をもらおう
6月27日 ㉖立ち居振る舞い(1)あなたは見られている
7月4日 ㉗立ち居振る舞い(2)所作が人格をつくる
7月11日 ㉘職場での生きざま(1)清く明るく美しく
7月25日 ㉙職場での生きざま(2)習慣は変えることができる
8月1日 ㉚家庭は二人でつくる安心の場
8月8日 ㉛家庭はあなたを育てる
8月22日 ㉜仕事だけでは駄目
8月29日 ㉝2枚目の名刺 社会人として
9月5日 ㉞人生は最大の企画
9月12日 ㉟人生は自己実現(初級編完結)

(全体の構成)
連載の際には、1回ごとに読み切りの形を取っていますが、原文は次のような構成になっています。これを、編集者が1回ごとの分量に切り取って、掲載してくれています。①②が連載の回数です。

はじめに ①
初級編
第一章 楽々職員術
1 明るくやろう―楽しく仕事をするために ①
2 一人で悩むな、抱えるな―仕事に悩んだとき ②③
3 傾向と対策―説明の仕方 ④⑤
4 家族が読んでわかる文書―説明資料の作り方 ⑥⑦
5 今朝は何から始めるか―時間の使い方 ⑧⑨⑩
6 書類の山に埋もれるな―資料整理 ⑪⑫⑬

第二章 自分を磨こう
1 視野を広げよ―知識と判断力を養う ⑭⑮⑯⑰
2 やってみよ―職場の技能を磨く ⑱⑲⑳㉑㉒㉓
3 人は外見で判断される―身だしなみ ㉔㉕㉖㉗
4 人生に貴賤はある―生き様 ㉘㉙㉚㉛㉜㉝㉞㉟



(詳細目次)
①楽しく仕事をするために(明るさは最大の武器、あいさつの効用、返事は「はい」と元気よく、出世の基本は笑顔、明るい職場は仕事が進む)
②仕事で悩んだとき(一人で悩むな抱えるな、相談に乗ってもらったら安心した、メンターを持とう、山よりでっかい獅子は出ん)
③実は人間関係に悩んでいる(中身の悩みと進め方の悩み、上司も早い段階で相談に来て欲しい、ホウ・レン・ソウ、実は人間関係に悩んでいる、苦手な上司、嫌な上司は反面教師)
④説明の仕方(傾向と対策、唾を飛ばすよりメモ、メモの良さ、ファックスと電子メール、ひどい伝言ゲーム)
⑤資料で説明を(岡本のイエローカード、報告の上げ方3つの準備、必要最小限の資料、準備は万端自信を持って)
⑥説明資料の作り方(あなたは何を説明したいのか、成果物と説明資料は別、1枚にまとめる)
⑦読んでもらえる資料とは(読みやすい文章、役人言葉を使わない、別添資料の作り方、目次を付ける、決裁文書は保存を考える)
⑧何から始めるか~時間と仕事の管理術①(光陰矢のごとし、今朝は何から始めるか、明日の予定と来週の予定、仕事の予定は前日までに)
⑨自分なりの工程表を作ろう~時間と仕事の管理術②(ドタバタするより工程表、見える化の効用、日程の決まらない課題一覧、時間の管理と仕事の管理は別、ネズミを捕るかゾウを捕るか時間の配分)
⑩会議の開き方~時間と仕事の管理術③(仕事の敵・会議、その会議では何をするか、効率的な会議、忙しさと成果は比例しない、1か月3か月ごとに振り返ってみる)
⑪書類の山に埋もれるな~書類整理(データの海におぼれるな、仕事のできる人は資料整理の上手な人、資料は頭の延長、文書管理規則までの資料整理、減らすことと分類すること、資料整理は減らすことから)
⑫資料の分類と保管~紙資料(メモは資料作りの第1段階、半封筒による整理、完璧は目指さない)
⑬資料の分類と保管~電子データ(電子データの整理が難しい、フォルダーによる分類保管、共有文書の管理、個人の勉強資料、自宅での資料整理、自分に合った整理術を作ろう。)
⑭職業人として自分を磨き能力を上げる(有能な職員とは、人事評価、評判、お手本になる先輩と人間修養道場、先輩との差、第一人者になる、定期試験、困った天動説)
⑮変えてみよう(「おかしい」と思う目、評論家になるな、逃げてはいけない、改善で力量を発揮しよう、引き継ぎ書の重要性、引き継ぎ方で組織を向上させる、執務要領)
⑯判断力を養う(知識・経験・情報量、相談する、模擬訓練、さまざまな職場経験、判断の基準・3つの視点)
⑰知識の多さと視野の広さ(あなたの知識は時代遅れ、知識の高さと広さ、知的好奇心と向上心を持ち続けよ、研修と自己啓発、新聞の活用法、視野の広さ、先を読む)
⑱職場の技能を磨く(参考になるビジネス書、技と心構えと、考えることと伝えること)
⑲話す技術(1)伝えることは難しい(話してみよう書いてみよう、話すことは難しい、会話と対話の違い、何を伝えたいのか、「雄弁は銀、沈黙は金」ではない)
⑳話す技術(2)熱くならず、熱意を伝える(熱さと伝達率は比例しない、人の話を聞く、異論の同意、紙では伝わらないこと、人前でしゃべる、講演のこつ)
㉑書く技術(書くことは勉強、1枚にまとめることで頭が整理できる、相手の立場に立った文章、図表の使い方、メモ取りは難しい)
㉒私の作文術(原稿作成を料理に例えると、献立を考える、材料をそろえる、調理する、味見をして手を加える、試食をしてもらう、食卓に出す、ブロックの積み上げ、手書きの力、封緘と宛名書き)
㉓勉強を続けよう(仕事の中で専門分野を持とう、勉強を続ける―継続は力、勉強のテーマはあなたの目の前に、人を知ろう―人脈は力、異業種交流の勧め、会うことの重要性)
㉔公務員はサービス業(人は外見で判断される、公務員はサービス業、住民の満足を得る、住民の信頼は役所の財産、信頼関係で満足度が上がる)
㉕服装でも良い評価をもらおう(あなたの常識は世間の非常識?、スリッパは恥ずかしい、男性諸君ファッションを勉強しよう、ルール違反、おしゃれで自分を引き立たせる、小物にも注意、自分を高く売ろう)
㉖立ち居振る舞い(1)あなたは見られている(ここが変だよ公務員、頭は下げるもの口はお礼を言うもの、お見送り、ごみを拾う、あなたは見られている、居眠り防止法)
㉗立ち居振る舞い(2)所作が人格をつくる(熱くなったら冷ましましょう、平常心を保つ術、目は口よりも物を言う、所作が人格をつくる、職場のしつらえ、自分を磨く人間修養道場)
㉘職場での生きざま(1)清く明るく美しく(人生は日々の積み重ね、志を高く持とう、清く明るく美しく、ペンキ塗りは楽しい?、好きこそものの上手なれ、お酒は職場の潤滑油、お酒の失敗、年齢とともに飲み方を身につけた)
㉙職場の生き様(2)習慣は変えることができる(誘惑に負けるな、病気とけが、出世しよう、鏡に映った自分を見る、習慣は変えることができる、仕事が顔を作る)
㉚家庭は二人でつくる安心の場(家庭はつくるもの、職場よりも難しい、愛は冷める、毎日の手入れが必要、ありがとうと言おう)
㉛家庭はあなたを育て(イクメンの勧め、介護はもっと大変、仕事を支える家庭、家庭もあなたを育てる場、人生は夫婦でつくるもの)
㉜仕事だけでは駄目(新説アリとキリギリス、仕事だけでは駄目、服装が表すあなたの生活、地域での役割)
㉝2枚目の名刺 社会人として(趣味に目覚めた、今からでも遅くない、仕事人間の反省、趣味で人生を豊かに、社会参加、2枚目の名刺、第二の人生をどう過ごすか)
㉞人生は最大の企画(40歳は折り返し、我が人生を企画する、あなたがつくるあなたの人生、時間をつくる、時間泥棒に注意、スマホは危険、人生は人それぞれ)
㉟人生は自己実現(迷い道が人生だ、失敗が人を育てる、行動が信念と人生をつくる、努力と誠実、人生の目標、評価者はあなた)

明るい公務員講座(日誌)

(連載開始、明るい公務員講座)
時事通信社の専門誌『地方行政』に、「明るい公務員講座」を連載することになりました。今日11月9日号が、第1回掲載です。今後、毎週月曜に載る予定です。
平成8年(1996年)、富山県総務部長を務めていたときに、『明るい係長講座』(初級編、中級編)という小冊子をつくりました。何度も増し刷りしてもらったのですが、さすがに20年近く経って古くなりました。いずれ本にしたいと思っていたのですが、時事通信社から、全国の公務員向けに連載しないかとのお誘いがあり、そろそろ潮時だと思い、筆を執ることにしました。
もっとも、具体的な職場と職員を思い浮かべながら書いたのと、全国向けに書くのでは少々勝手が違います。大都市の市役所から小さな村役場まで、状況が違います。とはいえ、規模の大小や時代を超えて、また仕事の内容が違っても、職場の悩みは共通しています。それが私のたどり着いた結論です。
37年間の公務員生活の間、3つの県庁で、事務員、課長、部長を勤めました。国では、事務官、課長補佐、課長、審議官、統括官(局長)、事務次官を経験しました。総理秘書官として官邸から霞が関を見たり、復興庁で各省からの寄せ集め部隊を率いるということもしました。下からも上からも、組織を観察しました。定例業務とともに、日本で初めての仕事も経験しました。今回も、私の失敗談を中心に、そこから学んだこと、上司はどう考えているかをお教えします。楽しく笑いながら、勉強できます。
第1回目は「楽しく仕事をするために」で、出世のコツまで書いてあります。第1回から、キョーコさんが登場します(苦笑)。
県庁や市町村役場では購読されているので、地方公務員の方は読んでください。もちろん国家公務員の方にも、民間の方にも、役に立ちます。