「復興を担う地方公務員」
全国市議会議長会と町村議長会の月刊誌『地方議会人』12月号の特集「新しい公務員像」に、「復興を担う地方公務員」という題で寄稿しました。被災地の地方公務員に期待されること、全国の公務員に期待されること、そして市町村議員に期待されることを、これまでの活躍に感謝しつつ述べました。ご関心ある方は、ご覧ください。市町村議会の図書室にあります。
「著作」カテゴリーアーカイブ
著作
雑誌への寄稿
著作の解説3 行政管理
私の関心の3は、組織管理論・官僚論です。
1 人事管理・公務員
これまで、いろいろなところで、組織管理を経験しました。職場での部下の悩み、上司の悩みは尽きませんが、「経験者」から見ると案外簡単なことで悩んでいる場合が多いです。「明るい係長講座」は、富山県総務部長の時に作った小冊子です。
それを基に、時事通信社『地方行政』に「明るい公務員講座」を連載し、後に本にまとめました。
『明るい公務員講座 管理職のオキテ』(2019年、時事通信社)
『明るい公務員講座 仕事の達人編』(2018年、時事通信社)
『明るい公務員講座』(2017年、時事通信社)
「デルクイ」は、富山県在職中に創った、県職員による政策情報誌です。市販しています。「デルクイ発刊趣意」(『デルクイ』創刊準備号1996年)に、私の意図を書いてあります。
インタビュー「官僚論」月刊『時評』2004年10月号は、現在の官僚の機能不全と解決策としてのスパーゼロ種官僚の創設を提言しました。提言・国家官僚養成のページに再録してあります。
月刊『時評』10月号に、小生のインタビューが載りました。「国家官僚の養成に向けて人事制度を改めよ」「省庁にとらわれないスーパーゼロ種官僚の創設を」という内容です。(2004年9月30日)
専門誌なのであまり読まれないと思っていたのですが、結構、反応がありました。霞が関の先輩からは、多くの励ましの言葉をもらいました。新聞記者さんからは「岡本さんのような人もいるんですねえ・・」とか「よく言った。もっと書け」と。もっとも、企業の知人からは「大丈夫ですか?」と心配の言葉も。(2004年10月月9日)
「不思議な公務員の世界ーガラパゴスゾウガメは生き残れるか」『地方自治』2008年5月号(ぎょうせい)
大連載を書くに当たって考えた官庁の問題を、3つにまとめてみました。1つは、職場の汚さです。2つめは、生産性の低さです。3つめは、転職できるかです。民間企業と比べ、その特殊性を論じてみました。
日本の技術が進化を遂げ、しかし世界では通用しないことを、ガラパゴス化と揶揄します。それで言うと、日本の官庁は、世界とは異なった日本社会で、さらに民間とも違う世界をつくりあげました。その意味では、2重のガラパゴス化です。公務員というガラパゴスゾウガメは、ガラパゴス諸島では王者ですが、隔離がなくなったら生きていけるのでしょうか。厳しすぎるという意見もあるでしょう。皆さんのご批判を待っています。
訂正です。p14注5で、「予算重視への転換」とあるのは、「予算重視から結果重視への転換」の間違いです。
「安心国家での地方公務員の役割」月刊『地方公務員月報』2011年4月号(総務省自治行政局公務員課)。詳しくは「明るい課長講座」へ。(2011年5月7日)
私は、現代国家に求められるものが、福祉国家から安心国家へ変化していると、とらえています。そこでは、まず対象が、福祉から安心に変化します。そして、手段が、提供から保障へ転換します。すると、行政の役割や手法が大きく変化します。
2 行政改革
①「富山県庁の挑戦-私の行政改革論」は、富山県総務部長の時に、体験をもとに書いた実践的行革論です。
世の中、行革の理論編はたくさん書かれていますが、理論編だけで進むのなら苦労しません(年間4回、お詫びの記者会見をした部長の経験談です)。地方公共団体の管理職で行革に悩んでおられる方、ご一読下さい。もっとも、団体ごとに条件が違いますから、私の考えがすべての場合に役に立つわけではありませんが。
②「行政改革の現在位置~その進化と課題」北海道大学公共政策大学院年報『公共政策学』(2011年3月)は、1990年代以降の行政改革を整理し、範囲と目的が広がってきたことを論じました。詳しくは、「行政改革の分類」のページをご覧下さい。(2011年4月29日)
省庁改革については、著作の解説2 日本の政治と行政のページを見てください。
社会のリスクの変化と行政の役割2
社会のリスクの変化と行政の役割から続く
拙稿『社会のリスクの変化と行政の役割』第5回が載った、『地方財務』2月号が、発行されました。
今回は、第4章「政府の役割の変化」第1節「リスクに対する政府の役割」です。地震、交通事故、新型インフルエンザ、引きこもりといった典型的なリスクに対して、政府(中央、地方)がどのような役割を果たしているかを整理しました。このように対象を広げて社会のリスクを見た場合に、何が共通していて何が違うかです。このような横串的な視点は、これまでになかったと思います。
そして、政府の役割について、現場での対策とともに、対策全体の企画と管理が、重要であることを指摘しました。ご関心ある方は、お読みください。(2011年2月2日)
連載、社会のリスク論第6回が載った、月刊『地方財務』3月号が、発行されました。今回は、第4章「政府の役割の変化」第2節「個人の責任、政府の責任」です。
リスク対策が進み、政府による対策は拡大しました。それは、個人責任が社会の責任になる変化です。しかし、対策が拡大すると経費がかかり、それだけ国民の負担が大きくなります。また、阪神淡路大震災が示したのは、公助だけでは被災者を救えないということでした。そして、緊急性が少ないのに救急車を呼ぶ人がいます。本人は無料ですが、その費用は住民が負担しているのです。
各人が加入する保険ならば、給付・保障が増えれば、本人の掛金が多くなります。しかし、公助では、負担が不明確になります。自己責任と公助をどう組み合わせるか。これが課題になっています。これらの点を議論しました。(2011年3月2日)
連載「社会のリスクの変化と行政の役割」第7回が載った、月刊『地方財務』4月号が発行されました。異動の前に、校正まで終わっていたので、載せてもらいました。もっとも、肩書きは前のままになっています。
今回は、現代の「福祉国家」が、「安心国家」に転換しつつあることを論じました。そして、その社会的背景も、世界の先達の論考を参考に、議論してみました。自分では、力作だと思っているのですが。
続きは、しばらく書けそうもないので、いったん中断します。申し訳ありません。(2011年4月2日)
(拙稿、日本行政学会年報、その2。連載再開準備)
ところで、森田朗先生の「東日本大震災の教訓と市民社会の安全確保」では、フィンランドの総合的な危機管理体制「社会機能確保のための戦略」が、紹介されています。
そこに、政府が守るべき3つの価値、国家主権、社会の安全、市民生活が掲げられ、9つの脅威(リスク)が列挙されています。電力と通信網(社会インフラ)の障害、市民の健康と経済生活の障害(不況、大規模な感染症)、社会全体の経済危機、大規模な事故や自然災害、地球環境の変化、テロと組織犯罪、不法移民や禁制品の密輸、外国による政治的軍事的圧力、軍事的侵略です。
私は、連載「社会のリスクと行政の役割」(月刊『地方財務』2010年10月号~2011年4月号)で、私たちを取り巻く新しいリスクを、原因と被害の種類によって分類し、表(資料1-1)にしました。それは、武力・テロ、自然災害、事故、犯罪、環境問題、健康問題、経済社会活動の混乱、社会生活問題、経済問題の9つです。9つは偶然の一致ですが、私の取り上げた範囲と項目とほぼ同じことに、安心するとともに満足しました。
私はさらに、これら9つのリスクを対策の観点から、武力攻撃事態や災害への備え、事故や犯罪への対策、健康の危険への対策、社会生活の危険への対策の4つに大括りして、論じました。
連載は、私が大震災対応に招集され時間がなくなって、中断したままです。切りよく、第1部の「社会のリスク」を終えたところで中断しています。そこで、第2部の「行政組織のリスク」(かなり準備してあったのですが)を、大震災の経験を踏まえて、書きなおすことを計画中です。長尾編集長、もう少しお待ちください。
進む三位一体改革ーその評価と課題
月刊『地方財務』(ぎょうせい)2004年8月号、9月号
続きは、続・進む三位一体改革に書きました。
私が、月刊『地方財政』(地方財務協会)に「地方税財源充実強化の選択肢」という論文を書き、税源移譲などの選択肢を論じたのは、平成13年4月でした。その後、地方財政改革とも言うべき動きが動き出しました(もっとも、私が動かしたのではありませんが)。
経済財政諮問会議の提言等を踏まえ、交付税課長としていくつかの地方交付税改革に着手しました。その動きを取り入れて解説したのが、「地方財政改革論議ー地方交付税の将来像」(ぎょうせい、平成14年)です。その出版以来、約2年が経過しました。
正直言って、平成13年時点では、その後直ちに、これほど大きな交付税改革が進むとは考えていませんでした。14年の執筆時点でも、ここまで税源移譲が進むとは思っていませんでした。これは、関係者みんなの共通意見でしょう。三位一体改革が動き出し、かつ期限と数字目標が設定され、それに沿って進んでいることに、感慨無量のものがあります。
しかし、三位一体改革が進んでいることを、喜んでいるだけではいけないのでしょう。平成16年夏に、政府が地方団体に投げたボール「補助金改革案を取りまとめること」は、きちんと打ち返さなければなりません。いくつかの地方団体には、三位一体改革に対し不安もあります。今後の進め方について、理解を得る必要もあります。
今回の三位一体改革は、「走りながら考える」かたちをとってきました。確かに、地方税財源充実強化の方向性としては、関係者の間に共通理解はありました。「国庫補助金削減、税源移譲」です。しかし、具体策になると、十分まとまっていたとは言えません。
走りながら考え、考えながら走ってきました。問題点が見えるたびに、次の手を打ってきたのです。
三位一体改革が進みつつある今、われわれがしなければならないことは、これから2年間に残るノルマを達成することです。そして、「三位一体改革その一」が進んだ後の、次なる「三位一体改革その二」への道筋をつけることでしょう。克服しなければならない課題は、たくさんあります。
目次
第一章 「三位一体改革」の設定
1 設定まで(平成一三年)
(1)第一次分権改革の成功 (2)予想外の展開ー経済財政諮問会議 (3)地方交付税の算定の見直し
2 「三位一体改革」方針の決定(平成一四年)
(1)「片山プラン」 (2)「骨太の方針二〇〇二」 (3)三位一体の意味 (4)一五年度の芽だし
3 数値目標の設定(平成一五年)
(1)協議不調 (2)分権改革推進会議の「迷走」 (3)「骨太の方針二〇〇三」 (4)その評価 (5)秋の動き
第二章 平成一六年度の成果と評価
1 経過
(1)総理指示 (2)麻生プラン (3)補助率カット案拒否 (4)幻のたばこ税移譲 (5)総理のリーダーシップ
2 初年度の成果
(1)概要 (2)成果
3 関係者の評価
(1)プラスの評価 (2)マイナスの評価
4 いくつかの論点
5 評価
(1)平成一六年度分の評価 (2)三か年間の評価
第三章 一七年度に向けて
1 これまでの動き
(1)麻生プラン (2)「骨太の方針二〇〇四」 (3)評価一ー進む改革(4)評価二ー政治的意味
2 今後の予想
(1)残されたノルマ (2)対象補助金の選択 (3)地方団体の責任 (4)全体像の明示 (5)関係者の協力と国の決断
第四章 「三位一体改革」の次に来るもの
1 三位一体改革の続き
(1)三位一体改革その二、その三 (2)検討すべき課題一ーどこまで補助金を廃止するか (3)検討すべき課題二ー税源移譲の構想
2 ポスト三位一体改革
(1)財政再建 (2)規制の分権
3 地方財政の将来
(1)財政再建と歳出削減 (2)増税の準備 (3)交付税の将来像
第五章 見えてきたこと
1 地方財政の新展開
(1)理論と政治 (2)動き出した地方財政
2 構造改革
(1)新しい政治の形 (2)改革が進む条件 (3)この国のかたちを変える