カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載執筆状況、第3章へ

時間を見つけては、連載「公共を創る」の執筆に励んでいます。いつものことながら、難渋しつつ、少しずつ進めています。
まとまった時間が取れない、集中できない。数値を確認するのに時間がかかる、書きたいことはたくさん浮かんでくるが、論旨がまとまらない。関係する資料は読む気が起きず、他の楽な本に手を出してしまう・・・。いつものことです。反省。

3月末掲載分で、「第1部 町とは何か 第2章 暮らしを支える社会の要素」が終わります。年末年始に書きためた分が、底を突きます。あれだけたくさん書いたのに、早いものです。
次に、「第2部 社会は変わった 第3章 転換期にある社会」に入ります。まず、「1 日本は大転換期(1)成長から成熟へ」を書いています。
行政の前提となる社会がどのように変わったのか。それを考えます。議論の出発点を戦後に置き、昭和後期の経済成長と、平成時代の停滞を説明する予定です。

数値の確認など、何人かの協力を得て、(1)の前半分、昭和後期を書き上げました。いま、右筆2人に目を通してもらっています。
次に、平成時代に入ります。どのような視点で切り取るか。平成時代の変化は、まだ進行中であり、その延長にあるので、見極めは難しいです。これも、何人かの人に意見をもらいつつ、書き始めました。

連載「公共を創る」第36回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第36回「社会的共通資本 「この国のかたち」を変える」が、発行されました。

これまで、すばらしい日本の経済発展と、軌を一にして称賛された「日本人論」。日本の発展に陰りが出ると、一転して犯人扱いされています。では、「この国のかたち」のどこを変えるべきか。
実は20年も前に、橋本龍太郎内閣で、この国のかたちをどのように変えるかを議論したのです。「行政改革会議最終報告」当時は日本の行き詰まりが各分野に表れ、「構造改革」が主要な政治課題だったのです。その第一が、省庁改革です。
しかし、この報告書は、省庁改革だけでは日本の行き詰まりは解決できないと、この国のかたちの改革を提唱したのです。

私は当時、参事官(課長)として、この省庁改革に参加しました(拙著『省庁改革の現場から』)。それもあって、地方行政をどう変えるか(それが拙著『新地方自治入門』です)、さらにはこの連載である、「公共」をどう変えるかを考えてきました。

連載「公共を創る」第35回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第35回「社会的共通資本 不変ではない国民の意識や習慣」が、発行されました。

前回に続き、日本人論の限界を説明しました。日本人論は、日本社会の特徴を「日本の伝統」と説明します。しかし、それらは不変のものでなく、変わるものであり、変えることができるものです。
一例として、夫婦の関係を紹介しました。1973年では、多くの日本人が理想は亭主関白型と答えたのに、近年では平等と答えています。半世紀の間に、大きく変わりました。

ここで少々脱線します。昔から実態は「婦唱夫随」だったのに、夫は見栄で「夫唱婦随」と主張し、実権を握っている妻もそう言って夫をおだてていた、というのが私の解釈です。財布を妻に握られている多くの夫は、この事実に同意してくれるでしょう。認めたくはないのですが(笑い)。

「男は仕事、女は家庭」という言葉も、死語になりました。
アジア諸国が日本の後を追って経済発展に成功し、日本だけが優秀だという日本特殊論は、成り立たなくなりました。
では、今後、日本社会をどう変えていくのか。それが課題です。次回から、それを議論します。

連載「公共を創る」第34回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第34回「社会的共通資本 低い共助意識と政治参加意識」が、発行されました。

前回に続き、日本の文化資本の弱点を列挙しました。
意外なことに、共助の精神も、諸外国に比べて低いのです。それも、極端にです。困っている見知らぬ人を手助けする、慈善団体に寄付する、ボランティア活動をするなどの調査です。
また、投票には行きますが、政治への関心も極端に低く、さらには政治にかかわりたくない人が多いのです。
次に、仕事への熱意も低いのです。会社人間が多いといわれていますが、実はそうではないのです。長時間働いていますが、積極的ではないのです。これは、拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』でも取り上げました。

日本人論には、不正確な話がたくさんあるようです。

連載「公共を創る」第33回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第33回「社会的共通資本 社会の変化に応じて変更を」が、発行されました。

今回から、(3)「次代への責任」に入ります。前号までで、暮らしに必要な社会の環境や装置を「社会の財産」として分類しました。関係資本と文化資本の重要性を指摘し、日本社会の特質を、日本人論や「この国のかたち」で説明しました。
今回から、この社会の財産をどのように引き継いでいくかを検討します。
先進国に追いついたことで、経済発展という国家目標を達成しました。次の目標は何か。
また、これまで優れていると言われていた日本の文化資本の弱点は何か。
欠点の一つ目は、安心は強いが信頼は弱いことです。すなわち日本人は、仲間内のでの安心は強いのですが、よそ者との信頼は弱いのです。