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連載「公共を創る」第38回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第38回「社会的共通資本 住民参加で文化資本を変える」が、発行されました。

引き続き、社会的共通資本を考えています。その中でも、これまで余り認識されてこなかった、文化資本の重要性を指摘しました。政府や企業が意識してつくるものではないので、私たちの課題、政策の対象として扱われなかったのです。

そして、この国のかたち、私たちの暮らしの在り方、社会の慣習といったものは、単体で存在するのではなく、相互に関連して存在しています。一つの系(システム)をなしています。残業を禁止するだけは、働き方改革は進みません。仕事の仕方の改革、早く退社した場合の「居場所」が必要です。

少し話が飛躍しますが、国際秩序がどのようにつくられているかを、紹介しました。統一的政府がない国際社会で、紛争はありつつ全面対決せず、一定の秩序が成り立っています。その理由です。関係的権力だけでなく、構造的権力が機能しています。場の力です。
それを見ると、政府が統治するガバメント以上に、関係者が共同してつくりあげるガバナンスが重要だとわかります。ガバメントは施設資本、制度資本をつくりますが、関係資本や文化資本はガバナンスです。

これで第2章を終え、次回4月からは、第3章「転換期にある社会」に入ります。

連載「公共を創る」目次2

連載「公共を創る」目次から続く。
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第3章 日本は大転換期
1 成長から成熟へ
2020年
4月2日 39日本は大転換期―行政が前提とした社会の変化
4月9日 40日本は大転換期―驚異的な経済成長
4月16日 41日本は大転換期―経済成長が変えた暮らしと地域
4月23日 42日本は大転換期―経済発展で「一億総中流」の社会に
5月14日 43日本は大転換期―崩壊したバブルとその後続いた経済停滞
5月28日 44日本は大転換期―製造業から情報産業へ
6月11日 45日本は大転換期―スマホの普及で新たな商売・犯罪も
6月25日 46日本は大転換期―家族の変化でコンビニと外食産業が発展
7月2日 47日本は大転換期―平成で進んだ男女共同参画
7月9日 48日本は大転換期―利便性と引き換えに負の面も
7月16日 49日本は大転換期―平成の地方分権改革
7月30日 50日本は大転換期―うまくいかなかった平成時代

2 成熟社会の生き方は
(1)豊かな社会の不安
8月6日 51日本は大転換期―成熟社会で見えてきた問題
8月20日 52日本は大転換期―人口減少で社会の仕組みも変化
8月27日 53日本は大転換期―自由の獲得で重みを増した自己責任
9月3日 54日本は大転換期―憧れを手に入れ現れた閉塞感
(2)満足による停滞
9月10日 55日本は大転換期―満足しても現れる問題
9月17日 56日本は大転換期―成熟社会で浮き彫りになった労働の問題
9月24日 57日本は大転換期―成熟社会で見えた教育の問題と限界
10月1日 58日本は大転換期―学校外の子育て機能の低下
10月15日 59日本は大転換期―教育に税金を使わない日本
(3)生き方の模索
10月22日 60日本は大転換期―急速に変化した個人の暮らし
10月29日 61日本は大転換期―増加する結婚しない若者たち
11月12日 62日本は大転換期―進む少子化と家族の人数の減少
11月19日 63日本は大転換期―平成で大きく変わった夫婦の関係
11月26日 64日本は大転換期―成熟時代に求められる「居場所」のつくり方
12月3日 65日本は大転換期―個人と社会をつなぐ「付き合い」
12月10日 66日本は大転換期―孤独の増加が生む社会の不安定
12月24日 67日本は大転換期―社会の意識と個人の意識
2021年
1月7日 68日本は大転換期―どうつくるか、新しい時代の通念と道徳
1月14日 69日本は大転換期―善の基準を教える村と宗教の機能低下
1月21日 70日本は大転換期―成熟社会の達成でなくなった日本の目標
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連載「公共を創る」第37回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第37回「社会的共通資本 働き方改革の重要性」が、発行されました。

前回から、この国のかたちを変えるために何をすれば良いか、いくつかの論点を取り上げています。
その一つは、政治参加、社会参加です。日本人は、決められたことには、従います。ところが、不満があっても、それを変えるために動こうとはしないのです。リスクを取ることも避けます。
その二は、働き方改革です。私は、これまでの働き方が、この国のかたちの結節点だと考えています。ここを変えないと、日本社会は変わらない。ここを変えれば、私たちの暮らしと日本社会は大きく変わると思います。

今回は、その続きで、仕事の仕方を変えなければならないことを指摘しました。「明るい公務員講座」での主張とも共通します。
その三は、多様性と変化への覚悟です。昭和の成功体験を忘れることができない。変化を避けているので、指摘されつつ、改革は進んでいません。
これを主張したいがために、この連載を書いています。

連載執筆状況、第3章へ

時間を見つけては、連載「公共を創る」の執筆に励んでいます。いつものことながら、難渋しつつ、少しずつ進めています。
まとまった時間が取れない、集中できない。数値を確認するのに時間がかかる、書きたいことはたくさん浮かんでくるが、論旨がまとまらない。関係する資料は読む気が起きず、他の楽な本に手を出してしまう・・・。いつものことです。反省。

3月末掲載分で、「第1部 町とは何か 第2章 暮らしを支える社会の要素」が終わります。年末年始に書きためた分が、底を突きます。あれだけたくさん書いたのに、早いものです。
次に、「第2部 社会は変わった 第3章 転換期にある社会」に入ります。まず、「1 日本は大転換期(1)成長から成熟へ」を書いています。
行政の前提となる社会がどのように変わったのか。それを考えます。議論の出発点を戦後に置き、昭和後期の経済成長と、平成時代の停滞を説明する予定です。

数値の確認など、何人かの協力を得て、(1)の前半分、昭和後期を書き上げました。いま、右筆2人に目を通してもらっています。
次に、平成時代に入ります。どのような視点で切り取るか。平成時代の変化は、まだ進行中であり、その延長にあるので、見極めは難しいです。これも、何人かの人に意見をもらいつつ、書き始めました。

連載「公共を創る」第36回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第36回「社会的共通資本 「この国のかたち」を変える」が、発行されました。

これまで、すばらしい日本の経済発展と、軌を一にして称賛された「日本人論」。日本の発展に陰りが出ると、一転して犯人扱いされています。では、「この国のかたち」のどこを変えるべきか。
実は20年も前に、橋本龍太郎内閣で、この国のかたちをどのように変えるかを議論したのです。「行政改革会議最終報告」当時は日本の行き詰まりが各分野に表れ、「構造改革」が主要な政治課題だったのです。その第一が、省庁改革です。
しかし、この報告書は、省庁改革だけでは日本の行き詰まりは解決できないと、この国のかたちの改革を提唱したのです。

私は当時、参事官(課長)として、この省庁改革に参加しました(拙著『省庁改革の現場から』)。それもあって、地方行政をどう変えるか(それが拙著『新地方自治入門』です)、さらにはこの連載である、「公共」をどう変えるかを考えてきました。