カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載「公共を創る」第51回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第51回「日本は大転換期―成熟社会で見えてきた問題」が、発行されました。
前回まで(第39回から第50回まで)、日本が大転換期にあることを、「成長から成熟へ」として、昭和後期と平成に分けて見てきました。今回からは、これらの変化が、私たちの生活と意識に与えた影響を議論します。それが、行政に変化を迫っているのです。

私たちは、人類誕生以来の3つの敵に、初めて打ち勝ちました。それは、飢餓と貧困、病と死、戦争と暴力です。そのほか、隷属、社会からの束縛、不平等などの「壁」も乗り越えました。豊かさと自由だけでなく、苦痛や困難を克服したのです。
このようなかつてない豊かな生活に満足しながら、国民は不安を感じています。そして、成熟社会では、これまでのような消費と生産の好循環は期待できません。

連載「公共を創る」50回達成

連載「公共を創る 新たな行政の役割」が50回になりました。2019年4月から始めて、1年3か月です。

これまで、次のような内容を書いてきました。
まず第1部では、東日本大震災で体験し考えた、政府の役割とその変化を述べました。そして、災害復興だけでなく、社会の変化によって行政の哲学が変わったことを説明しました。
第2章では、その行政の哲学の変化から社会全体を見直すと、これまでの行政の対象が狭かったことを指摘しました
第3章では、日本社会が大きな転換期にあることを説明しています。経済成長を達成し、近代を完成させた時に、これまでとは違った課題が生まれてきたこと、これまでの行政手法や私たちの考え方が機能不全を起こしていることを説明しています。

第1章 大震災の復興で考えたこと
1 想定外が起きたー政府の役割を考える 第3回~第8回
2 町を再建するーまちとは何か 第9回~第11回
3 哲学が変わったー成長から成熟へ 第12回~第23回
第2章 暮らしを支える社会の要素
1 公私二元論から官共業三元論へ 第24回~第28回
2 社会的共通資本 第29回~第38回
第3章 転換期にある社会
1 日本は大転換期 第39回~

全体構成」では、これでほぼ半分を過ぎました。もっと早く進む予定だったのですが、書き始めると分量がどんどん膨らみます。歴史になったことや、その時々の問題や事件は書物になっているのですが、近過去そして私の視点のような変化は書かれたものが少ないです。
執筆に当たっては、私の視角から筋書きを書き、そこに事実を当てはめていきます。事実の確認に手間がかかります。簡単にはインターネットで調べ、そこからより詳しく調べることをしています。数表作成などは、知人たちの協力を得ています。ありがたいことです。そして、右筆たちに手を入れてもらいます。私の考え違いを正され、読みにくい文章がわかりやすくなります。さらに、編集長が1回ごとに切り分け、校閲さんが文章を正しくしてくださいます。

ちなみに、同じく『地方行政』に連載した「明るい公務員講座」は、初級編が35回、中級編が42回でした。

連載「公共を創る」第50回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第50回「日本は大転換期―うまくいかなかった平成時代」が、発行されました。

前回に引き続き、平成の地方分権改革について、その位置づけを説明しました。
そして、平成時代の総括を述べました。一言でいうと、昭和後期が「思ったよりうまく行った時代」であり、それに対し平成時代は「思ったほどはうまく行かなかった時代」と言えるでしょう。

その間に、日本人は変わっていません。そして、国民も、企業も、政治も行政も、その時々の課題に精一杯取り組みました。しかし、昭和後期はうまくいって、平成時代はうまく行かなかったのです。
なぜか。それは、科学技術発展の時代背景、国際環境、他国の状況など、昭和後期は「例外の時代」だったのです。他方で、平成時代には、私たちは課題と対応策を間違えたようです。昭和の延長に発展はないのに、まだ続くと考えていたのです。発展途上社会と成熟社会では、課題が異なるのです。
この問題は、令和時代の私たちの宿題です。それを意識して、この連載を書いています。次回からは、その話に移ります。

連載「公共を創る」執筆状況

連載執筆状況の報告です。続きの第3章1(2)その2をほぼ書き上げ、右筆たちに見てもらっています。
今回は、平成時代の変化、成熟国家日本の課題のうち、経済成長を成し遂げて満足した問題とともに、発展途上型の仕組みが合わなくなった例として雇用と学校教育を取り上げました。高く評価された日本型雇用と学校教育が、機能不全を起こしています。

今回もいろんな人に助言をもらい、参考文献を確認しながら書きました。
ところが、原稿の準備資料(半封筒に入れた切り抜きなど)を整理していると、書こうと思っていた項目で書き忘れているものが出てきます。
右筆たちに朱を入れてもらいつつ、これらも加筆しましょう。

連載「公共を創る」第49回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第49回「日本は大転換期―平成の地方分権改革」が、発行されました。
平成初期の地方行政の3Kを説明しています。高齢化、高度情報化に続いて、国際化についてです。
平成の間に、定住外国人が急増しました。ここでは、富山県内の外国人の数字を掲げました。平成元年に2,400人あまりだったのが、令和元年には18,000人を超えています。そして出身国は、31か国から92か国にまで広がっています。
この数値も、富山県庁にお世話になりました。ありがとうございました。

次に、地域の活性化と地方分権改革について解説しました。
かつては、「国土の均衡ある発展」が哲学でした。インフラ整備、工場の分散など一定の成果は上げたものの、行き詰まりました。そして、地域の特性を活かした地域おこしが、各自治体が主体になって取り組まれるようになりました。これは、現在も続いています。

平成時代は、行政改革の時代でもありました。地方行財政では、分権改革、三位一体の改革が行われました。分権改革は戦後改革以来、半世紀ぶりの大改革でした。
早いもので、もう20年も経ちます。今回、「平成の地方分権改革」と表題を付けましたが、「平成の」という形容詞が必要になりました。経験した私にとってはついこの間のことなのですが、若い人には、歴史でしょうね。