連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第210回「政府の役割の再定義ー大規模な財政支出とその財源」が、発行されました。
官僚にはできない政治の役割として、国民に負担を問うことを議論しています。今回取り上げるのは、予想外の事態に対する財政出動の際に、かつてはその財源を考えたのですが、近年では赤字国債で先送りしていることです。極端に財政が悪化しているのに、その上に巨額の赤字を積んでいます。
東日本大震災への費用は、15年度までの5年間で、当初は約19兆円と試算されました。当時は民主党政権でしたが、その財源を、増税、歳出削減、日本郵政の株式売却などで確保しました。
新型コロナ対策では、各国とも医療や経済対策に巨額の資金を支出する一方で、経済停滞で税収も大きく減り、財政は悪化しました。その財政悪化にどのように対応したかで、各国の違いが出ました。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスでは、巨額の国債を発行しつつ、増税などによる償還計画を立て、また経理を別にして明確にしました。しかし日本では、償還計画を立てることなく、赤字国債をそのまま増やしたのです。
かつてドイツの総選挙で、与野党ともに増税を訴えた事例も紹介しました。