「連載「公共を創る」」カテゴリーアーカイブ

連載「公共を創る」第177回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第177回「政府の役割の再定義ー官僚の「やりがい」を巡る考察」が、発行されました。

長時間労働を減らすためには、職員数も増やすべきだという主張の続きです。企業が社員と経費の削減を進めたと同じように、役所でも職員を減らし、一部は非正規職員に代えてきたことが、この30年間の経済の低迷を社会の不安を生み、それを長引かせたのでしょう。
そして削減だけでは企業は業績が伸びず、行革だけでは行政は社会の課題に対応できません。行政改革は必要ですが、私は行き過ぎたと考えています。私も、その旗を振った一員ですが。早く方向転換しなければなりません。

職場の問題として、長時間労働の次に、やりがいの問題を取り上げます。少々忙しくてもやっている仕事が国民の役に立っているなら、我慢できます。しかしその仕事がやりがいのないものだと、意欲はわきません。ここでは、国会待機、官邸指示の多用を取り上げました。

連載「公共を創る」第176回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第176回「政府の役割の再定義ー長時間労働を減らす三つの方法」が、発行されました。

前回から、職場側に必要な変化を議論しています。その第一は、労働時間の短縮です。意識の改革に続き、実際に残業を減らす方法を考えます。
そこには、仕事のやり方の改革、仕事量を減らす、職員を増やす、という3つの方法があります。とはいえ、役所の仕事の多くは法令で決められていて、仕事量は簡単には減らすことができません。

職員を増やすことは、なかなか国民の同意を得ることができないでしょう。
しかし、行政改革を進め、職員を減らし、民間委託や一部は非正規職員に代えてきたことが、行政能力の低下を招いています。

連載「公共を創る」第175回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第175回「政府の役割の再定義ー官僚の職場を巡る課題─その解決に向けて」が、発行されました。成熟社会の官僚に必要とされる能力として、構想力を説明しています。

官僚には所管している政策の知識だけでなく、広い分野について日本の、そして世界の動向も踏まえることが求められます。特に幹部官僚は、特定の業界の発展やサービスの提供といった「部分最適」を超え、例えば省の所管政策を全体として考える「所管の全体最適」を考えなければなりませんが、それをも超え、所管政策もまたその一部である日本と世界のことを考える「大きな全体最適」の思考が必要となります。がむしゃらに所管政策を広げて「所管の全体最適」を確保したとしても、数十年の単位で見れば「大きな全体最適」になっていなかったこともありえます。
ただしこの問題の基本には、日本社会がどのような方向に進んで行くのか、将来の構想が必要です。各省と各局は、それに従って目標を考えるからです。将来の日本社会をどのようなものにするか。その構想は本来、首相をはじめとする政治家の役割です。

もう一つ、これからの官僚には、自らの人生を企画するという能力、あるいは意思が必要になることも挙げておきます。

官僚に求められるものの変化の次に、職場側の変化を議論します。若者に敬遠される職場をどのように改善するかです。その第一は、労働時間の短縮です。

連載「公共を創る」第174回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第174回「政府の役割の再定義ー課題解決型思考と構想力」が、発行されました。

前回から、成熟社会において官僚に求められる能力を考えています。
その第一は、課題解決型思考です。発展途上期には、産業振興、インフラ整備、公共サービス拡充が主たる任務であり、それが社会の課題解決になりました。しかし、それらがほぼ出そろったことで、これらの分野では既存制度の運用が主になりました。制度運用に力を注いでいると、そこに安住し、新しい課題への取り組みがおろそかになるのです。
そして、新しい課題への取り組みには現場を知ることが必要ですが、これまで欧米からの制度輸入に慣れ親しんできた官僚には、それが得意ではないのです。
実施手法も変わります。施設整備や一律のサービスといった提供者側の考えから、困っている一人一人を相手にしなければなりません。

その二つ目は、構想力です。個別の問題を拾い上げる課題解決型思考とともに、政策全体や社会を考えて、どのような方向に持って行くかを考える能力です。

連載「公共を創る」第173回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第173回「政府の役割の再定義ー成熟社会において官僚に求められる能力とは」が、発行されました。
第171回から、これまでの官僚に求められた能力を解説しています。その中で、「変な能力」についても説明しています。「理不尽なことに耐える能力」「滅私奉公」などです。

次に、官僚を支えた心理を説明します。給料が驚くほど高かったわけでもないのに、私生活を犠牲にして長時間労働に耐えたのです。志を持ってこの職業を選んでいますが、志だけで長い職業人生を続けることはできません。彼らを支えたのは、やりがいだったと思います。社会をよくすることが目に見えたことであり、それに伴う社会的評価です。

次に、これから必要とされる能力について解説します。