連載「公共を創る」第174回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第174回「政府の役割の再定義ー課題解決型思考と構想力」が、発行されました。

前回から、成熟社会において官僚に求められる能力を考えています。
その第一は、課題解決型思考です。発展途上期には、産業振興、インフラ整備、公共サービス拡充が主たる任務であり、それが社会の課題解決になりました。しかし、それらがほぼ出そろったことで、これらの分野では既存制度の運用が主になりました。制度運用に力を注いでいると、そこに安住し、新しい課題への取り組みがおろそかになるのです。
そして、新しい課題への取り組みには現場を知ることが必要ですが、これまで欧米からの制度輸入に慣れ親しんできた官僚には、それが得意ではないのです。
実施手法も変わります。施設整備や一律のサービスといった提供者側の考えから、困っている一人一人を相手にしなければなりません。

その二つ目は、構想力です。個別の問題を拾い上げる課題解決型思考とともに、政策全体や社会を考えて、どのような方向に持って行くかを考える能力です。