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連載、明るい公務員講座・中級編

明るい公務員講座・中級編25

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第25回「職場管理の知識(3)職場の規律」が発行されました。
労働法制を守らなければならないことは当然ですが、近年はその他にも注意しなければならないことが増えています。
一つは、長時間労働の禁止です。かつては、よく働くことは美徳でした。私も、若い時はそれを自慢していました。しかし、過労死などの問題が出て、長時間労働は悪になりました。
職場で増えてきたのが、メンタルヘルスの問題です。うつ病の職員が増えています。しかし、彼ら彼女らに対する指導の仕方を、きちんと教えてもらっている人は少ないでしょう。セクハラとパワハラの問題などもあります。
かつては問題にならなかったことが、大きな問題になっています。そして多くの管理職は、この新しい事態に対する対処の方法をきちんと教育されていないのです。
今回の内容は、次の通り。
長時間労働は悪、職員のメンタルヘルス、セクハラとパワハラの防止、男女共同参画と多様な人材育成。

熱意ある社員は6%だけ

5月26日の日経新聞が、「「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査」を載せていました。
・・・世論調査や人材コンサルティングを手掛ける米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことが分かった。米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスだった。
企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達した・・・

連載「明るい公務員講座・中級編」第20回「意欲を持たせる指導」で、日本の会社員のうち仕事熱心な割合は7%であることを紹介しました。同じ調査の最新版のようです。6%か7%かは、誤差の範囲でしょう。無気力社員が24%という数字は、前回と変わっていません。全体として、変化はないようです。
回答者が、どの程度「本心」を答えているかは分かりません。しかし、仕事熱心な社員が、「私は熱意はないんです」と韜晦することは少ないでしょう。あるいは、上司が、部下を厳しめに評価しているのでしょうか。いずれにしても、良い数字ではありませんし、日本人は働き者だという「通説」を覆すものです。

ギャラップのジム・クリフトン会長のインタビューが参考になります。
「日本ではなぜこれほど「熱意あふれる社員」の割合が低いのですか」という問いに。
・・・日本は1960~80年代に非常によい経営をしていた。コマンド&コントロール(指令と管理)という手法で他の国もこれを模倣していた。問題は(1980~2000年ごろに生まれた)ミレニアル世代が求めていることが全く違うことだ。ミレニアル世代は自分の成長に非常に重きを置いている。
それ以上に問題なのは「不満をまき散らしている無気力な社員」の割合が24%と高いこと。彼らは社員として価値が低いだけでなく周りに悪影響を及ぼす。事故や製品の欠陥、顧客の喪失など会社にとって何か問題が起きる場合、多くはそういう人が関与している・・・

「どうすれば改善しますか」との問いに。
・・・主な原因は上司にある。上司の言ったことを、口答えせずに確実にやれば成功するというのが従来のやり方だった。このマインドセットを変えないといけない。上司と部下が一緒になってどう結果を出すか、部下をどうやって成長させていくかを考えることが上司の仕事になる。
それには部下の強みが何かを上司が理解することだ。これまでは弱みを改善することに集中するのが上司の仕事だったが、得意でないことが強みに変わることはない。無気力な社員の半数は自分に合っていない仕事に就いている。合った仕事に変えるだけで無気力な社員を半分に減らせる。

インタビューによると、アメリカでもこれに気づいてやり方を変えたのは、15年ほど前だそうです。原文をお読みください。

明るい公務員講座・中級編24

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第24回「職場管理の知識(2)情報の取り扱い」が発行されました。前回から、職場管理の知識を書いています。
私が公務員になった頃と大きく変わったのが、情報の取り扱いです。かつては「行政文書の取り扱い」と言っていました。文書の受け付け、回覧、起案、決裁、保存などを、「文書事務の手引き」で勉強しました。

その後の変化の要点は、
・手書きの書類だけでなく、複写機が普及したことと、電子メールを含め電子情報が増えたことです。「文書」でなく「情報」と呼ぶようになりました。
・もう一つは、情報公開を意識しなければならないこと。と同時に、個人情報保護という、相反する方向で注意しなければならないことです。
・情報セキュリティも求められるようになりました。
これらは、かつての「文書事務の手引き」には載っていないことです。
しかも、新しいこと、注意しなければならないことが、どんどん増えてきます。
今回の内容は次の通り。
情報の保管と公開、個人情報保護、情報セキュリティ、災害などへの備え、リスクへの備え。

明るい公務員講座・中級編23

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第23回「職場管理の知識(1)組織のリスク」が発行されました。今回からは、趣を変えて、あまり教えてもらえない職場管理の知識を書きます。

第1回は、組織のリスクへの対応です。法令違反は、私が言うまでもなく、してはいけないことです。それに、公務員は一般人より高い倫理が求められています。しかし、近年のはやり言葉に、「法令遵守」があります。民間では、偽装を繰り返していた企業。役所では、きちんとした仕事をしていなくて批判を受けた社会保険庁・・・。
あなたが法令違反をしてはいけないだけでなく、部下職員がそのようなことをしないように気を配る必要があります。長年その職場で習慣になっていた「ずる」を是正するのは、難しいですよね。しかし、ばれたら、あなたは申し開きはできません。もう一つ最近の言葉に「内部通報」があります。いわゆる「たれこみ」です。隠し事は、必ずれると思ってください。

今回の内容は、次の通り。
知らなかったでは済まされない、法令遵守、甘えは許されません、公務員倫理、公益通報制度、不当要求。

明るい公務員講座・中級編22

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第22回「部下の指導(6)困った職員への対応」が発行されました。
あなたの職場にもいるでしょう、仕事をしない職員、仕事ができない職員、身勝手な職員、セクハラやパワハラを繰り返す職員です。
昔もそのような職員はいたのですが、近年目立つようになってきたようです。特に、心の悩みを抱える職員です。統計でも、増加していることが分かっています。
なかなか良い対策はありません。しかし、面倒だからといって放置しておくと、納税者への説明がつきません。また、まじめに働いている職員に悪影響を与えます。
良い参考書もないようです。少しでもお役に立てばと思い、私の経験に基づいて書きました。今回の内容は、次の通り。
能力の劣る職員・積極性に欠ける職員、心の悩みを抱える職員、あなた一人で悩まない、短期的な評価と長期的な評判、悪い話は広がる。

ところで、前回の第21回の記事について、「私も、管理職が長いですが、職員評価の系統だった研修や、実地訓練を受けたことがありません。見よう見まねでやっていますが、自信がありません」というお便りをいただきました。多分、多くの管理職が、同じ思いだと思います。