カテゴリー別アーカイブ: 寄稿や記事

雑誌への寄稿や取り上げられた記事、講演録など

読売新聞「復興脱税」に発言が載りました

7月13日の読売新聞社会面「復興脱税 特需の裏で 下」に、私の発言が載りました。
記事は、福島での除染事業で工事を引き受けた会社の幹部が、下請け会社から多額の接待を受けるだけでなく2億円もの金銭を受け取っていたという事件についてです。

通常の利益のほかに2億円もの利益が出るとは、常識では考えられないことです。どうしたら、公共事業でそれだけの「利益」が出るのか。そしてそれを秘密裏でできるのかが、不思議です。どこにそのからくりがあるのか、役所もゼネコンもそれを明らかにしてほしいです。そうでないと、国民の公共事業に対する疑念はなくなりません。

私の発言は、これらの事業が全額国費でまかなわれ、被災自治体の負担がなかったことについてです。
・・・元復興庁次官の岡本 全勝 氏(66)は、この仕組みが費用を膨張させたと指摘し、「各事業に自治体負担を5%でも入れておけば、市街地整備や道路造成などについてより丁寧な議論が行われ、費用が削減できただろう」と振り返る・・・

ただし、正確には次のように考えるべきだと思います。
1 原発災害での復旧は、加害者である東電と国の責任です。よって、除染経費に(賠償済みの帰還困難区域を除く)、地元負担を求めるのはおかしいです。
2 津波被災地での公共施設復旧については、ほかの災害の例からしても、地元負担を求めて当然です。どの程度なら負担できるかは、検討しなければなりません。
3 原発被災地での公共施設復旧については、1に準ずるのでしょう。復旧以上の工事については、議論の余地があります。

毎日新聞対談に出ました

3月28日の毎日新聞対談「森健の現代をみる」「東日本大震災10年 今後の復興事業の課題は」に出ました。
・・・東日本大震災から10年、インフラなど復興が進む一方、被害の爪痕は各地に残っている。行政はこれまで何ができ、何ができなかったのか。今後の課題は何か。震災発生直後から9年半、復興事業に関わった元復興庁事務次官・岡本全勝さんに、ジャーナリストとして被災地取材を続けている森健さんが聞いた・・・。
森さんとは初対面です。栗原俊雄記者とお二人の的確な質問と構成で、読みやすい内容になったと思います。

指摘されている問題について、いくつか答えました。
人が戻らない点について。
・・・背景には戦後日本の社会通念と社会構造があります。子どもたちは都会に出ていって後継ぎがいない。津波で被災した後、借金してまで商店や工場を続ける気はない。高度成長は地方の農業や漁業、自営業者の子どもが都会に出てサラリーマンになることで支えられてきました。親も子もそれを望んでいた。その通念が変わらない限り過疎問題は解決できません・・・

産業が戻らない点については。
・・・工場の無料貸し出しや設備への補助金、ノウハウの提供など、これまでにないことに踏み切りました。国が直営する企業を作るわけにはいきません。国費で応援するとしても、銀行や投資家などが将来性のある事業に投資をして、産業が栄え雇用の場ができる、というのが望ましい。どこかで線を引かなければなりません。「ここまでは国費ですよ。ここまでは二人三脚ですね。ここからはあなたたちの責任ですね」と・・・

公明新聞に出ました

3月11日の公明新聞に、私のインタビューが載りました。取材の趣旨は、復興において、公明党の果たした役割です。次のようなことを話しました。「政治主導で復興を加速

1 自民党、大島理森・復興本部長、公明党、井上義久・復興本部長が、政治主導の形を作ってくださったこと。錯綜した課題に優先順位を付けてくださったこと。毎年、課題を整理して与党提言をまとめ、総理に提案してくださったこと。
2 原災本部現地本部長(経産副大臣)であった、赤羽議員と髙木陽介議員の活躍。難しい原発被災地との人間関係を、築いてくださいました。
3 浜田昌良議員ら、福島担当復興庁副大臣の活躍。時に厳しい局面になる避難者との対話集会で、正面から向き合ってくださいました。

毎日新聞「人口減 議論足りず反省」

3月10日の毎日新聞に、私のインタビュー「人口減 議論足りず反省」が載りました。佐藤慎一・元財務次官と一緒です。「官僚たちはどう復興を描いたか? 事務次官経験者2人に聞く

・・・2012年には復興庁が設置されたが、本格的な人口減少時代の復興は東日本大震災が初めてだった・・・その点、(政府の目標を)「創造的復興」ではなく「人口減少下での復興」といった言葉にした方が良かったのかもしれない。我々も「人口減少」は頭に入れていたが、その哲学と個別事業をつなぐ議論が十分ではなかったと反省している。南海トラフ地震など次の大災害が起きた時の復興の一番の教訓にして欲しい。
復興事業の多くがハード整備に充てられたと指摘されるが、担当者が必要がと思う事業を積み上げていった結果だ。仮に総額が半分だったら、優先順位は、まず被災者支援、そして産業・なりわいの再生だった・・・

読んだ人から、反応がありました。「良くあそこまで率直に反省を言えますね」とか。
良かった点とともに反省点も後世に引き継ぐのが、責任ある立場の役割と考えています。その点で、鋭い突っ込みを入れてくる記者は、ありがたいことです。