「寄稿や記事」カテゴリーアーカイブ

雑誌への寄稿や取り上げられた記事、講演録など

読売新聞静岡版に載りました

今朝7月6日の読売新聞静岡版に、私のインタビューが載りました。「元復興次官に聞く 熱海土石流 再建住民納得の議論を」です。
熱海市伊豆山での大規模土石流災害発生から1年が経ちました。街の復興にあたっての留意点をお話ししました。報道では原因となった盛り土の責任追及が大きく扱われているようですが、それはそれとして、住民にとって重要なことは、住宅と街をどのように再建するかです。

東日本大震災での復興でも、「国が決めれば、早くてよい案ができる」との声もありましたが、それは違います。自分たちの街をどのように再建するかは、住民と市役所が議論して決めることです。
もちろん、経験がない自治体には国などが技術的支援をする必要があります。東日本大震災では、いくつもの地区で、都市再生機構のお世話になりました。市役所職員も初めてのことでしょうが、住民が安心して暮らせるまちをつくることは、自治体の使命です。頑張って欲しいです。

朝日新聞、「国策」の責任

6月20日の朝日新聞社会面、「「国策」の責任」(下)に、私のかつての発言が載りました。

・・・国から被害者への謝罪もない。
「経産省からおわびが一言もないのは理解に苦しむ」
11年3月31日。経産省の会議室に、総務官僚だった岡本全勝氏の強い口調が響いた。当時、津波被災地域を支援する事務方トップだった。
原発事故の対応は、津波被災者の支援体制に比べ大幅に遅れた。会議は経産省が主催。津波対策をまねて、福島の避難者を支援する組織を立ち上げようと、各省庁の局長級を集めた。
だが、経産省は各省庁に課題と報告をさせるだけで方針をはっきり決めない。原発事故が起きた後に被災地や住民がどうなるかの想定を全くしてこなかった。それが露呈した。
各省庁の担当者はいら立ちを感じていた。岡本氏が発言すると、出席者は一様に頷いたという。
その後、復興庁次官や福島復興再生総局事務局長になっても、岡本氏は経産省から復興庁に出向してくる官僚らに言い続けた。
「なぜ経産省は謝らない。原子力安全・保安院がお取りつぶしになり、謝る組織がなくなったからか」・・・

このいきさつについては、拙著『東日本大震災 復興が日本を変える』28ページに書きました。そこでも引用しましたが、福山哲郎・当時官房副長官がその会議に出席しておられて、著書『原発危機 官邸からの証言』(2012年、ちくま新書)に書かれています。
失敗を起こした組織が、取りつぶされることがあります。ところがそれでは、おわびや償いをする主体がなくなることがあります。私は、それを「お取りつぶしのパラドックス」と呼んでいます。「責任を取る方法4

コメントライナー寄稿第4回

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第4回「憲法改正は地方自治の規定から」が配信されました。

制定後70年以上にわたって改正されなかった日本国憲法。世界で最も古い憲法になりました。ようやく国会において、憲法改正の議論が進み始めました。
では、どの条文を改正するのか。憲法第9条は第一の争点ですが、国民の間に大きな隔たりがあり簡単には進まないでしょう。私は、地方公共団体の機構の柔軟化が、意味がありかつ最も早く改正できると考えています。

憲法 第 93 条は、地方公共団体の二元代表制(大統領制)を定めています。私の提案は、二元代表制にするか議院内閣制などどのような機構にするかは、各地方公共団体が選べるようにするということです。
憲法が地方公共団体に二元代表制を義務 付 けたことは不思議です 。中央政府は議院内閣制です。地方自治の先輩であるヨーロッパやアメリカでは、様々な形態が採用されています。議長が市長を兼ねるもの、複数の委員が委員会を作り立法と行政を担うもの、議会が「市管理人」を任命して専門職の人が執行を担うものなどです。

なぜ、二元代表制以外の仕組みを認めるのか。一つは、簡素化です。もう一つは、議会に緊張を持ち込むためです。議院内閣制などにすると多数を占めた勢力は執行を担い、自分たちの主張を実行することになります。議論は緊張感のあるものになると考えられます。
小規模自治体では、二元代表制以外が効果的だと思います。従来通りが良いと考える地方公共団体には影響がありません。よって、改正は容易です。広く議論されることを期待します。