「新聞記事など」カテゴリーアーカイブ

読売新聞「あすへの考」に載りました

今朝6月8日の読売新聞「あすへの考」に、私の発言「人口減令和の処方箋 地方創生本気で大胆に…」が載りました。吉田清久・編集委員の取材を受け、思っていることを話し、質問に答えました。話がいろいろなことに飛んでしまいました。記事を読んで、このように構成するのかと、発言した本人が感心しています。

この問題は即効薬はなく、長期的に取り組む必要があります。そして、モノを作るのではなく、国民の意識を変える必要があります。それは行政の不得意な分野で、行政だけではできず、企業や非営利団体などの力も必要です。私の経験を元に、復興庁でうまくいったことを説明しました。
中見出しに「創生本部を常設の「庁」に。中長期の具体的目標設定も必要」とあります。

・・・石破政権は最重要政策に「東京一極集中是正」と「地方活性化」を掲げた。「令和の日本列島改造」と銘打ち、地方活性化への取り組みに総力を挙げる。政府が地方創生を最初に看板に掲げ、司令塔に地方創生相を新設したのは2014年のことだ(第2次安倍政権)。初代の地方創生相は石破首相だった。しかし、目立つ成果は出ておらず、人口減少や地方の地盤沈下に歯止めがかからない。再生策に決め手はないのか。地方復興に長年取り組み、霞が関で「ミスター復興」と呼ばれた岡本全勝・元復興庁次官に「地方再生・令和の処方箋」を聞いた。(編集委員 吉田清久)・・・

・・・地方の地盤沈下の原因は〈1〉過疎化と東京一極集中〈2〉少子化と人口減少―が挙げられます。
「過疎化と東京一極集中」で留意すべきは、その背景にある心理的な側面です。
誰しも「大人になったら親元を離れ、きらびやかな東京に出てみたい」と思う。かくいう私も奈良県明日香村で生まれましたが、高校卒業後は村を離れたままです。
地方には働く場所が少ない。仕事がなかったら、地元を離れた人は戻らない。この事実は私が復興に関わった東日本大震災でも痛感したことです。
とくに若い女性が地域に根付かないと指摘されています。高学歴化が進み、女性も高校を卒業して東京の大学に多く進学するようになりました。地域に戻らないのは、若い女性が希望するような職場がないからです・・・

次のような位置づけも主張しました。
・・・政治家は国民に対し、国家のグランドデザインを明確に示すべきだと考えています。その意味で、石破茂首相の施政方針演説(1月)に注目していました・・・
・・・国民に、安心できる将来像を示すことは政治の大きな役割です。冒頭に述べた石破首相の「楽しい日本」の提唱もこの文脈で考えるべきです・・・
・・・国の針路を示す羅針盤を失い、向かうべき方向が定まっていません。地方再生が、かけ声だけで、問題解決に至らないのもそのためではないでしょうか。
「令和版・地方再生の処方箋」を見いだす鍵はそこにあります・・・

大きな記事で、見つけた知人からたくさん反応がありました。「中央省庁改革で組織の減量を担当した役人が、新しい役所の創設を提言するのか」「紙面下の長嶋さんの写真より大きいのは問題だ」とも。すみません。
全身像の写真の背景は、市町村職員研修所の中庭です。「どこかの料亭の庭かと思いました」「ホテルの庭ですか」といったメールも来ました。

首相官邸の日程管理

日経新聞ウエッブ版に、清水真人・編集委員の「首相官邸は1日にして成らず 政策の前に人事と日程管理」(2024年8月8日)に、私の発言が載っていることを教えてもらいました。これは、7月30日にPHP総研フォーラム「官邸の作り方ー総裁選を前に政治主導の未来を考えるー」に出演した際の発言です。1年近く前の話です。

・・・首相官邸は1日にして成らず。新首相が官邸を円滑に立ち上げるには3カ月の準備期間が欲しい――。政策シンクタンクPHP総研のこんな提言が永田町で関心を集めている。新首相にとって新しい目玉政策の展開も大事だが、その前に政権運営を安定させる官邸中枢の人事配置、重要日程の掌握や危機管理の備えが先決だと訴える・・・

・・・元復興次官の岡本全勝「08〜09年の麻生太郎内閣では、私を含め2人で首席首相秘書官の役割を分担した。首相の一番重要なリソースは時間だ。日程管理では首相に誰を会わせるか会わせないか、いつ何分、首相の時間を取るかが最も大事な仕事だった」

7月30日、PHP総研がこの報告書をテーマに開いたウェビナー。牧原や岡本らパネリストは日程管理の重要性で一致した。意外にも聞こえるが、報告書は新首相が早く展開したいはずの新しい政策について「政策プログラムの着手は急ぐな」と戒める・・・

日経新聞「花火頼みの政治の行方」に出ました

5月11日付けの日経新聞「風見鶏」、山内菜穂子記者の「花火頼みの政治の行方」(紙面の見出し)、ウエッブ版では「政治は「花火」頼みか 子育てケアマネ論争が映す支援のあり方」に、私の発言が引用されました。文脈がわからないと、私の発言の位置づけが理解できないので、その前後を少々長めに引用します。記事は結構長いものです。ご関心ある方は、原文をお読みください。

・・・4月中旬、子育て支援団体などが国会内である会合を開いた。「子育てケアマネ」導入や保育の拡充を求める集会だ。多くの与野党の議員が駆けつけた。
子育てケアマネはフィンランドなどの事例を参考にした取り組みで、専門家が妊娠期から母親と信頼関係を築き、相談にのるという。虐待や産後うつを防ぐ役割も期待される。子育て世代に直接届く「経済的支援」ではない。
元議員が「3年以内に全家庭に実現する」などとX(旧ツイッター)に書き込むと、思わぬ反応があった。
「むしろ障害児支援や病児保育を充実して」「保護者が休める環境づくりが最優先では」――。賛成を上回る勢いの反対論が出た。
集会に参加した日本維新の会の金村龍那衆院議員は「最適な支援につなぐのが子育てケアマネだ」と導入を唱えていただけに、ネットの声に驚いたという。
子育てのニーズは多様だからこそつかみにくい。政治の訴えは誰にでもわかりやすい経済的支援に偏りがちだ・・・

・・・少子化や持続可能な社会づくりに詳しい日本総研の村上芽チーフスペシャリストは「子育てしにくいと感じる根本的な原因は一つではない」と語る。「雇用・労働環境など経済的支援では解決できない課題も含め、長期的な議論が必要だ」と強調する。
たとえば、経済的支援では改善しない男性を中心とした長時間労働の問題。育児の負担が偏り、孤独な子育てに悩む女性は多い。
休息や気分転換に子どもを一時預けたいとの要望は強い。自治体によっては保育園などで生後6カ月程度から一時保育する制度があるが、都市部では予約枠がすぐに埋まりがちだ。
枠を増やすのに壁になるのは保育士不足だ。政府は処遇改善策に取り組むが、24年の平均月給は全産業平均に比べてなお8万円ほど低い。処遇改善は必要性が高い割に、子育て世帯が実感しやすい経済的支援に比べて目立たない。

麻生太郎政権で首相秘書官を務めた岡本全勝元復興次官は給付金などの経済的支援を念頭に「選挙を意識し、分かりやすい『花火』を打ち上げ過ぎだ。その手前にある問題や中長期の課題に目を向けなければ、政治と民意の間にずれが生じる」と話す。
翻って子育てケアマネを巡る反対論。そこには新たな政策よりも、目の前の問題の解決を優先してほしいとの思いがうかがえる・・・

復興庁オーラルヒストリー

復興庁が、東日本大震災の教訓継承の一つとして、当時の関係者に聞いて「東日本大震災に関するオーラルヒストリー」を記録しています。
私も、2024年11月11日に受けました。それが文字になって、復興庁のホームページに載りました。ほかにも聞き取りを受けた人もいて、順次このホームページに載るとのことです。

復興庁は、すでに「東日本大震災 復興政策10年間の振り返り」をまとめました。これは立派な記録です。このときも取材を受けて、当時のことを話しました。
それに対し今回の聞き取りは、それぞれの人がその立場で、どのように見ていたか、どのように行動したかがわかります。偏っている恐れはありますが、「血が通っている」といったら良いのでしょうか。実感がわきます。

他の人の分を読むと、私の知らないことや、間違って覚えていたこと、忘れていたことがいくつもあります。このような記録を残すことは、価値があるとわかります。
私は、他人を傷つける恐れのある内容は削除したのですが、良いことばかりでは後世の参考にならないと思い、辛口のことも残しておきました。
ところで、原発事故対応や新型コロナ感染対応などは、このような記録は残っているのでしょうか。

朝日新聞オピニオン欄に載りました

今朝2月21日の朝日新聞オピニオン欄「複合災害、防災庁の役割は」に、私の発言「一元的窓口と司令塔機能、重要」が載りました。中林一樹教授と並んでです。
・・・能登半島地震の被災地は、復旧の途上で豪雨災害に見舞われた。複合化・激甚化する災害に対して、石破茂首相は防災庁を2026年度中に設置する方針を示し、議論が本格化している。今後起こりうる災害に備えるため、国や自治体に求められるものとは・・・

かなり詳しく取り上げてもらいましたので、記事をお読みください。私の主張の主な点は、次のようなものです。
・防災庁は内閣府防災部局の充実と復興支援を(政府に復興を支援する組織がない)
・防災庁は窓口の一本化と司令塔機能を(実働部隊はそれぞれに任せる)
・官邸に置く「本部」より「館」を構える長所がある(復興庁の経験)
・生え抜き養成は非効率、各省庁の専門家を生かせ(出戻り組の活用を)
・能登地震が人口減時代の復興の試金石(過疎地では元の街に戻すことは不可能)

朝日新聞ウェッブ版では、より詳しく述べています。「「ミスター復興」の反省と防災庁への注文 選択と集中で生活の再建を」(2月20日配信)
・・・石破政権肝いりの「防災庁」新設へ向け、検討が本格化している。複合化・激甚化する災害に平時から備え、緊急対応と復興支援の要となる新組織には、どのような体制が求められるのか。東日本大震災の復興に長年携わり「ミスター復興」の異名を持つ岡本全勝・元復興事務次官に、課題を聞いた・・・

例えば次のような文章。
「現在の内閣府防災と復興庁、そして東京電力福島第一原発事故の被災者支援部門を統合し、各統括官の下で役割を分担するのが、組織統制上もよいと思います」