カテゴリーアーカイブ:社会の見方

国鉄からJRへ、38年

2025年2月22日   岡本全勝

1月29日の日経新聞に「国鉄超えたJRの歴史、純利益15倍に 10の数字で解剖」が載っていました。巨額の赤字を生んでいた国鉄が、民営化によってここまで変身しました。
・・・1987年の分割民営化で誕生したJRグループは、2025年1月29日に旧国鉄(日本国有鉄道)の存続日数「1万3818日」を上回る。公営から民間に転身して約37年10カ月、本州3社の純利益は15倍に増えた。歴史的な民営化がもたらした変化を10の数字で解剖する・・・

・2024年度の連結純利益見通しは本州3社で総額7020億円。民営化した1987年度の15倍になりました。
・1965年頃の従業員数は約46万人。現在は7社で約17万人です。

2%成長が10年続くと

2025年2月19日   岡本全勝

日本の国内総生産(DGP)が600兆円を超えたと、内閣府が公表しました。喜ばしいことですが、「ようやくか」との思いがあります。500兆円を超えたのが1992年(504兆円)で、それから32年かかりました。

2月18日の読売新聞1面が、折れ線グラフで示しています。この図は優れものです。「GDP 初の600兆円超 24年 500兆超えから32年 名目2.9%増
・・・名目GDPは、高度経済成長期を経て、1973年に初めて100兆円を超えた。約5年ごとに100兆円ずつ増え、92年には500兆円台を突破。その後はバブル崩壊や低成長で長期間伸び悩んだ・・・
100兆円超えが1973年、200兆円超えが78年、300兆円超えが83年、400兆円超えが88年、500兆円超えが92年と、確かにほぼ5年ごとに100兆円ずつ増えています。もっとも、100兆円から200兆円は2倍、200兆円から300兆円は1.5倍と、伸び率はしだいに低くなっています。

ところで、もし2%成長が続いていたら、10年で(1.02の10乗は)1.2倍、30年で1.8倍になっていたはずです。すると、900兆円です。3%だとすると、10年で1.3倍、30年で2.4倍になります。
1991年から30年間の経済成長外国比較」「経済停滞30年の原因私見2

鎌田浩毅著『大人のための地学の教室』

2025年2月15日   岡本全勝

鎌田浩毅・京大名誉教授が『「地震」と「火山」の国に暮らすあなたに贈る 大人のための地学の教室』(2025年2月、ダイヤモンド社)を出版されました。

宣伝文には、次のように書かれています。
「東日本大震災によって日本列島は地震や火山噴火が頻発する「大地変動の時代」に入った。その中で、地震や津波、噴火で死なずに生き延びるためには「地学」の知識が必要になる。本書は、京都大学名誉教授の著者が授業スタイルの語り口で、地学のエッセンスと生き延びるための知識を明快に伝える」

いつもながら、わかりやすいです。400ページを超える本ですが、1800円(税抜き)です。今時、この値段でこれだけの内容の本は、めったにないでしょう。

後書きに、産業技術総合研究所の地質図が紹介されています。その一部(大分・熊本県境の宮原地域)は、鎌田先生が若き日に実査をして作られたとのこと。縮尺5万分の1の地質図を1枚作るのに、15年間没頭されたのです。

増えた大卒、希望する職とのずれ

2025年2月15日   岡本全勝

1月20日の日経新聞に「増えた大卒、職とミスマッチ 「事務希望」は17万人過剰」が載っていました。

・・・製造や建設などの現場が人手不足に苦しむ一方、"人手過多"となる職種が生まれるミスマッチが起きている。特に事務職は求職者が求人を17万人上回る。ここ30年で高卒就職者は7割減ったのに対し、大卒就職者が4割近く増えたことが一因だ。成長に必要な労働力を確保するには、働き手を増やすだけでなく求人と求職者のズレを埋める必要がある。

厚生労働省がハローワークの状況をまとめた一般職業紹介状況(24年11月、パートを除く)によると、「建設・採掘」は求人が11万2千人で求職者(1万8千人)の6.2倍、ドライバーなど「輸送・機械運転」は2.4倍、製造などの「生産工程」は1.7倍に上る。情報・通信技術者や看護師など「専門的・技術的職業」も2.1倍だ。
対照的に大卒文系の多い「事務」は求職者が30万5千人と求人(13万3千人)を大きく上回る。

背景には過去30年で新卒就職者の学歴構成が大きく変わったことがある。
学校基本調査によると、24年に就職した高校(全日・定時制)新卒者は12万9千人で1994年の45万9千人から7割減った。高卒は製造・建設業などの人材供給源だったが、同分野への就職者は直近で6万人程度と30年前に比べて6割減った。団塊の世代が2010年代に65歳以上となって退職が相次いだ影響もあり、人手不足が深刻化した。
大学新卒者は45万2千人で30年前(32万5千人)より4割近く増えた。以前から多かった専門職や事務職に加え、販売職やサービス職も増え進路が広がったものの、製造業や建設の現場を選ぶ人は少ないままだ。
きついイメージのある職が敬遠されやすいほか、賃金面の要因もあるとみられる。賃金構造基本統計によると、専門職の39万1千円、事務職の33万円に対し製造現場など「生産工程」は30万2千円となっている。

・・・労働需給のギャップは一段と開く。リクルートワークス研究所の推計で、ドライバー(輸送・機械運転・運搬)は40年に99万8千人が不足。413万2千人の必要人数に対し不足率が24%に達する。建設は65万7千人で不足率は22%。生産工程は112万4千人で同13%だ。

・・・相次ぐ大学や学部の新設もズレを広げた。大学数は1974年度の410校から2024年度は813校になり、学部数も2倍以上になった。
金子元久・筑波大特命教授(高等教育論)は「1960年代以降、法学や経済学、商学など比較的に低コストの分野の学部が増えた。企業側は採用後に自ら訓練するのが前提だったので大学での教育内容を問わなかった」と説明する。
少子化による生産年齢人口の縮小が進むなか、個々人の知識や技能、能力などを最大限引き出す「人的資本経営」の考え方が広がる。社会・経済に必要とされるのはどんな人材で、どう育てるのか。限られた働き手を生かすには、教育界と企業が向き合い"昭和型"の人材育成から脱却することが求められている・・・