カテゴリーアーカイブ:社会の見方

市場経済を成り立たせる条件

2009年11月27日   岡本全勝
日経新聞「やさしい経済学」(経済教室の下の欄)に、中林真幸東大准教授が、「日本の長い近代化と市場経済」を連載しておられます。
明治以降の日本の発展の基礎に、江戸時代の識字率などがあったということは、定説になっています。制度は、文化資本がないところでは、育ちにくく、また「輸入」も困難なのです。
先生は、人がモノを交換すると、満足が増える。しかし、初めて見るモノの品質を、交換前に知ることは容易ではない。どうして、交換による損失を少なくするか。
一つは、長期の取引関係をつくることである。しかし、これでは、見知らぬ相手とは取引できない。自由な経済市場をつくるには、強い第三者に執行を担保してもらう。すなわち、国家をつくるしかない。
として、織田信長から明治時代の、市場経済を成り立たせた要因を分析しておられます。興味深いです。

増税への理解

2009年11月25日   岡本全勝
25日の読売新聞は、社が実施した世論調査の結果を載せていました。それによると、社会保障制度を維持するため、消費税率引き上げはやむを得ないと思う人は61%で、そうは思わない37%を大きく上回りました。
前回2008年7月の調査に比べ、14ポイントも増えたとのことです。詳しくは、記事をお読みください。

弱い者が発展する、続き

2009年11月24日   岡本全勝
昨日書いた「弱い者が発展する」に、何人かの人から、反応がありました。予想していたのですが(苦笑)。
「その前に、飢え死にしてしまいます」「それは、運のいい人だけです」などなど。
でも、今の部署にしがみついていながら、「発展がない」なんて不満を言わないでください。また、追い出されて発展した人を、やっかまないでください。安住に発展なし。ローリスク・ローリターン。冒険に、発展あり。ハイリスク・ハイリターン。

弱い者が発展する

2009年11月23日   岡本全勝
吉村仁著「強い者は生き残れない-環境から考える新しい進化論」(2009年、新潮選書)を読みながら、かつて議論した次のようなことを、思い出しました。この本の内容からは、ずれるのですが。
強い者と弱い者の、どちらがその後、発展するかです。条件が変わらなければ、当然、強い者が勝ち残ります。しかし、同じ条件や環境は、長くは続きません。すると、弱い者が次の時代の勝者になるのです。
暮らしやすい森を追われた哀れな猿が、その後、人類に進化しました。森に残った強い猿は、そこで進化を止めました。追い出された方は、二本足歩行を始め、様々な生き残り戦略を、工夫しなければなりませんでした。
ヨーロッパで暮らしにくかった人、食っていけなかった人は、新大陸に追い出され、そこで今日の発展を作り上げました。
NHK朝の連続ドラマ「おしん」では、兄は家に残り貧しい農家のままでした。口減らしに追い出されたおしんは、努力して豊かになりました。
資源に恵まれなかった日本は、技術を発展させ、経済大国になりました。日本よりはるかに資源に恵まれた国は、そんなことをしなくても豊かでしたが、技術は日本より後れました。
弱い者が、従来の場所を追い出されます。そして、次の場所は、必ずしも暮らしやすい場所ではありません。条件が良い場所ならば、強い者が先に行くはずです。そして、その条件の悪い場所で、適応し、能力を伸ばした者が、発展するのです。会社や組織でも、同じような例はたくさんあるでしょう。会社や学問にあっては、従来の場所はそのうちに飽和します。新天地を開拓しない限り、次なる発展はないのです。
もちろん、追い出された者が、すべて成功したわけではありません。努力とともに、運も必要でしょう。

持田先生の財政学教科書

2009年11月21日   岡本全勝
持田信樹東京大学教授が、「財政学」(2009年、東大出版会)を出版されました。大学での教科書です。
財政支出において社会保障費を、また租税論の中で社会保障負担を取り上げておられることが、一つの特徴です。近年の財政構造を、反映しています。また、財政赤字と、財政システムの将来として福祉国家を論じておられます。これもまた、新しい時代を反映したものです。地方政府の役割と政府間財政関係にも、1章を割いておられます。
わかりやすい教科書です。私が大学で学んだ財政学は、貝塚啓明先生と林健久先生でした。30年以上も前になるのですね。その後、地方財政を専門とすることも、経済財政諮問会議に関わることも、夢にも思いませんでした。