カテゴリーアーカイブ:社会の見方

2020年のオリンピック、何を見てもらうか

2013年9月14日   岡本全勝

2020年のオリンピックが東京に決まり、お祝いムードに包まれています。「経済効果がいくらになるか」といった報道もありますが、それ以上に社会に与える影響には、大きなものがあると思います。
子どもたちが、「僕もオリンピックに出るのだ」と言っているニュースを見ると、若者に与える希望とその後に続く努力は、金銭では評価できません。
世界中から、大勢の運動選手と観光客とメディアが日本に来ることの効果も、大きいです。その際に、何を見てもらうか。何を思い出に持ち帰ってもらうか。そのためには、どのような大会にして、どのような日本にするか。私たちの、構想力が問われます。
2020年まで後7年。7年は、社会の大きな課題を解決するには、適当な期間ですね。2~3年では短すぎます。10年を超えると、遠い将来のことで現実感がなくなります。
7年後はどうなっているか、7年後はどうするか。
私が携わっている復興は、ちょうど発災以来10年目になっています。区切りをつける年です。復興庁の設置期限でもあります。立派に復興を成し遂げた姿を、見てもらいたいです。
日本社会全体では、どうか。前回の東京オリンピックは1964年。敗戦(1945年)から19年。よく言われるように、日本が敗戦から立ち直り、高度経済成長の時代でした。1968年には、GDPで西ドイツを追い抜き、世界第2位になりました。
2020年は、バブル崩壊(1991年)から30年。安定した経済になっていたいです。高齢化はさらに進み、世界のトップを走っています。世界各国に、活力ある明るい高齢社会を、お見せしたいです。
他方、犯罪の少ない清潔な街、勤勉かつ誠実で助け合う日本人といった日本のよいところは、半世紀経っても変わっていないことを見せましょう。
そして、あなたは、どうなっているでしょうか。あるいは、どうしていたいですか。私は65歳になっていて、う~ん・・・。

日本語に守られる日本的思考

2013年9月12日   岡本全勝

新聞には、論壇誌を紹介する欄があって、1月に一度、各論壇誌から主な論文を紹介しています。たくさんの雑誌に目を通す時間のない私たちにとって、便利なものです。ところで、読売新聞には、「海外メディア」の欄があって、海外の雑誌や新聞の論説を紹介しています。ハタと、思い当たりました。多くの日本人は、国内の新聞と雑誌しか、目を通していないのですよね。
もちろん、英字新聞や雑誌に目を通している外国通のインテリも、たくさんおられるでしょう。しかし、政治・行政・経済界で、毎日定期的に幅広く海外メディアとその論説に目を通している人は少ないでしょう。自らの本業関係には、それぞれ目を通しておられるでしょうが。
すると、どうしても、国内だけの視野と発想になります。政治・行政そして学界(文系)・メディアが、日本語=日本国内だけの世界に閉じこもっていることを、私は「日本語という非関税障壁に守られた世界」と、表現しています。
読売新聞のほかに、インターネットの会員制情報誌「フォーサイト」に、会田弘継さんが「国際論壇レビュー」を書いておられます。なるほどと思うことが多く、勉強になります。

直接支援政策と環境整備政策

2013年9月11日   岡本全勝

9月10日の日経新聞経済教室、奧野正寛・東大名誉教授の「政策『先送り』今こそ脱却を」から。
・・一つの経済では、時間とともに、ある産業が成長し、代わりに別の産業が衰退する。その過程で衰退産業から成長産業に、ヒト・モノ・カネなどの資源が移動することが、経済が全体として成長するために必要である。しかし、資源が企業間・産業間で移動するには摩擦がつきまとう・・
そのような産業構造の転換に伴う一時的な失業問題を解決しようとする政策が、産業調整政策である。伝統的に産業調整政策は「積極的産業調整政策」と「消極的産業調整政策」に分けられてきた。これらに「環境整備政策」を加えるのが適切かもしれない。
「積極的産業調整政策」とは、成長産業に資源を誘致するため補助金などの政策援助をするものである。他方、「消極的産業調整政策」とは、衰退産業での雇用や資源利用を援助し、失業の痛みを減らそうとする政策である。「環境整備政策」とは、どの産業が成長産業であるかが分からなくとも、職業訓練などの求職者援助政策によって、資源の産業間移動を促進しようとする政策である・・
消極的産業調整政策は短期的に失業を抑えるプラスの側面がある一方、長期的には、成長産業への資源の移動を抑制し一国経済の経済成長を妨げるという問題を抱えている。日本経済の新陳代謝が妨げられ、潜在成長率が低迷している背後には、日本経済の構造調整を「先送り」させるこれらの政策的・制度的措置があると考えられる・・

リーマン危機の大きさ

2013年9月8日   岡本全勝

日経新聞「日曜に考える」は、先週9月1日から、「シリーズ検証、危機は去ったか、リーマン・ショック5年」が始まりました。世界経済を揺るがせたリーマン・ショック。まだ近過去のことなので、全体像を簡単に書いたものはないようです。
どのようにして起きたのか。それは記事をお読み頂くとして、出てくる数字の大きさに驚きます。破綻したリーマン・ブラザーズの負債総額は6,130億ドル(60兆円)。資本の32倍です。AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)の経営危機の原因となったCDS(クレジット・デフォルト・スワップ。倒産保険)は、取引規模(想定元本)で58兆ドル(5,800兆円)でアメリカGDPの4倍です。
うまくいっているときはよいですが、いったん信用がなくなると、とんでもないことになります。

情報の爆発を生かす

2013年9月1日   岡本全勝

8月30日日経新聞経済教室は、坂田一郎・東大教授の「IT戦略を問う。高度な人材育成の強化を」でした。
ビッグデータへの期待が高まっています。しかし、期待とは異なり、情報の量と種類の増加に比べて、経済社会で活用されているのは、ごく一部にとどまっています。その背景にある、3つの壁を指摘しておられます。
1つは、技術と人材の不足です。2つめは、情報を有効に生かすビジネスモデルの企画構想力の不足。3つめは、情報の利活用を進めるための社会システムの不足です。
膨大な情報を活用できるかどうか。分析をする側に、それを使ってどのようなビジネスに生かすか、どのような社会問題を解決するかを的確に認識していないと、価値はありません。
「情報科学者の関心は技術に偏りがちであり、市場や課題を深く知る人材との間に溝がある」と、先生は指摘しています。
詳しくは、原文をお読みください。