カテゴリーアーカイブ:社会の見方

社会の変化と地位の変化。百貨店と銀行

2014年4月17日   岡本全勝

4月13日の日経新聞「シリーズ検証 流通革命50年の興亡」は、「老舗百貨店、まさかの統合」でした。三越と伊勢丹、松阪屋と大丸、阪急百貨店と阪神百貨店。伝統ある百貨店が、2007年前後に、相次いでライバルと合併しました。当時このニュースを聞いて驚きました。
記事には、1960年以降の、百貨店とスーパーマーケットとコンビニエンスストアの売上高が、折れ線グラフで出ています(もっとも、昔はスーパーもコンビニもなかったので、それらの数値は途中からです)。
日本の経済成長や業界の発展を反映して、それぞれ初めのうちは右肩上がりですが、1981年にスーパーが百貨店を抜き、1990年頃から百貨店が右肩下がりになります。そして、2007年にコンビニが百貨店を追い抜きます。
J・フロント(松坂屋+大丸)の奥田努相談役が、1970年代のアメリカの事情を語っておられます。アメリカでは、1970年に200社あった百貨店が、1990年には150社になり、2006年には20社を切ったとのことです。
百貨店の合併も驚きましたが、1990年代の都市銀行の合併の方が激しかったです。若い人は、知らないでしょうね。私の大学の同級生がたくさん金融機関に就職しましたが、数年前の同窓会で、同じ名前の銀行や証券会社にいたのは一人もいませんでした。
私は、先進国へ追いつく過程で、次の3つが大きな機能を果たした(地位が高かった)。しかし、追いついたこと、そして日本社会が成熟したことで、そのままでは意義が薄れたと、指摘したことがあります。まあ、話を極端にしているので、そう思って読んでください。
1つは、官僚です。日本が進むべき方向を示します。それは富国強兵、産業振興、インフラとナショナルミニマムのサービス整備でした。
効率よく機能したことで、日本の官僚制は高い評価を得ていました。しかし、目的を達成したことで、そのままの「業態」では、意義が薄れます。
2つめは、銀行です。産業振興やインフラ整備の際に、資金を供給します。これも、間接金融が主要な時代は大きな役割を果たしますが、直接金融の時代になると、存在意義が薄れます。
3つめは、百貨店です。官僚が方向を示し銀行が資金で後押しした「成果」である経済成長を、消費の面から象徴するのが百貨店です。豊かになった庶民が、あこがれの品を買いに行きます。しかし、これも日本が先進国に追いつくことで、あこがれの品はほとんど手に入るようになり、百貨店のありがたみが薄れます。かつては、百貨店のイギリスフェア、フランスフェアが賑わい、大食堂がハレの場でした。サザエさんや、ちび丸子の世界です。
銀行と百貨店にあっては、バブル景気による「見せかけの栄華」と、そのあとの「転落」が、合併などの結果につながりました。

人口ピラミッドの変化

2014年4月17日   岡本全勝

日本の高齢化と少子化で、人口ピラミッドが、三角形から提灯型になり、さらに逆三角形に近くなっていることは、皆さんご承知の通りです。それを、動画で見ることができます。「国立社会保障・人口問題研究所」のホームページです。画面の左下にあります。
蠕動運動みたいに、重心が動きます(上昇します)。動画としてはおもしろいですが、重たい内容です。読売新聞に紹介されていました。

違うテーマで署名記事2本

2014年4月16日   岡本全勝

今朝16日の朝日新聞1面に、「原発事故からの避難、移住進む 家や土地取得1791件」が載っていました。中村信義記者の署名入りです。2面に、「党拡大、資金集めの呪縛 渡辺前代表8億円問題、軌跡を追う」の記事があり、中村信義記者の署名が入っています。復興と政治資金をテーマに2本の記事、それも1面と2面。他の記者との連名とはいえ、大活躍ですね。

大学、社会との関わり方の変遷

2014年4月15日   岡本全勝

東京大学広報誌「淡青」2014年3月号に、馬場靖憲教授が「東大産学連携の歴史と展望」(p15)を書いておられます。
・・日本の大学は、特に東京大学は、欧米の先進技術を吸収して民間へ技術移転するための組織でした。大学は国の発展を支えるエンジンであり、意識するまでもなく産学連携は盛んだったのです。戦時中、国家のために産業界と連携して軍艦や兵器を作ったのは、いわば当然でした。
そうした反省から、戦後は産学連携が下火になります。1960年代には、大学紛争の影響もあり、大学が企業と関わること自体がタブー視され、産学連携は停滞しました。それが、1998年のTLO法(大学等技術移転促進法)策定を機に、再び熱を帯びていまに至るわけです・・
なるほど。社会と研究の関係について、この説明はわかりやすいです。
司馬遼太郎さんは、明治期の帝国大学を「文明の配電盤」と表現しました。後進国の日本が先進国に追いつく際には、帝国大学や官僚の役割は明確でした。しかし、追いついたときに、「輸入総代理店」の役割は小さくなりました。
大学は、教育分野では有為な社会人を育成するという役割を続けつつ、研究分野においては先進国と伍して最先端の研究を行うことになります。自然科学系は、この転換に成功したようです。研究者は、国境を超えて活躍しています。イギリスやアメリカの学会誌に論文を載せ、ノーベル賞などの国際的な賞も得ています。

数字で見える都市の活力

2014年4月11日   岡本全勝

3月31日の日経新聞特集「グローバルデータマップ」に、世界各都市の空港について、国際線の利用状況比較が載っていました。国際線が飛んでいる先の都市の数、国際旅客者数、総発着回数です。その都市のビジネスや観光の活発さがわかる指標です。
ロンドンは、351都市と結ばれ、年間1億2千万人が利用し、発着回数は110万回です。パリが、255都市、7,100万人、75万回。ニューヨークが、132都市、3,600万人、118万回(ロンドンと発着回数は変わらないのに、なぜか利用者は3分の1以下です)。
それに対し、東京は88都市、3,300万人、56万回です。香港が、138都市、5,300万人、34万回。ソウルが、143都市、3,800万人、37万回。シンガポールが、134都市、4,700万人、31万回です。
もちろん、地理的条件などの要素もあって(ヨーロッパは近くに外国が多い)、それだけで単純に「都市の活発さ」にはなりませんが。東京がアジアのより小さな都市に負けているのは、気になります。
人の動きが、都市の活力や豊かさの指標とは言い切れませんが、重要な指標の一つであることは、間違いありません。国内で言えば、新幹線の通っているところが、経済的豊かさとほぼ重なります。もっとも、新幹線ができたから経済が活性化したという、ニワトリと卵の議論はあります。
しかし、地元の大金持ちが1人や2人いて大散財するのと、域外から観光客やビジネスマンが来て、一晩に2~3万円(宿泊費と飲食費。このほかにお土産)を使ってくれるとしたら、100万人来ることの効果ははるかに大きいです。
そして、もう一つ。域外からの人が来ることは、都市に変化をもたらします。地域が活力を持ち続けるには、カネを生み出すこと、カネを呼び込むことといった経済力と、発展を続けるという革新性、更新力が必要です。