カテゴリーアーカイブ:社会の見方

学問を進化させる社会の条件、中山茂先生

2016年7月24日   岡本全勝

先日、その一部を紹介しましたが、中山茂著『パラダイムと科学革命の歴史』(2013年、講談社学術文庫)が勉強になりました。科学の進化には、通常科学と科学革命があること。すなわち、社会の常識となっている自然の見方(パラダイム)を科学革命が壊し、新しいパラダイムを設定します。コペルニクスであり、ニュートンであり、アインシュタインです。そして、その後の科学者は、そのパラダイムの下で、それを精緻化する作業(通常科学)をします。そして、次の科学革命が起き…と繰り返されます。
そのほか、どのような要素が、科学の進化に影響を与えたかが、社会学的に分析されています。中国官僚制(科挙)と紙と印刷技術が、学問を固定化し訓詁の学を生んだこと。それらがなかった、あるいは遅れたイスラムと西洋では、話すことで学問が進んだことなど。なるほどね。
17世紀以降の科学の進化と、学会の役割、大学の機能、大学院の機能。これらが、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの順に、それぞれが置かれた歴史、社会的背景から勃興してきたこと。それらを19世紀に「輸入」した日本の場合。その輸入学問の効率性と限界が指摘されています。
科学や学問の進化が、それを生みだす社会とどのような関係にあるのか。大学や大学院の機能と限界、日本の学問の限界などが、わかりやすく解説されています。これまで断片的に知っていたこと、何となく考えていたことが、理路整然と説明されています。随所で、なるほどと思います。社会学、歴史として、とても面白い本です。文庫本で読みやすく、お勧めです。基となった本は、1974年に出ています。もっと早く読めば良かったです。反省。

社会主義国家日本

2016年7月20日   岡本全勝

日経新聞7月17日「日曜に考える。激動人民元」、凌星光・中国社会科学院研究員の発言。凌さんは東京出身、一橋大学を中退後、新中国へ帰国し、研究者として活躍します。1978年、中国社会科学院の日本経済研究グループ長に就任し、翌年、視察団として日本を訪問します。そのときの感想です。
・・・これこそ中国が求めている社会主義だと思った。高度成長で貧富の格差が縮小し、社会保障制度が整い、社会のモラルが高かった。日本は資本主義の国だが社会主義的な要素が多く、中国の改革は日本に学ぶべきだと訴えた・・・

相を反映する食事、食費

2016年7月16日   岡本全勝

7月16日の朝日新聞天声人語は、「エンゲル係数の上がる国」でした。
・・・明治の昔、日本のエンゲル係数は60~70%で推移した。昭和の初期は50%前後に下がったが、敗戦による窮乏で再び60%前後に戻った。高度成長をへて20%台へ下がった・・・それが再び25%を超えたそうです。
貧しさの反映ということより、世相を反映している部分が興味深いです。
・・・調理済み食品を買って家で食べる人が増えた。レジ前での大藪さんの観察によると、いまや買い物カゴの中身は、女性客がお総菜、若い男性が即席麺、高齢男性はお弁当である。これら「中食」の急増が係数を押し上げた・・・
なるほどね。若い人のカップ麺やコンビニ弁当依存は、心配になります。栄養が偏りますよね。彼らのエンゲル係数はかなり低く、逆に、スマホなどに使っている通信費が大きくなっているでしょう。

高岡さんの新著

2016年7月8日   岡本全勝

高岡望・前ヒューストン総領事が「アメリカの大問題―百年に一度の転換点に立つ大国」(2016年、PHP新書)を出版されました。
毎日のようにアメリカの問題が報道されます。しかし、そのできごとを大きな視点から見ると、違ったことが見えてきます。この本は、格差、力、エネルギーという3つの切り口から、アメリカのそして世界の構造変化を分析しています。ヒューストンというホットな地域からの具体的なレポートであり、大きな視野からの分析です。時宜を得た出版で、お薦めです。
高岡さんは、以前に「日本はスウェーデンになるべきか」(2010年、PHP新書)も出版されています。忙しい公務と日常の中で、話題を集め書きためておられたのでしょうね。頭が下がります。

インターネット書き込みの失敗

2016年6月30日   岡本全勝

朝日新聞6月23日生活欄に、「ネット炎上、招かぬ極意は IT専門家、実例交え伝授」が載っていました。詳しくは本文を読んでいただくとして。極意は、次のようなもののようです。
・・・教室のスクリーンに東京・渋谷のスクランブル交差点の写真が映った。真ん中に学校名や携帯番号を書いたボードを掲げた少女が立っている。
「インターネットにものを書くということは、この交差点に掲げることと同じ。まだこの交差点の方がましなくらいです」。通るのは1日40万人。ボードを下ろすこともできると解説し、「でもインターネットは一度あげたら二度と下ろせません。全世界に公開され続けます」と加えた・・・
・・・家の玄関ドアに貼り出せる内容なら、どんなものでもネットに書いて大丈夫。家の玄関に貼れないものは絶対に書けない。だって人生終わるんですよ。人生終わってもいいから貼りたいものってありますか? ないはずです・・・