カテゴリーアーカイブ:社会の見方

過労死の四半世紀

2016年12月20日   岡本全勝

12月14日の朝日新聞オピニオン欄、川人博・弁護士のインタビュー「過労死の四半世紀」から。
「心の病での労災認定の統計を見ると、若い人が多いですね」との問に。
・・・相談もこの10年くらいは30代が一番多く、あとは20代、40代。50代の相談は少なくなりました。『過労死110番』が始まった80年代後半ごろは大半が40~50代の、働き盛り世代の相談でした・・・

「パソコンや携帯電話をだれもが持つ時代です。過労死問題には、どう影響していますか」との問には。
・・・特にサービス業などの第3次産業では、IT化が労働の密度を高めていて、オンとオフの区別がつきませんね。02年のクリスマスのころ、ある入社1年目の男性が自殺しました。カップラーメンをスーパーやコンビニエンスストアに卸す仕事で、裁判で労災が認められましたが、商品のことで取引先からのクレームや相談が休日にも入る。実家近くで両親と食事中にも携帯が鳴り、「すぐに来い」と言われて、何時間もかけて駆けつけた。
昔は日曜日は仕事から解放されていたけれど、24時間365日連絡が取れる体制では、どうすれば労働者がオフの時間を確保できるかを、真剣に考えないといけない。「お客様が神様」「クライアントファースト」は、従業員のワーク・ライフ・バランスの中で限定的にする必要があります・・・

記事に、年表と図が付いています。「過労死110番」が始まったのが1988年、電通で入社2年目の職員(24歳)が自殺したのが1991年です。心の病での労災請求件数は、1995年まではほとんどなく、2000年頃から急増しています。

自動運転車への期待

2016年12月19日   岡本全勝

自動運転で動く自動車の開発が進められています。本当の「自動」車ですね。まだ解決しなければならない課題は、たくさんあるようですが。私は、過疎地の高齢者向けの車を優先的に開発してもらえればと、期待しています。バスの便も悪く、買い物などにも不便です。車を手放せないのです。しかし、高齢者の事故が増えています。そこで、自動運転車が活躍できるのです。
行き先は、数カ所を事前に登録しておけばすみます。病院とスーパーマーケットと自宅です。過疎地なので、対向車や飛び出してくる人も少ないです(イノシシが飛び出してくることはあります。ここは、偏見ですね。苦笑)。スピードも速くなくて良いです。都会や高速道路を走る場合より、設定は難しくないと思います。最初の内は、人間が運転するより自動運転車の方が危険だと想定されますが、高齢者の事故率と比べると自動運転自動車の方が安全になるでしょう。

 

日本語の先を行く福島弁

2016年12月18日   岡本全勝

12月18日の日経新聞、井上史雄さんの「現代ことば考」によると、福島弁が、東京弁に影響を与えているのだそうです。詳しくは、原文を読んでいただくとして、福島弁が「合理化」を進め、それが東京でも使われるようになっているのです。
・・・ところで、福島県では江戸時代にアクセントの区別をなくし、またシ・スの区別をなくした。そのために、「牡蛎・柿」「梨・茄子」が同じ発音になった。福島県では、牡蛎を「ざがき」と言う。また、「梨・茄子」を「きなす・はたなす」と言う。これなら耳で聞いても分かる。福島弁は状況に応じてことばを変えた。
近頃首都圏の若者は、「飴じゃね」「雨じゃね」というときに、アクセントの区別をあいまい化し、平板化を進めている。福島の後追いをしているのだ・・

つい昨日のことの検証

2016年12月6日   岡本全勝

昨日に続き、新聞記事から。
12月5日の朝日新聞経済欄「証言そのとき」は、佐渡賢一・元検事の「不正に挑んだ45年」でした。リクルート事件を捜査立件した経験が、書かれています。リクルート事件は、バブル期に起きた、未公開株を譲渡することで、巨額の金を贈賄した事件です。それが明らかになり、政治家や官僚、大企業のトップが起訴された事件です。これまでにない経済犯罪に、どのように切り込んだか。生々しい証言です。
12月4日の日経新聞「日曜に考える。検証」は、「ダイエー60年、消える看板」でした。日本一の小売業だったダイエー、一時はデパートを追い抜いたスーパーマーケットの雄でした。それがなぜ破綻し、看板も消えたのか。その検証記事です。
高度成長期は、はるか昔になりましたが、バブル期も、四半世紀以上前のことになりました。私たちの年代にとっては、「つい昨日のこと」ですが、若者は知りません。学校でも本でも勉強していないことが、多いでしょう。私たちも、同時代のこととしてニュースで見ましたが、体系立てて全体像は知りません。このような検証記事は、勉強になります。新聞の大きな役割です。

社会の問題を発掘する調査報道

2016年12月5日   岡本全勝

今朝12月5日の新聞朝刊1面は、良い記事が並んでいました。朝日新聞は、「認可外保育、監督に差」です。
・・・年1回の実施が定められている認可外保育施設への各自治体の立ち入り調査について、厚生労働省の資料などをもとに朝日新聞が2014年度の実施率をまとめたところ、東京都が13%で最も低かった。神奈川、愛知、兵庫の3県も50%未満だったが、施設数が3県より多い埼玉県は95%で、実施率にばらつきがある実態が浮かんだ・・・
保育施設での死亡事故の約7割が、認可外施設で起きています。国の基準を満たす認可保育所と異なり、届け出だけで開設できるため、立ち入り調査がほぼ唯一の「行政のチェック」になっている、とのことです。

読売新聞1面トップは、「介護殺人や心中179件。2013年以降高齢者夫婦間が4割」でした。
・・・ 高齢者介護を巡る家族間の殺人や心中などの事件が2013年以降、全国で少なくとも179件発生し、189人が死亡していたことが読売新聞の調査で明らかになった。ほぼ1週間に1件のペースで発生しており、70歳以上の夫婦間で事件が起きたケースが4割を占めた・・・
老老介護、特に男性が主な介護者になっている場合、加害者が男性のケースが目立つようです。

それぞれ、原文をお読みください。記者が、自らの調査で書いた記事です。官庁や企業側からの広報やリークと違い、このような記事を「調査報道」と呼びます。今日紹介した2つの記事は、記者が現場で足で稼いだ記事ではありませんが、官庁の資料を基に、あるいはそれを端緒にして、新聞社が調べて記事にしたものです。そして社会の大きな問題を、浮き彫りにしました。1面トップに来るだけの価値はあります。
これからのマスコミの役割はここにあると、私は考えています。新しい事実の報道なら、電波媒体やインターネットの方が早いのです。

さて、このように社会の問題を提起された場合、政治と行政はどのように対応するか。ボールは役所の側に投げられました。