カテゴリーアーカイブ:社会の見方

テレビほぼ見ない、20代7割

2026年6月28日   岡本全勝

6月17日の朝日新聞に「テレビ離れ、急加速 ほぼ見ない、20代7割 NHK放送文化研究所調査」が載っていました。

・・・ テレビをほぼ見ない人の割合は16~19歳と20代で7割、30代では6割近く――。NHK放送文化研究所は16日、最新の国民生活時間調査の結果を発表した。多くの世代で「テレビ離れ」が急加速している実情が浮かび上がった。

研究所は1960年から5年ごとに国民の生活実態を調査。今回は昨年10月に、全国から無作為に選んだ10歳以上の7200人に調査票を郵送。52・7%にあたる3795人から有効回答を得た。
調査日(平日)に15分以上リアルタイムでテレビを見た人は71%で、前回(79%)よりも減った。世代別では、10~15歳は42%(前回2020年は56%)▽16~19歳は27%(同47%)▽20代は33%(同51%)▽30代は43%(同63%)▽40代は55%(同68%)▽50代は73%(同83%)▽60代は84%(同94%)▽70歳以上は92%(同95%)。
全ての世代で減ったのは、現在の調査方法となった95年以降初めて。研究所はこの結果について、インターネットの動画やSNSなどの利用が増えたことが要因だとみている・・・

アメリカの地方紙、NPOが経営

2026年6月27日   岡本全勝

6月17日の朝日新聞「米国の地方紙、NPOが経営 持続可能なモデル、模索続く」から。

・・・米国の地方紙の経営を非営利組織(NPO)が担う例が増えている。広告収入の減少などによって厳しい経営環境が続くなか、持続可能な形で地域ニュースを伝えるモデルとして注目されている。

東部ペンシルベニア州の地方紙、「ピッツバーグ・ポスト・ガゼット」は5月から、経営母体がNPOのベネトゥリス機構に移った。同紙は1月に「廃刊する」と表明。米国の主要都市で地方紙が完全に消える例となる可能性が浮上していた。
ベネトゥリス機構は地方ニュースを存続させるため、2021年にメリーランド州ボルティモアで設立された。創設者はホテルチェーン経営で財を成し、私財を投じた。デジタルメディア「ボルティモア・バナー」を22年に立ち上げた。
25年に麻薬中毒に関連した報道でピュリツァー賞を受賞するなどの成功を収め、有料購読者も約8万人に達している。同機構で寄付担当を務めるサラ・ウォルトン氏によると、以前から他の都市への拡大を検討していた。ポスト・ガゼット紙の廃刊が持ち上がり、買収に動いたという。
米国のNPOは一定の条件を満たせば、寄付をした人が税控除も受けられ、営利企業と比べて資金集めの幅が増える。ただ、NPOになったから、経営状況が自動的に改善するわけでもない。ポスト・ガゼット紙は以前の経営主体の時と比べ、人員削減を実施することになった。労働組合からは批判も出ている。

米地方紙でいち早くNPOとなったのは、西部ユタ州のソルトレーク・トリビューンだ。苦境を心配した地元の篤志家が買収し、19年にNPOとして登録。現在は完全に独立採算となっている。
トリビューン紙のローレン・グスタス編集主幹によると、「地域の読者が求めるニュース」をより重視するようになった。地域の課題の「解決型報道」を意識的に増やしているという。
トリビューン紙の次の挑戦は、ウェブサイトの「ペイウォール」(課金制)をなくし、有料会員だけではなく、あらゆる人がニュースを読めるようにすることで、5月半ばから始めた。
一方、有料購読者から得てきた収入は引き続き必要だ。このため、今後は「購読料」ではなく、「寄付」として支援をお願いしている。有料購読者の多くはニュースに直接の対価を払うことより、地元報道機関の存在を重視し、トリビューン紙への支出を続けることで期待をかけている、とも言える。
トリビューン紙のデジタル購読者は現在3万人あまりで、5年前の約2倍。週2回発行している紙の新聞も、約1万人が購読している。グスタス氏は「NPOであっても、損失を出すわけにはいかない。収入を多角化する必要がある」と話す・・・

ネクタイ、8割減

2026年6月25日   岡本全勝

6月19日の読売新聞夕刊に「ネクタイ苦境、クールビズやコロナでノータイ定着し需要激減」が載っていました。革靴は6割減、スーツは3割減とのこと。

・・・6月の「父の日」で贈り物の定番だったネクタイ。クールビズの定着やコロナ禍などで需要が落ち込み、流通量はバブル期から8割も減少するなどし、その座を追われつつある。苦境を克服しようと、新たな商品の製造に乗り出す生産者も相次いでいる。

ネクタイ製造業者らでつくる「東京ネクタイ協同組合」によれば、国内流通量はピークの1991年には5645万本に達した。だが、2000年代以降、夏場のクールビズが進み、米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏のようなカジュアルな服装が注目されるようになった。さらに20年からのコロナ禍で在宅勤務が広がったことも重なり、22年の流通量は1107万本まで急減した。
同組合の和田匡生理事長(68)は「最近の猛暑で夏場のノータイが定着し、父の日のプレゼントに選ばれることが減った」と嘆く。

一般社団法人「日本皮革産業連合会」(東京)のまとめでは、2024年の革靴の生産数量は765万足で、この15年間で6割近くも落ち込んだ。また、帝国データバンクによると、25年度の紳士服大手7社のスーツ事業の売上高は計3386億円と、17年度(4697億円)から3割ほど減少した。
市場調査会社「矢野経済研究所」(同)の調査では、靴分野ではスニーカーやスポーツシューズなどの需要は堅調だといい、同研究所は「機能性や快適性を重視する消費傾向が定着している」とみている・・・

職場に居場所ある人が減少

2026年6月24日   岡本全勝

6月9日の日経新聞に「職場に居場所ありますか 「ある」と言える人、10年で5割に減少」が載っていました。

・・・職場に「居場所がある」と言える人が減っている。背景には雇用の流動化に加えて、働き方やコミュニケーション手段などの変化がある。孤独感が強まると、退職にもつながりかねない。働く人の気持ちが職場から離れたままでは、幸福度だけでなく、生産性が低下する懸念もある。

インディードリクルートパートナーズリサーチセンターが全国の15〜64歳の就業者を対象に実施した調査によると、「職場に自分の居場所がある」との回答が2024年に54.9%と13年比11.3ポイント低下した。年代別では30〜50代の働き盛り世代の落ち込みが目立つ。テレワークなどの広がりで、対面での会話や雑談が減っている会社員もいる。
「日本の会社員は上司や同僚など周囲から必要とされ、役立っている実感を求める傾向がある」。筑波大学の中村准子・准教授は指摘する。「職場に理解しあえる人がいる」「職場で私はあてにされている」と感じられない社員の心理状態は、孤独感が強まっているかどうかの尺度になるという。

職場に居場所がなく孤独感を強める社員が増えることは、企業の経営に影響を与える。パーソルキャリア「Job総研」の調査では、孤独を感じたことのある人のうち、約2割が退職していた。
オランダの人材サービス大手ランスタッドが主要35カ国で実施した労働者約3万人を対象にした25年調査では「職場をコミュニティとして感じたい」割合は世界平均83%に対し、日本は57%と24年比17ポイント低下した。社員の気持ちが職場から離れる背景には、「心理的安全性の低さも無視できない」(担当者)・・・

・・・JTBコミュニケーションデザイン(東京・港)のワーク・モチベーション研究所と筑波大学の中村准子・准教授の共同調査は、職場での「居場所感」が働きがいを示す「ワークエンゲージメント」と相関していると指摘している。例えば居場所感を構成する「役割感」が高いと「自分の存在価値を認識し、もっと頑張ろうと活力が湧く」(中村准教授)。

家庭や職場に次ぐサードプレイス(第三の居場所)があるのか。マイナビが2025年11月に実施した調査では、20〜59歳の正社員でサードプレイスがある人は48%に達した。具体的には飲食店や温泉・銭湯、車・バイクに乗ることが多かった。ある人の方が、ない人より仕事・私生活どちらも満足している割合が12.5ポイント高い。居場所は大切にしたい・・・

コンサルのち、すし職人

2026年6月23日   岡本全勝

6月7日の朝日新聞に「コンサルのち、すし職人 AI時代、現場で働く」が載っていました。

・・・東京・銀座にある高級すし店「はっこく」。ひのき板で作られた三つのカウンターの一つを任されているのは、駆け出しのすし職人、深澤宏樹さん(30)だ。
慶應義塾大学を卒業後、米大手コンサルティング会社のアクセンチュアに入り、日本法人でテクノロジーを担当。港区のオフィスでIT戦略や経営戦略を語っていた。順調なキャリアに見えるが、物足りなさを感じるようになった。「ITやテクノロジーを分析する分野では世界に自分より優れた人がたくさんいる。自分の強みは何だろう、と考えるようになったんです」

学生時代にアルバイトをした時、海外の観光客にとってすしのブランド力が圧倒的だったことを思い出し、「海外ですし屋をやってみたい」という新しい目標ができた。会社勤めをしながら、すし職人養成の専門学校「東京すしアカデミー」に通った。
アカデミーの福江誠校長(58)によると、コロナ後、社長や、ITやコンサル企業に勤める会社員など、いわゆるホワイトカラー層の受講が一気に増えたという。その背景について、福江校長は「技術を身につけることが魅力的な『生存戦略』に見えるのでしょう」と語る。
5800人の卒業生のうち、およそ1割が海外で開業したり、就職したりした。「欧米の一流店で働くと年収は約2千万円に達するケースもある」と福江校長は話す・・・

・・・AIの普及で働き方はどう変わるのか。「ホワイトカラー消滅」(NHK出版新書)の著者で日本共創プラットフォーム(JPiX)会長の冨山和彦さんに聞いた。

短期的には、AIの浸透でプログラマーや総務や営業などの仕事が削られるだろう。会計士や弁護士であっても、過去の判例や学説を探すような2次情報の検索・分析はAIの独壇場になる。「中間管理職」も、AIと競合するため非常に厳しい立場に立たされる。
生き残っていける働き手には、大きく分けて二つのタイプがある。
一つは、AIを「スーパー部下」として使いこなし、プロンプト(指示)を出してグローバルな判断、的確な意思決定ができる一握りの「優秀なボス」。もう一つは、現場で自らの身体と感情、技能を使って「1次情報」を取りに行くブルーカラー的な働き手だ。人手不足なので、すでに建設現場の高度な重機オペレーターや高所作業員などは、年収1千万円を超える業種もある。
今後はエッセンシャル産業やブルーカラーとホワイトカラーの中間領域の仕事で特殊な資格、技術を持つ人びとが新たな「中産階級」を形成していくだろう。対人サービスや現場労働の集約型産業に富が集まってくる。歴史の必然とも言える。
大企業の歯車として誰に感謝されているか分からない内勤仕事より、目の前のお客さんの役に立ち、直接「ありがとう」と言われる対人労働の方が、仕事としての充実感は圧倒的に高い。人間がやるべき仕事の本質をもう一度見つめ直す、良い機会になるだろう・・・