カテゴリーアーカイブ:社会の見方

オンラインセミナー「超加速経済アフリカ」

2022年7月24日   岡本全勝

自治体国際化協会シンガポール事務所が主催するオンラインセミナー「超加速経済アフリカ: LEAPFROGで変わる未来」を紹介します。日本時間で7月27日19:00~20:00です。ご関心ある方は、お申し込みください。ウエッビナーとは、オンラインでのセミナーだそうです。

・・・シンガポールを拠点に、アジアやアフリカをはじめとする新興国における新規事業育成・市場参入等幅広い分野でご活躍されている椿進様をお迎えし、「超加速経済アフリカ: LEAPFROGで変わる未来」をテーマにご講演いただきます。
経済発展が急速に進むアフリカでは、日本で一般的に想像される以上に、最先端のテックビジネスが加速しています。
本講演では、アフリカの経済成長のファクトとともに、救急医療や発送電、送金など、既存のサービスがないからこそ、一足飛びに進化する、公共的サービスの現状について、具体例を交えてお話しいただきます。
椿様は日本初のアフリカ投資・ファンドの運用やアフリカビジネスコンサルティングなど長年にわたりアフリカで活動されており、ご経験を踏まえ執筆されたご著書は、Amazonランキング 世界の経済事情カテゴリでベストセラー1位を獲得し、中田敦彦さんのYoutube大学の参考文献になるなど、幅広い層にアフリカの新たなイメージを伝えています。
アフリカの経済発展の状況を把握するとともに、遠隔地でのサービスの提供方法など、日本の自治体が社会課題を解決する方策についての示唆も得られることと思います・・・

落第のない日本

2022年7月24日   岡本全勝

7月8日の日経新聞1面「成長の未来図 知で越える危機」「異能が呼ぶ革新、果実に ギフテッド封じる平等主義」は、飛び級がないことを指摘した記事です。
各国の15歳時点での在席する学年が割合が図で示されています(経済協力開発機構調べ)。日本は、飛び級がないのに対し、各国では標準より上の学年に在籍する生徒が結構な割合でいます。

ところで、私が注目したのは、その逆の場合です。本来の学年より下の学年に在籍する生徒です。「落第」などです。日本は、この生徒もいませんが、外国には結構いるのです。
でも、すべての小中学生が、きちんとその学年に学ぶことを身につけることができるか。授業が成り立たない荒れた学校や、先生の言うことを聞かない生徒もいます。それでも、全員進級進学できるのです。おかしいですよね。学校からすると、面倒なことはせずに、早く出ていって欲しいのでしょうね。
ここにも、きれい事ですませる「教育現場」が現れていると思います。

舞田敏彦「飛び級、落第を許さない日本の「横並び」主義が生む教育の形骸化」(ニューズウィーク日本版2021年1月6日)

学校教育ベルトコンベア型システムの弊害

2022年7月23日   岡本全勝

7月5日の日経新聞教育欄、苫野一徳・熊本大学准教授の「学校の存在意義 自由を尊重、経験積む場に」から。

・・・私自身、これまで長らく、公教育の誕生以来ほとんど変わることのなかった教育システムを大きく転換する必要を訴えてきた。すなわち「みんなで同じことを、同じペースで、同じようなやり方で、同質性の高い学年学級制の中で、出来合いの問いと答えを勉強する」システムの転換である。
この約150年間続いてきたベルトコンベヤー型のシステムこそが、いわゆる「落ちこぼれ」やその反対の「吹きこぼれ」、不登校やいじめなど様々な問題の元凶になっているのだ。
みんなで同じことを同じペースで勉強していれば、それについていけない子が構造的に生み出される。自分のペースで自分に合った学び方で学んでいれば、落ちこぼれることなどなかったかもしれないのに。
「同じ年生まれの人たちだけからなる集団」は、学校のほかにはおそらくほとんど存在しない・・・その意味で「誰もが、いつでも誰とでも学べる社会」の実現は、確かに目指すべき近未来の教育のビジョンである。私たちは必ずしも、みんなで同じことを、同じペースで、同質性の高い学級の中で学ぶ必要はないのだ・・・

・・・人類は、1万年以上の長きにわたって、凄惨な命の奪い合いや、ごく一部の人が大多数の人々を支配する時代を生きてきた。今日の民主主義は、そのような歴史を何とか終わらせるために、最近になってようやく登場したアイデアである。
もし、人類が平和に、自由に生きたいと願うのならば、私たちはまず、お互いの自由を認め合う必要がある。そして、一部の支配者ではなく、対等な市民たちの手によって共に社会を築いていくほかにない。
これを「自由の相互承認」の原理という。現代の民主主義の最も根幹をなす考えであり、人類史上最も偉大な発明の一つであるといっていい。実際、人類の多くは今日、政治的・社会的自由を手に入れ、そして意外かもしれないが、この2~3世紀を通して戦争は確実に減少したのだ。
この「自由の相互承認」を実現するための、最も重要な制度。それこそが学校教育にほかならない。お互いの自由を尊重し、この社会を共につくり合うこと。学校は本来このことをこそ、子どもたちに教える場でなければならないのだ・・・

ネット左翼の「キャンセルカルチャー」

2022年7月20日   岡本全勝

7月2日の朝日新聞オピニオン欄「キャンセルカルチャー考」。
・・・著名人が過去の言動を強く非難され、社会的地位を失う。昨年来、国内でも目につくようになった。これは行きすぎた「キャンセルカルチャー」なのか。正当な抗議申し立てなのか・・・

辻田真佐憲さんの発言から。
・・・2021年は日本のキャンセルカルチャー元年でした。東京五輪開会式の小山田圭吾さんが典型ですが、過去の発言を掘り返し、現在の基準で判断した上で抗議する。場合によっては職を失わせるまで追い込んでいくといったことが多く起こりました。
そうしたことは以前にもありましたが、去年、特に広がった一因はコロナ禍だと思います。キャンセルを推進するうちに、自分は正義と一体化しているという感覚に陥りがちです。さらにコロナで家に閉じこもり、SNSの狭い世界に入り浸っていると、「正義」が暴走しやすい。

ネットでの炎上は昔からありましたが、以前は、いわゆるネット右翼的な人たちが火付け役でした。キャンセルカルチャーでは正義をふりかざす「ネット左翼」が発火点になっている。その背景には、「左」が目標を見失っていることがあると思います。
少し前なら、「アベ政治」が闘うべき対象としてあった。しかし今は、安倍晋三さんのような明確な標的がなく、野党が政権をとれるという見込みもほとんどない。長期的な展望がないから、目の前のわかりやすい正義に飛びついてしまうのでしょう・・・

将来に悲観的な日本人

2022年7月19日   岡本全勝

7月4日の朝日新聞文化欄「世界で何位?から考える 次世代」に、「今の子どもたちが成長したとき、親世代よりも経済的に豊かになるか?」と言う質問をしたところ、17の国の中で日本がフランスと並んで一番悲観的でした。豊かになるが16%、厳しくなるが77%です。シンガポールとスウェーデンを除き、他の国は厳しくなるとの回答が豊かになるより多いのですが、日本は飛び抜けて、悲観的です。

小島庸平・東大准教授の発言から。
・・・日本で経済の見通しが悲観的なことに違和感はない。政府や日銀の対応も手詰まり感がある。最大の要因の一つは少子高齢化。増え続ける高齢者を、減り続ける現役世代が支える。年金の目減りを見越し、家計は消費や投資をおさえ、貯蓄にまわす。国内の市場拡大は見込めず、企業も投資を控える。ただ少子高齢化は他の先進国も同じ。なぜ日本が特に悲観的かを考えると「世代の問題」に行き当たる。

バブル崩壊後の長期不況に苦しんだ「ロストジェネレーション」と呼ばれる世代がいる。約2千万人いるといわれるロスジェネ世代が就職や結婚、出産といったライフイベントを迎える時期に、バブル崩壊後の不況が重なった。結婚や出産は個人の選択で、多様な方が望ましい。ただ当時の不安定な就業や失業を理由に、結婚や出産を望んでいたのにできなかった人は、少なくなかったのではないか・・・

・・・構造的な困窮を「自己責任」として放置したために、少子化と人口減が後戻りできない状態になり、経済の停滞を招いた。昨年刊行した『サラ金の歴史』では、ロスジェネ世代の経済的な弱者を狙ったサラ金の規制が何度も持ち越されたことを指摘した。
格差を放置したツケを払う形で、停滞に陥ることになった。この経験から学ぶとしたら、格差や不公正さを解消した方が、長い目で見るとこの社会を豊かにする、ということだろう。社会が人々の暮らしに対し、公正に配慮するという期待や安心感があるからこそ、人々は安心して家族を作り、消費できる。もうけることと公正さの追求は矛盾しないと思う。

人口が減少する確度が高い未来で、いかに平等さや公正さを確保するか。目先の景気ではなく、100~200年先を見通して、あえて青臭く理想の社会を描く。そんなグランドデザインを、政治には示して欲しい・・・