カテゴリーアーカイブ:社会の見方

南北朝鮮の経済格差

2023年8月9日   岡本全勝

7月28日の日経新聞に「朝鮮戦争休戦70年、経済力「54倍」開いた南北」が載っていました。

・・・朝鮮戦争の休戦から27日で70年がたった。北朝鮮と韓国の1人当たり国内総生産(GDP)は2021年時点で韓国が北朝鮮の54倍まで開いた。南北間の人の往来も途絶え、統一に向けたビジョンが描きにくくなっている・・・

記事によると、国連貿易開発会議(UNCTAD)の統計によると、1970年の1人当たりGDPは北朝鮮が328ドル、韓国が276ドルで北朝鮮が上回っていました。2021では、韓国が34,940ドル、北朝鮮は644ドルです。
1990年に統一したドイツの場合は、統一前の1人当たりGDPは、東ドイツが西ドイツの40%程度の水準だったとされます。それでも、統一後に格差を埋めることに苦労しました。

2023年夏、新型コロナウイルス感染症

2023年8月7日   岡本全勝

新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株になってから症状が軽くなって、日常生活も元に戻っています。ところが、感染はまだ収束していないようです。

私の周囲でも、何人か感染する人が出ています。感染源を聞くと、子どもがもらってきて家族がかかったとか、飲み会に出たらもらったようです。
かかった人は、早い回復をお祈りします。かかっていない人は、お互いに気をつけましょう。

今年の夏は、熱中症も怖いです。それにしても、昼も夜も暑い日が続きますねえ。冷房がないと過ごせません。それでも、しんどいですわ。

個人加盟の労働組合

2023年8月6日   岡本全勝

7月17日の朝日新聞くらし欄に「初の「非正規春闘」、どうなった パートらユニオンに加入、一律10%の賃上げ要求」が載っていました。

価高や人手不足を背景に、30年ぶりの高い賃上げ率となった今年の春闘。労働組合がない会社のパートやアルバイトらが、個人加盟型の労働組合(ユニオン)に入って一律10%の賃上げを求める「非正規春闘」も初めて行われた。会社側とどう交渉し、どんな成果を得られたのか。舞台裏を取材した。

「ウソでしょ」。靴小売り大手ABCマートの千葉県内の店舗で働くパート女性(47)は昨年12月、耳を疑った。物価高の中、時給が1月から下がるというのだ。会社が従業員の評価方法を見直したためだった。
女性の時給は基本給1千円と能力に応じた加算給30円の計1030円だったが、見直しで加算給が20円減った。まわりのパートも軒並み下がった。

「あり得ない」。社内に労働組合はなく、相談した労働基準監督署の担当者が教えてくれたのが「ユニオン」だった。一人でも入れる企業横断型の労働組合のことで、企業別の組合と同じように労使交渉できる。
その一つ、総合サポートユニオン(東京)に相談すると、青木耕太郎共同代表(33)から「賃下げ撤回だけでなく、10%の賃上げを求めてみませんか」と提案された。2月、同社の全てのパート・アルバイト(約5千人)について提案通りの要求をしたが、会社からは書面で拒否された。
3月9日、ユニオンはストライキを14日に行うことを会社側に通告し、本社前で抗議活動をした。するとその夜、会社側は女性の賃下げを撤回すると電話で伝えてきた。ただ、賃上げには応じなかった。
スト前日。会社側と初めての労使交渉が開かれた。女性は机の下で足を震わせながらも、言った。
「いくら売っても給料で認めてくれない。人として見てくれているんですか」
業績を考えても、時給アップはできるはずだ。2023年2月期は増収増益の見通しだった。それでも会社側は、「賃金はまわりの相場に比べ低いとは考えていない」と譲らなかった。

翌日、女性は一人でストを決行した。15分早帰りしただけだ。職場の仲間には迷惑をかけたくなかった。それでも、会社側へのプレッシャーになった。
3月30日の2回目の団体交渉で、会社側は5%賃上げをすると回答した。なぜあと5%できないのか。会社側は「今後、新店舗や設備の導入で、大型投資もあり得る」と主張した。
だが、投資は銀行からの借り入れもできるはずだ。「あと半分、まだ妥結はできない」。4月21日に2度目のストをすると予告し、その前日に3回目の団体交渉が開かれた。
そこで指摘したのが、創業家が同社の株の約6割を持ち、年間約80億円の配当を得ていたことだ。一方、パートら約5千人の人件費は組合側の推計で約40億円。女性らはこう訴えた。
「10%の賃上げは5億円でできる。労働者の生活を守るべきではないですか」
交渉開始から90分が過ぎ、相手の弁護士が休憩を取りたいと席を立った。戻ると、6%の賃上げでの妥結を提案した。
女性は「納得はいかないけれど、早く賃上げしないとみんなの生活も苦しい。業界トップ企業として来年も賃上げをしてほしい」と求め、提案を受け入れた。

入社するまでどんな仕事に就くかわからない

2023年8月5日   岡本全勝

7月25日の日経新聞夕刊「就活のリアル」、栗田貴祥さんの「就活で入社後の配属先希望、配慮すれば選ばれる企業に」から。

・・・入社するまでどんな仕事につくか分からない――。そんな不安な状況に「配属ガチャ」という言葉が生まれるなど、配属先の決定は多くの学生にとって重大なテーマである。
入社後の配属先の確定状況について、2023年大卒者を対象に3月卒業時点での調査をしたところ、卒業時点で配属先が確定している学生は就職確定者のうち46.5%だった。確定する時期を聞くと「入社後に決まる予定」が35.2%ともっとも多く、「内定式以降〜入社前まで」が21.9%。「配属確約での応募(募集時に配属先を提示)」は11%、「選考時に確定」が7.6%などだ・・・

・・・ただ、入社後の配属希望がある学生に、「入社予定企業に希望を伝えたかどうか」を聞くと、23.6%は伝えていないと回答している。希望を伝える機会の有無について、「面談など口頭で伝える機会があった」(43.9%)、「アンケートなど文面で伝える機会があった」(24.3%)という声の一方、「希望を伝える機会がなかった」という回答も35.3%にのぼる。配属先が確定していても、その意図の説明がなかったという声も40.1%あった・・・

次のような記述も。
・・・そもそも、学生は入社後の希望業務を具体的に持っているのだろうか。就職活動開始前に「明確にやりたい仕事があったかどうか」を聞くと「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」の合計が45.8%だった。
就活を経て、3月卒業時点で入社後の配属希望部署・部門について「明確な希望があるか(確定前に明確な希望があったか)」という質問への回答では計58%に高まり、「あてはまらない」「どちらかというとあてはまらない」の計19.1%を大きく上回る。就活を通じて、具体的な希望や働くイメージを持つようになった学生が一定数いることが分かる・・・

人工知能は労働者の競争相手ではない

2023年8月3日   岡本全勝

7月20日の日経新聞経済教室、カール・フレイ、オックスフォード大学准教授の「低スキル労働者こそ恩恵 生成AIと経済社会」から。詳しくは原文をお読みください。

・・・これまで中流層が引き受けていた肉体労働の多くをロボットが肩代わりするようになったら、平凡な労働者は不要になるというのがここ数十年の通説だった。
一方で、高度なスキルを持つ専門職は、デジタル技術を活用して仕事の生産性を高めるだけでなく、インターネットを介してより広い市場に進出し、専門サービスを世界に輸出できるようになるとみられていた。だが生成人工知能(AI)の出現によりこの通説は覆され、平均的な労働者に復活の可能性が出てきた・・・

・・・AI導入に伴う労働市場の変化を理解するには、この技術が実際にどう働くかを詳しく見る必要がある。第1に知っておくべきは、AIが生成するコンテンツには、トレーニングに使われたデータの質がそっくり反映されることだ。つまりダメなデータを入れれば、ダメなものが出てくる・・・いわゆるビッグデータに依存すると、LLMのアウトプットはインターネット上で見られる平均的な質と同等になりがちで、卓越した質は期待できない・・・当面はLLM(大規模言語モデル)の制約は解決されず、平均的なコンテンツしか生成できない状況が常態化するだろう・・・

・・・この状況は将来の労働市場にとって何を意味するのだろうか。簡単に言うと、能力の低い労働者が大きな恩恵を受けることになる。現時点のAIのおかげで彼らは平均的な基準に到達できるようになったからだ。
例えば米マイクロソフト傘下のギットハブが提供する、ソフトウエアのコード作成を自動化するサービス「Copilot(コパイロット)」の出現でソフトウエア開発は様変わりし、作業時間が56%も短縮された。だがこの革命的な出来事で真に重要なのは、誰がその恩恵を受けたかということだ。意外にも最大の受益者はベテランではなく、作業効率が飛躍的に高まった未熟練の労働者だった。
オープンAIのChatGPTも文章作成の生産性向上に寄与するが、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の調査によると、恩恵を特に受けるのは文章力の乏しい書き手だという。
カスタマーサービスもAIが大きな違いをもたらす分野の一つだ。エリック・ブリニョルフソン米スタンフォード大教授らの研究によると、平凡なタスク(業務)の自動化と支援の提供によりAIは生産性を14%押し上げたが、その最大のメリットを得たのは新人や低スキルの労働者だった・・・

・・・ただしこの変化が労働市場に破壊を引き起こさないとは言えない。米ウーバーテクノロジーズがタクシー業界に与えた衝撃が良い例だ。全地球測位システム(GPS)の登場で、かつてはタクシー運転手に必須だった都市部の道路事情に関する知識の重要性が薄れた。さらにウーバーの国際事業展開に伴い、平均的なドライバーに活路が開けた。
ウーバーは雇用機会を減らしてはいないが、競争を激化させて既存のタクシー運転手の収入を減らした。筆者の調査によると、ウーバーが新しく進出した都市ではタクシー運転手の1時間あたり収入が約10%減少している。生成AIは多くの職業で参入障壁を引き下げる役割を果たし、同様の効果をもたらすだろう・・・