カテゴリーアーカイブ:社会の見方

報道機関の甘い追求が生むはぐらかし

2023年9月28日   岡本全勝

9月14日の朝日新聞オピニオン欄、「それ、謝罪ですか」のうち、デイビッド・マクニールさんの「甘い追求が生むはぐらかし」が参考になります。原文をお読みください。

・・・日本に移住して20年以上が経ちますが、この国では「謝罪」に特別な意味があるように思えます。神妙な態度で謝れば、あるいは反省の意思を示すために職を辞せば、責任を取ったことになる。西洋では「責任」(responsibility)は文字どおり応答義務ですが、日本ではかなり意味合いが違う。むしろ謝罪は、責任の追及を避けるためのパフォーマンスという要素が強い。
ただ、私としては、この問題を文化論に還元したくありません。政治家や企業トップが、あいまいな釈明の言葉で済ませてしまえる背景には、やはり日本メディアが抱える問題があります。

首相官邸の会見にも出席してきましたが、まず、質疑のキャッチボールがほとんどない。記者の質問の多くは形式的で、鋭い追及も少ない。これは英語では“short circuit questions and answers”と呼ばれます。おざなりで省略型の質疑、という悪い意味です。菅義偉官房長官時代に厳しい質問を重ねた記者は、私の目には、国民の疑問を代弁するという負託に応えていると映る。でも、現場では記者クラブのルールや「和」を損ねた人物と扱われます・・・

・・・権力者に非公式に接触してオフレコでのリークに頼る「アクセスジャーナリズム」は、どの国にもある。でも、日本の記者はこれに頼りすぎです。ネタをもらうため、表では批判や追及をしない。これでは、権力がアメとムチでメディアを操り、分断させる手段に利用されるだけです・・・

失敗した場合の責任の取り方を、私なりに整理したことがあります。「責任をとる方法2

お客様は神様、じゃない

2023年9月27日   岡本全勝

9月13日の読売新聞に「お客様は神様…じゃない!」が載っていました。

・・・顧客が理不尽な要求を突き付ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が横行し、社会問題になっている。古き良き伝統であるはずの「おもてなし」の精神。そのあり方は今、曲がり角を迎えている・・・

・・・古くから受け継がれてきた「おもてなし」の精神。それが今や、深く傷つけられる時代となっている。
「接客態度が悪いと言われ、胸ぐらをつかまれて15メートル引きずられた」「2時間以上クレームを受けた」
流通業界などの労働組合が加盟する「UAゼンセン」が20年に行った調査(回答数約2万7000人)では、過酷な実態が浮かび上がった。約46%は「過去2年で迷惑行為が増えた」とし、状況の悪化をうかがわせる。
健康被害も深刻だ。厚生労働省によると、13〜22年度に認定された精神疾患による労災のうち、顧客や取引先からのクレームや無理な注文が原因になった人は計89人いて、うち29人は自ら命を絶った・・・

・・・桐生教授は「カスハラは、同じ相手に何度も嫌がらせをするという点でストーカー行為と共通する。悪質な場合は犯罪と捉えるべきだ」と断言。土下座の要求や脅迫的な言動などは刑事責任を問われる可能性がある。
国は対策に乗り出している。厚生労働省は22年2月、企業向けの対策マニュアルを作成し、複数人での対応などを促した。今月には、労災の認定基準に、カスハラを新たな類型として追加し、救済の強化を図った。
企業側にも変化がみられる。任天堂は22年10月、修理品の問い合わせでカスハラがあった場合、修理などを断り、警察などに連絡する可能性があるとした・・・

国語辞典を作る

2023年9月26日   岡本全勝

中世ラテン語の辞書を編む 100年かけてやる仕事』の続きです。いくつも、なるほどと思うことがあったのですが、一つだけ書き留めておきます。日本の辞書の歴史です。

現存する最古の辞書は『篆隷万象名義』で、空海が編集し、830年以降にできたとされています。漢字辞典です。『和名類聚抄』は930年代にできた、国語辞典兼漢和辞典兼百科事典です。広辞苑のご先祖ですかね。

明治になって、政府は一人前の国になるために、国語辞典と文法書が必要と考えます。最初の本格的国語辞書は、明治24年に完結した『言海』です。明治憲法が施行されたのが明治23年です。出版祝賀会には、初代総理大臣・当時枢密院議長の伊藤博文などが出席しています。しかし、これは私費で作られたのです。日本には、国が作った辞書は一冊もないとのことです。

日本は、国語に無関心な国だと思います。義務教育学校で国語が教えられ、規範はあるのですが、国定の文法書も書き方の標準もありません。文科省が定めた常用漢字表記のよりどころなどがあり、国立国語研究所もありますが。原稿を書いていて、どこで句読点を打つのか、迷うことが多いです。
そして、英語をカタカナで表記したカタカナ語が氾濫しています。多くは、国語辞典にも載っておらず、素人には理解しにくい、また覚えられない言葉です。カタカナにすらせず、アルファベットのままで使っている新聞もあります。
多くの国語辞典では、ひらがなとカタカナが見出しで言葉を検索します。アルファベットは見出しに立っていないのです。困ったことです。関係者は、どのように考えているのでしょうか。

マイナ保険証の誤登録件数

2023年9月24日   岡本全勝

9月8日の日経新聞オピニオン欄に、中空麻奈さんの「「本末転倒」があふれる日本社会」が載っていました。詳しくは原文を読んでいただくとして、次の指摘を紹介します。ほかの所でも指摘している人がいました。

・・・マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせるマイナ保険証への切り替え問題もそのひとつ。誤登録件数は8441件(8月8日現在)に達し、救い難いシステムではないかとも思えてしまう。
しかし、マイナ保険証の利用登録は6633万件(8月20日現在)で、誤登録割合は、0.013%・・・

そうなんです。しかも、この件は機械化したので、間違い件数が把握できていますが、手書きだとどれくらい間違っているかも把握できないのです。報道機関も、もう少し広い視野で報道して欲しいですね。

 

詐欺メールの洪水

2023年9月21日   岡本全勝

皆さんのパソコンには、詐欺メールが来ませんか。犯罪者たちが、私のメールアドレスを入手したらしく、毎日たくさんの詐欺メールがきます。
去年、メールアドレスを変えたのですが、前のメールアドレスに届いたメールも、新しいメール画面に届くように設定してもらいました。そうしないと、私のメールアドレス変更を知らない人もいて、困るでしょうから。

前のメールを管理しているプロバイダーは優れもので、ほとんどの詐欺メールを「迷惑メール」の欄に振り分けてくれます。だから、通常作業には支障はないのですが、時々その振り分けをくぐり抜けて、届くことがあります。
しばしば前のプロバイダーの迷惑メール欄を見て、「また来ているわ」と腹が立ち、「このメールは迷惑メールなので受信拒否します」と報告しています。ところが敵は、毎回少しずつ発信者のアドレスを変えて、送ってくるのです。たまに国名にcnがついたアドレスがあります。
有名なネット企業や銀行名で送ってきます。でも、私はネットバンキングは利用していないし、ETCにいたっては自動車を持っていないのに。「ええ加減にせいよ」と叫びたくなります。

と書いていたら、18日の朝日新聞に「フィッシング詐欺、夏秋増加 中国拠点グループ、春節に備え稼ぐ? 偽サイト注意を」が載っていました。
・・・フィッシング詐欺は、「本人確認のお知らせ」といったメールが届き、リンク先を本物と思い込んで会員番号やパスワードを入力してしまうと、情報が詐欺グループなどに渡ってしまう詐欺だ。
セキュリティーの専門家らからの報告をまとめている一般社団法人「JPCERTコーディネーションセンター」によると、2022年は約2万9千の偽サイトが確認され、約3300だった17年の約9倍になった。
月別に見ると、今年1、2月に確認された偽サイトの数は約1500~1700で、昨年7~9月は約2500~2600件だった。佐條研・マルウェア(悪意あるソフト)アナリストは「偽サイトの確認数は1~2月に少なく、夏から秋にかけて増える傾向がある」と語る。
こうした季節変動についてセンターは理由を明言しないが、サイバー犯罪に詳しい関係者は、偽サイトの多くが中国のシステムを経由していることから、春節(旧正月)が関係しているとみる。
「中国を拠点にしている詐欺グループが、春節に帰省したり、旅行したりするために冬は少なく、それまでに稼ごうとして、夏から秋にかけて増えるのではないか」・・・