「経済」カテゴリーアーカイブ

経済

グローバル化時代の経済対策

21日の朝日新聞「私の視点・景気拡大の終わり」から。
水野和夫さん
・・グローバル化のもとでは、企業は簡単に国境を越える。つまり国境を持った国民国家の力が衰える一方、米国やロシア、中国などの新しい「帝国」とグローバル企業が台頭した。グローバル企業をつかさどる資本は、16世紀の絶対君主をしのぐような権力を手に入れ、圧倒的に優位になった時代といえる。国民国家として、資本と国家・国民が一体化していたのが近代だったが、資本と国家の結婚・共存関係が終わったのだ。
・・資本の力が国民の力を上回ったので、世界で戦える資本家はこれからも事業の拡大を期待できる。一方、国家は規制などによって働く人を守ることができなくなった。
・・国境を前提にした「近代」の仕組みによる総合経済対策はナンセンスだ・・
飯田泰之准教授
2002年2月から続いた景気拡大が終わろうとしている。戦後最長の拡大局面だったが、回復を実感したという人は少ないだろう。それもそのはずで、景気拡大と好況・好景気は本来別物だのだ。
経済状態が「方向として」改善しているのが景気拡大である。一方、好況は、実際の経済活動がその国の潜在的な経済水準、つまりその経済の本来の実力を超えた状態を指す。
目安としては、景気の拡大により生産力が追いつかなくなる。またはその予兆として賃金の上昇が始まると、好況といえる。逆に、どれだけ長期の景気拡大が続いても、経済の本来の実力を発揮できていないなら、好況ではない・・

増税時期を失した日本

16日の読売新聞「失速、最長景気」インタビュー、石弘光元政府税制調査会長の発言から。
・・景気拡大が続いているうちに、消費税を引き上げて財政再建の糸口を作るべきだった。日本経済は(雇用、設備、債務という)3つの過剰を解消し、増税に耐えうるだけの力がついていました。
小泉政権で消費税率引き上げを封印したのは、政治的には正解だったかもしれませんが、マクロ経済的には非常にまずかった。財政の構造改革をしなかった・・

人口減少がもたらす可能性

11日の日経新聞経済教室は、西水美恵子さんの「逆境バネに人口減克服」でした。日本の人口減少に関し、将来を悲観的にみる論調が多いが、そうした負の影響を克服した未来を想像し、その実現に何をすべきか考えるべきだという主張です。
第1は、労働者不足に直面した生産者が、一人ひとりの働きぶりを高める努力をし、生産性が高まる可能性です。
第2は、高齢者が活用される可能性、第3は、女性の活躍が広がる可能性です。

最低賃金

中央最低賃金審議会は5日、地域別の最低賃金(時給)の引き上げ額の目安を15~7円と決めました。読売新聞は、次のように伝えています。
・・生活保護の水準まで最低賃金を引き上げることを目指した改正最低賃金法が7月に施行されたことを受け、生活保護の水準を下回る12都道府県については、目安を上回る引き上げを求めた。・・引き上げ額の目安は例年通り、全都道府県を4ブロックに分けて示された。さらに今年度は、生活保護水準を下回る12都道府県について、生活保護と最低賃金の「乖離額」が初めて提示された。乖離分は原則2年以内、最長5年程度で解消することを求めた。何年で解消するかは各都道府県の審議会に委ねる・・
かつて、このHPで「生活保護が国民としての最低限度の基準とすれば、それを下回る賃金は、憲法違反といえないでしょうか」と書き(2007年9月9日の項)、ドーア先生のコラムに引用してもらいました(2007年10月22日の項)。