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経済

市場経済を成り立たせる条件

日経新聞「やさしい経済学」(経済教室の下の欄)に、中林真幸東大准教授が、「日本の長い近代化と市場経済」を連載しておられます。
明治以降の日本の発展の基礎に、江戸時代の識字率などがあったということは、定説になっています。制度は、文化資本がないところでは、育ちにくく、また「輸入」も困難なのです。
先生は、人がモノを交換すると、満足が増える。しかし、初めて見るモノの品質を、交換前に知ることは容易ではない。どうして、交換による損失を少なくするか。
一つは、長期の取引関係をつくることである。しかし、これでは、見知らぬ相手とは取引できない。自由な経済市場をつくるには、強い第三者に執行を担保してもらう。すなわち、国家をつくるしかない。
として、織田信長から明治時代の、市場経済を成り立たせた要因を分析しておられます。興味深いです。

増税への理解

25日の読売新聞は、社が実施した世論調査の結果を載せていました。それによると、社会保障制度を維持するため、消費税率引き上げはやむを得ないと思う人は61%で、そうは思わない37%を大きく上回りました。
前回2008年7月の調査に比べ、14ポイントも増えたとのことです。詳しくは、記事をお読みください。

持田先生の財政学教科書

持田信樹東京大学教授が、「財政学」(2009年、東大出版会)を出版されました。大学での教科書です。
財政支出において社会保障費を、また租税論の中で社会保障負担を取り上げておられることが、一つの特徴です。近年の財政構造を、反映しています。また、財政赤字と、財政システムの将来として福祉国家を論じておられます。これもまた、新しい時代を反映したものです。地方政府の役割と政府間財政関係にも、1章を割いておられます。
わかりやすい教科書です。私が大学で学んだ財政学は、貝塚啓明先生と林健久先生でした。30年以上も前になるのですね。その後、地方財政を専門とすることも、経済財政諮問会議に関わることも、夢にも思いませんでした。

日本経済の生きる道

日本が今後、活力を持ちつつ、国民が幸せになり、また世界で一定の地位を保つために、適度の経済成長は必要です。そして、これまでのような、先進国への追いつき型経済は無理であり、安価で大量の製造業もアジア各国に太刀打ちできません。
新しい成長を切り開いていった欧米諸国を参考に、日本は独自の道を探さなければなりません。政府は、この春に、日本の優位な点を3つに絞って、成長戦略を打ち出しました。「未来開拓戦略」(平成21年4月17日、内閣府・経済産業省)。
一つは、長寿社会です。日本は、世界に例を見ない早さで、高齢社会になりました。とかく暗いイメージ語られる高齢社会を、活力ある明るい社会にすれば、世界各国のお手本になります。二つ目は、低炭素社会です。日本は、世界一の省エネ・環境技術を持っています。これを伸ばすことは、地球環境を救うことにもなります。三つ目が、日本の魅力を伸ばすです。これはこのHPでもよく書いていますし、昨日も書きました。
もちろん、この分類に収まらない成長分野もあるでしょう。でも、このようなスローガンは、3つが良いのですよね。