4月30日の日経新聞「世界景気、回復は続くか」に、次のような記述がありました。
・・みずほ証券リサーチ&コンサルティングの試算によれば、日本の名目経済成長率が1.5ポイント低下した場合、東南アジア諸国連合(ASEAN)の成長率を0.43ポイント押し下げる・・
かつて日本の経済がアメリカに依存していた頃、「アメリカがくしゃみをすると、日本が風邪を引く」といった表現がありました。確かに、日本経済の規模が大きくなり、海外との交易が多くなると、日本経済が世界経済に及ぼす影響も大きいのですね。
今回の大震災で、日本の部品メーカーが生産を中断することで、日本国内だけでなくアジアやアメリカの会社や工場が、部品が調達できず、減産に追い込まれた例も多かったとのことです。
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世代間の負担と受益の差
地震のような瞬間的衝撃的なリスクの他に、緩慢なリスクがあります。日々のリスクの高まりは少しずつで目立たないのですが、長期間でその結果を見ると、大変な「被害」が生じるものです。
3月14日の日経新聞経済教室は、島澤諭准教授の「人口減少と世代間格差。主要国で最悪、改革が急務」でした。既に指摘されていることですが、世代別の数字を表にしてみると、改めて、とんでもないことをしていることがわかります。
政府への負担と政府からの受益の差を見ると、70歳の人は1,500万円の受益超過、50歳の人は700万円の負担超過、20歳の若者は2,700万円の負担超過です。少子高齢化、経済成長の鈍化で、高齢者は年金負担が少なくても、たくさんの年金をもらえます。
若者は、少ない人数で高齢者の年金を負担します。日々の暮らしやニュースでは見えにくいので、若者はこの事実に「衝撃」を受けていません。
古新聞の回収
私の住んでいる地域では、区役所によるごみと資源の回収の他に、新聞配達店が古新聞を回収してくれます。新聞社によって違うのですが、A新聞は毎月第1土曜日が、回収日です。今日が、その日でした。
回収用の紙袋が配られ、それに入れて早朝に出すと、トラックで回収していきます。そして、袋1つにつき、トイレット・ぺーぺーを1個くれます。回収した古紙を再生したという「しるし」でしょう。1紙1か月で、だいたい2つになります。わが家は2紙取っているので、毎回3~4つもらえます。他社の新聞も、回収してくれるのです。
なかなか良くできた制度だと思います。分別してきちんと出そうという気になります。一家庭にとっては、大した金額ではないのですが。トラックの荷台に積まれた古新聞の量を見ると、大変な量の回収です。
区役所の資源回収もかなり進んでいて、プラスチック類、ペットボトル、古紙、缶、瓶などを決まった日に、回収してくれます。でも、先に書いた古新聞の場合は、トイレット・ぺーぺーをもらえるという、目に見える形(再生した)が、やる気を起こさせます。
市場が自由なだけでは、社会は良くならない
ハジュン・チャン著『世界経済を破綻させる23の嘘』(2010年、徳間書店)が、頭の整理になりました。新聞の書評などでも取り上げられているので、読まれた方もおられると思います。著者はソウル生まれで、ケンブリッジ大学准教授です。あまりに単純化された「自由市場経済主義」の問題点を、具体例を挙げながら論破します。取り上げられている項目=通説=嘘は、次のようなものです。
市場は自由でないといけない。すべて市場に任せるべきだ。企業に自由にやらせるのが国全体の経済にも良い。経済を発展させるには小さな政府の方がよい。市場がうまく動くのは、人間が利己的だからだ。途上国は自由市場・自由貿易によって富み栄える。世界は脱工業化時代に突入した。
日頃変だなあと思っていたことが、なるほどと納得できます。ご関心ある方は、ご一読ください。
頑張れ浅川さん。国際機関での日本の貢献
今日の朝刊に、財務省の浅川雅嗣副財務官が、OECDの租税委員会議長に就任することが載っていました。国際的な税制ルールづくりの場だそうです。国際機関で日本政府や日本人が活躍するのは、うれしいですね。
浅川さんとは、麻生内閣の秘書官として、一緒に仕事をしました。アメリカ発の世界同時不況に際し、日本政府がIMFに1千億ドル(約10兆円)の融資をし、中小国の資金繰りを助けたのは、その時の話です。国際金融の話は、私には新鮮で、たくさんのことを教えてもらいました。今朝、携帯電話にお祝いのメールを打ったら、夕方にパリから返事が来ました。
日本人の活躍とともに、このようなニュースが記事になることが、うれしいです。読者の関心がないのか、書く能力を持った記者が少ないのか、それを理解できる編集長がいないのか。このような記事は、めったにお目にかかれません。また、解説がないと、ほとんどの読者はわからないのではないでしょうか。
たぶん、それを書ける記者を、養成していないのだと思います。かつて書きましたが、日本の新聞やニュースの国内閉鎖性は、世界でも珍しいと思います。1億人の市場、日本(その国)だけで通じる日本語(言葉)、英語でなくてもできる大学教育。これを満たしている国は、日本くらいでしょう。フランス語やドイツ語、ロシア語は、1国だけではありません。エリートと財界人が、外国語(英語)なしで仕事ができる数少ない国なのです。
先に述べた1千億ドルの融資についても、総理記者会見の際に質問をした記者は、一人もいませんでした。また、大きな記事にならなかったので、ほとんどの日本人は知りません。そしてそれがどのような効果を持ったかも、記事になっていません。
日本が国際社会で貢献するには、輸出や援助も一つのバロメーターですが、このような国際経済対策やルールづくりも重要です。そして、それを理解して記事にできる記者を養成することも、必要ですね。次は、浅川議長の活躍を伝える記事を、期待しましょう。