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経済

仮想通貨ビットコイン

「ビットコイン」という言葉を目にした方も、多いでしょう。ニュースやインターネットで、話題を集めています。これは、インターネット上に作られた「仮想通貨」です。実際に使われています。
わかりやすい解説が、日経新聞電子版に載っています(ビットコイン、ギークが育てた無国籍通貨。12月29日)。
なぜ、急速に広がっているのか。ビットコインは、金融機関を介さず、少ない手数料ですばやく送金できます。また、キプロスでは、金融危機の際に、政府が銀行預金への課税を決めると、ビットコインが資産の逃げ場になりました。
ビットコインは、通常の電子マネーやプリペイドカードとは違います。日銀金融研究所によると(1)発行体がない(2)発行時の払い込みがない(3)特定の資産による裏付けがないの3点で、従来の電子マネーとは大きく違うのだそうです。
日銀や政府といった、責任ある主体が発行しているのではありません。それでも通用するのは、皆がそれを通貨だと信じているからです。もっとも、その点では、紙幣も同じです。紙切れを、1万円や千円の価値があると信じているのですから。
しかし、通貨発行権は国家の重要な権限でした。実際には、中央銀行である日銀に委託しています。そして、金融政策として通貨の総量を管理しています。各国政府と離れて流通する通貨が巨額になった場合、金融政策や管理にどのような影響を与えるのでしょうか。
さらに、匿名であるので、犯罪に利用されているとも指摘されています。それらを含めて、インターネットが「主権国家」を掘り崩す例です。

住宅、立て替えでなく改修して資産価値維持を

日経新聞12月29日「戦略2014、そこが知りたい」は、和田勇・積水ハウス会長でした。
来年4月の消費増税を前に、住宅メーカーの業績は好調で、積水ハウスは過去最高の利益の見込みです。もっとも、国内の住宅市場は、人口減などで長期的には縮小しています。2012年度の新設住宅着工戸数は89.3万戸で、1996年度に比べ約半分になっています。
「今後、住宅市場の鍵を握るのは何か」という質問に対して。
・・中古住宅の活用だ。今、日本の住宅への累積投資額はおよそ850兆円にのぼる。ただ、資産として残っているのは350兆円程度しかない。それは、25年とか30年くらいの家を壊してしまっているからだ。500兆円もの国富がなくなっている計算になる。スクラップ・アンド・ビルドの時代は終わらさなければならない。
米国では、投資した金額以上の資産価値を維持している。日本に必要なのは、きちんとリフォームをして、その家が20年、30年経っても売却されるときに価値がゼロにならない仕組みをつくること。そうしたとき、住宅メーカーにとっても、新たな巨大市場が姿を現す・・
ところで、積水ハウスのCM(少年と犬)って、泣かせますよ。私は、テレビでは見たことがないのですが。

アジアの復活と日本の貢献

12月6日の日経新聞経済教室、キショール・マブバニさん(シンガポール、リー・クアンユー公共政策大学院長)の「アジア中間層、17億人に」から。
・・アジアについて、日本がぜひ知っておくべき重要な数字が一つある。今日、アジア全域で所得が一定水準以上の中間層は合計約5億人だが、2020年までに、現在の3.5倍の17.5億人になると見込まれることだ。これは世界史上かつてない現象であり、日本の将来にも重大な影響を与えるだろう・・
アジアの中間層はなぜ爆発的に増えているだろうか。ある意味で、これは驚くべきことではない。アジアの繁栄の「復活」は、ごく自然な成り行きである。
西暦元年から1820年までは、世界の二大経済大国といえば常に中国とインド、すなわちアジアの国だった。欧州、続いて米国が台頭したのは、この200年のことに過ぎない・・
ただし(アジアの)復活の時期は、いくつかの偶然の要素が重なった結果である。中でも重要なのは、日本がアジア国家として初めて近代化に成功したことだ。アジア諸国は日本に礼状を書くべきだと拙著の中で強調したのは、このためである。日本の近代化の成功で、アジア各国ではあとに続く気運が高まった。日本の成功がなかったら、アジアの大半は、先進国の仲間入りを果たした国がまだ一つもないアフリカ、アラブ、中南米のようになっていただろう・・

いろいろな職場に導入できるカイゼン

11月23日の朝日新聞経済欄に、「病院もカイゼン」という記事が載っていました。
「トヨタ生産方式」は、各現場で仕事の無駄を省くカイゼンを積み重ね、効率の良い生産や経営を目指すものです。これが、医療現場に導入されているのだそうです。
記事に出てきた病院では、患者が入院してきて手術をするまで(病室に案内されてから、説明を受け、術前処置が終わるまで)の待ち時間を、平均163分から26分に短縮しました。すごいですね。また、救命救急センターの6つの処置室ごとに、ばらばらだった注射針やチューブなどの置き場所を、物品ごとの名前を書いた2つの箱に入れ整理しました。これで在庫が一目でわかるようになりました。
まだまだ、他の分野でも、カイゼンを導入できそうです。

景気は気から、皆で縮こまると世界が小さくなる

11月24日の朝日新聞「ベア検討、4社のみ」から。全国の主要100社への調査結果です。
企業の利益が増えています。その利益を、どこに振り分けようとしているのか、の回答です。設備投資が53社、従業員への還元が52社です。今年1~3月の政府の「法人企業景気予測調査」では、内部留保が6割で、従業員への還元は回答の6番目だったそうです。企業の意識が、はっきりと変わってきています。
新聞の見出しでは、企業が消極的な態度かと思わせますが、記事の内容は逆です(見出しの付け方に、難がありますね)。
この変化は、「景気は気から」と「合成の誤謬」で、説明できます。これまでの日本では、新興国の追い上げ、海外への生産の移転、デフレの下で、企業はコストカットの1つとして、国内での職員と給与の削減を続けました。他方、景気が良くならないと見通して、設備投資に消極的でした。そして、利益が出ても、内部留保にとどめたのです。各企業としては、正しい選択です。しかし、多くの企業がこの方針を続けると、
給与削減→消費者が使うお金が減る→消費が冷える→売れないと見越して企業が設備投資を控える→景気が悪くなる→給与を削減する→(繰り返す)となります。
企業が儲からなくて、内部留保がないなら、企業は倒産し、もっと深刻な事態になります。ところが、企業の業績は上がっているのです。すると、先ほどの悪循環・負のスパイラルを、好循環・成長のスパイラルに変えれば、良いのです。
みんなで、「これから景気は良くなるぞ」と思い、給料を増やします。すると、消費が拡大し、設備投資を増やす判断ができます。それがまた、景気を良くします。儲かったお金を貯め込んでいては、会社も発展しないし、経済も大きくなりません。お金は、使ってこそ、生きるのです。
もちろん、この解説は、ごく単純化したものです。例えば、売れない商品に設備投資しても、その企業にとって良い結果にはなりません。