「経済」カテゴリーアーカイブ

経済

履歴を覚えているポイントカード

使っている電気カミソリの充電器(ACアダプタ)の、コードが劣化しました。代替品を買うために、新宿の量販店(ビックカメラ)に、充電器を持って行きました。

私「これが劣化したので、同じものが欲しいのです」
店員「充電器は、取り寄せになります。電気カミソリ本体の型番は、わかりますか?」
私「え、本体によって、この充電器が変わるの?」
店員「はい」
私「形はわかるけど、型番まではわからないわ。家に取りに戻らないと」
店員「お持ちのポイントつきクレジットカードで、買いましたか?」
私「多分そうです」
店員「では、カードを渡してください。履歴を見てみます」「あ、ありました。型番もわかりました」
私「便利なものやねえ」
店員「では、品物が届き次第、カードで登録された電話番号に連絡します。電話番号は××××で間違いないですよね」
私「はい」

便利なものですね。もっとも、私が何を買ったか、全て把握されているということです。

中古品売買、新たな展開

12月16日の日経新聞が、「リユース市場 意識変化が生む2兆円市場」を特集していました(ウエッブサイトでは、見つけることができませんでした)。

中古品売買で大所は、自動車と不動産です。他にも、これまで私たちになじみがあったのは、古本屋さんでしょうか。古道具屋や質屋もあります。自治体による不要品のリサイクルの場もあります。また、バザーやフリーマーケットも盛んです。
ここで紹介されているのは、これら既存の売買や交換でなく、新しい業態として発展している分野です。

一つは、ブランド品や女性の中古衣料です。商店街でも、たくさん見かけるようになりました。古本も、ブックオフのような形態が多くなりました。そして、ゲームやコミックなども扱っています。
古くさいという印象が亡くなり、店に入りやすくなりました。また、中古品を買うだけでなく、売ることにも抵抗がなくなりました。
以上は、対面販売です。

近年拡大しているのが、ネット販売です。業者がいったん買い取り、消費者に売るという形態もありますが、消費者同士が直接売買する形ができました。フリーマーケットをインターネット上でできる「フリマアプリ」です。
経産省の推計では、フリマアプリの市場規模は2018年で約6千億円、2年で倍になっています。ネットオークション全体では、1兆円を超えるそうです。フリマアプリ大手のメルカリでは、月間利用者数は1350万人で、増え続けているようです。不要品を売ることに、手段や心の抵抗がなくなったのでしょう。

廃棄物を減らす、リサイクルにとっては良いことですが、偽物を防ぐなどの課題があります。

企業のお国柄、市場中心型と組織関係重視型と

12月17日の日経新聞経済教室、「脱・株主至上主義の行方(中) 」広田真一・早稲田大学教授の「資本主義・企業の多様性重視」でした。
そこに、次のような記述があります。

・・・社会経済学者のピーター・ホール氏、デビッド・ソスキス氏らは、世界の資本主義は「自由な市場経済(LME=Liberal Market Economies)」と「調整された市場経済(CME=Coordinated Market Economies)」の2種類に分かれると主張する。この見方は「資本主義の多様性」と呼ばれる。

LMEの国とは、経済・ビジネス活動が市場での取引を中心に行われる国だ。金融取引の面では発達した株式市場があり、労使関係は契約ベースの労働市場で特徴づけられる。政府の経済への介入は少なく、資本の配分による経済的な効率性が重視される。一般に個人主義的な文化を持つ。代表的なのは米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどだ。
企業には「株主の利益」を最大化することが期待され、株主の権利を保護する法制度が整備されている。企業のパフォーマンスも短期的利益や株式価値で測られる傾向が強い。その企業観は標準的な経済学やコーポレートファイナンスの教科書に出てくる企業像(利潤最大化、株主価値最大化の企業)にぴったり合う。

一方、CMEの国とは、組織・ネットワークを生かした形で経済・ビジネス活動が行われる国だ。金融では銀行が中心となり、労働に関しては共同体的労使関係が特徴だ。政府の経済への介入の程度が高く、社会での平等性が重視され、共同体主義的な文化を持つ。代表的なのはドイツ、フランス、オランダ、オーストリア、スイス、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、日本などだ・・・

電子立国からの転落

11月29日の各紙が、パナソニックが半導体事業から撤退することを伝えていました。台湾のメーカーに売却するそうです。
半導体はかつて、電子機器類の基本的部品として「産業の米」と呼ばれていました。1980年代には、日本が世界の生産量の半分を占め、「電子立国」と高く評価されました。しかしその後、アジア各国の追い上げに、急速に地位を落としました。

朝日新聞の記事に着いているグラフが分かりやすいです。ところが、このグラフでは、アメリカはシェアを減らしていないのです。
世界一と呼ばれた日本の電子産業は、何を誤ったのでしょうか。

ある人に聞いたら、次のような理由でした。
1980年代まで、日本がシェアを増やし、その分アメリカが減らします。まだアジア各国は、出てきていません。その当時の主たる製品は、メモリ半導体でした。この分野では、1990年以降、アジアが日本のシェアを奪います。
他方で、新しくシステムLSIが出てきます。これはメモリが単に情報を備蓄するだけの容器に対して、情報を加工、処理する機能を持った「頭脳」です。アメリカは、このより高度な分野で生き残ります。日本は旧来型製品で後発国にシェアを奪われ、新製品に進出できなかったのです。
これはまた、時代が、モノづくりから新しいことを考えることへ変わっているのに、その流れに乗ることができなかった一つの例とも言えます。

給料、悪平等からの脱却

11月5日の日経新聞「迫真 IT人材争奪戦 年収3000万円の衝撃」から。

・・・メーカーから小売りまで様々な企業によるIT人材の奪い合いが、終身雇用や報酬制度まで変えつつある。
「会社は本気で変わろうとしている」。そんな思いを胸に川上雄也(33)は英NTTの関連会社でクラウド開発に打ち込む。NTTコミュニケーションズの技術者だったが、管理職になり現場を離れる将来に幻滅し、3月に退職しようとした。
しかし最先端の現場にいながら厚待遇も権限も得られる人事制度ができると慰留された。今は給与も3割増しの1千万円超だ。高度技術者だと認められれば、年収は最高で3千万円になる。
新卒を大量採用して手厚く育てるNTTグループは、IT人材の供給源だ。NTT社長の澤田純(64)は「研究開発人材は35歳までに3割がGAFAなどに引き抜かれる」と打ち明ける。経済産業省によると米国ではIT人材の平均年収のピークは30代で1200万円超だが、日本では30代は520万円程度だ。

「データが3千万円まで引き上げるらしいぞ」。18年末、NTTデータの新たな人事制度を報じるニュースが流れると、ソニー本社は揺れた。最も大きな危機感を抱いたのは人事部門だった。
新卒に月40万円を払うという中国・華為技術(ファーウェイ)の発表があったばかり。シニアゼネラルマネジャーの宇野木志郎(47)は「まさに『NTTデータショック』。電機各社の賃金に対するモードが変わった」と振り返る。
宇野木は横並びだった初任給を見直し、すぐさま能力主義に変えた。19年度から優れた人工知能(AI)技術を持つ新卒社員には年130万円上乗せし、同期の平均の2割増の730万円となる。「言い方は悪いが、これまでが悪平等だった」と宇野木は吐露する・・・

・・・ただ、急速な変更は社内でのあつれきも生む。
19年3月までの1年間で、NECグループから約3000人が早期退職などに応じて去った。ある50代男性社員は「大量リストラをして若手には優遇か」と憤る・・・

新卒一括採用、年功序列、終身雇用という「日本型雇用慣行」は、崩れつつあります。世界で戦うためには、必要なことです。
もちろん、仕事の成果以上に給料をもらっていた人には、つらい時代になります。しかし、そのような不合理はもはや維持できません。成果を上げているのに、若いが故に給料が低い人から見ると、「ようやく是正されるか」と喜ばしいことでしょう。