日経新聞夕刊「あすへの話題」10月18日は、磯崎功典・キリンホールディングス社長 の「外食文化を守りたい」でした。
「外食市場は26兆円とGDPであれば5%程度に相当し、そこに携わる人々は400万人以上と裾野が広い。日本経済を支える重要な産業のひとつだ」と書かれています。
もちろん経済だけでなく、社会や文化での機能も大きいです。新型コロナウイルス感染症が、改めて見せてくれた意義でした。
経済
日経新聞夕刊「あすへの話題」10月18日は、磯崎功典・キリンホールディングス社長 の「外食文化を守りたい」でした。
「外食市場は26兆円とGDPであれば5%程度に相当し、そこに携わる人々は400万人以上と裾野が広い。日本経済を支える重要な産業のひとつだ」と書かれています。
もちろん経済だけでなく、社会や文化での機能も大きいです。新型コロナウイルス感染症が、改めて見せてくれた意義でした。
10月5日の読売新聞『経営者に聞く」は、回転ずし首位の「スシロー」運営会社の水留浩一社長でした。「いいネタ安く 終わりなき戦い」
・・・競争の激化を懸念する声はあります。しかし既存店の売上高は、前年度比プラスを維持しています。店舗数は、現在の約600店から、800店以上に増やせると考えています。
スシローの客単価は1000円超で、それほど高くはない。お客さまには日常の中で楽しんでもらいたいのです。「今日はお母さん、仕事で遅くなったからスシローに行きましょう」という形で、気軽に利用していただきたい。
その意味で、一時のブームにしてはいけないと気をつけています。スシローに行くのが「かっこいい」と捉えられると、いずれ「もう古い」と飽きられてしまいます・・・
・・・<全く未経験の回転ずし業界に転じたのは、幾つか受けた提案の中で、一番可能性があると判断したからだ>
海外の都市を訪れる度に、日本ほど良心的な価格でおいしいものが食べられる国はないと感じていました。安全や衛生、自動化などの技術でも優位性があります。すしは日本起源の料理として知名度があり、うまく輸出できたら高い競争力を発揮するはずだと思ったのです。
製品はコピーされたらおしまいですが、サービスは簡単にまねできません。従業員をトレーニングして味や接客を再現するには、ものすごく手間がかかります。外食をはじめとするサービス産業は、日本から海外に打って出て戦える最後の業界ではないでしょうか。その突破口をスシローが開きたいと考えています・・・
10月5日の日経新聞オピニオン欄、本社コメンテーターの梶原誠さんによる「恒大が暴く「富む前の老い」」に次のような話が載っています。
世界の株式市場を揺らした中国恒大集団の経営危機が、世界の株式市場を揺らしています。中国国内では、深圳にある恒大本社に人々が詰めかけています。「カネを返せ」と抗議をやめない人、社屋に乗り込む人、抵抗して警官に引きずり出される人。恒大が販売した「理財商品」を購入して財産を失いかねない人たちです。
中国人には、「日本はなぜ失われた30年を、社会不安もなく過ごせたのか」と不思議に思う人もいるそうです。その背景を、梶原さんが説明します。
日本はバブルが崩壊する前に豊かになっていたから、なんとか耐え抜けた。
1990年に家計が保有していた金融資産は1000兆円強。国内総生産(GDP)の2.2倍で、一人あたり800万円強。昨年は2000兆円弱と、GDPの3.7倍、一人あたり1500万円台に増えている。中国も増やしてきたが、2018年の資産は2300兆円台でGDPの1.6倍、一人あたりは170万円弱にとどまる。
中国でのGDPに対する保険料の割合は4.5%で、日本や世界の6割以下。生命保険などの普及が遅れています。
「経済成長外国比較2」から続く。これは今回初めて載せます。
アメリカを100とした場合の、日本の国内総生産(GDP)、日本の一人当たり国内総生産(一人当たりGDP)の推移です。
この図は、やや衝撃的です。1995年を頂点に、見事な山形を描いてます。
1995年以降の日本の経済は、停滞ではなく急速な低下です。横ばいではなく、急速に落ちています。アメリカとの比較では、1970年代頃に戻っています。
「経済成長外国比較2」では、日本は1995年以降横ばいに近いのに対し、アメリカは成長しています。世界が成長しているときに、日本が成長しないと、相対的には落ちていきます。
国内で暮らしていると、その実感はわかりにくいです。しかし、国際的にはこうなっているのです。マクドナルドのビックマック指数で、日本は、韓国やタイに抜かれています。日本は経済一流国ではなくなり、アジアのなかでも所得の高い国ではなくなりました。
なお、この図はドルで評価しているので、円ドル相場の変動による要素もあります。ところどころ、でこぼこがあるのは、主に円ドル相場の変動によるものでしょう。
2021年8月26日の日経新聞経済教室、岡崎哲二・東京大学教授の「国民生活改善への転機に」がわかりやすかったので、経済の専門家に一部を改変して作ってもらいました。
「経済成長の軌跡2」から続く。「経済成長の軌跡」(2017年)を更新しました。
(一人当たりGDPの軌跡と諸外国比較)
次は、日本、アメリカ、フランス、韓国、中国の4か国の一人当たりGDPの軌跡です。1955年にアメリカの10分の1だったのが、1980年代後半に追いつき、そして追い抜きました。アメリカもその間に10倍になったのですが、日本は100倍になりました。
この図は、縦軸が対数目盛になっています。一つ上は2倍でなく10倍です。等間隔目盛にすると、とんでもない急カーブになります(縦に100枚つないだ状態を想像してください)。
そして1990年代後半から日本は横ばいになり、アメリカに再逆転されます。他方で、韓国や中国が、日本から約20年、40年遅れて出発し、日本と同じような軌跡を描いています。これを見ると、かつてなぜ日本が一人勝ちできたのか、そして近年そうでなくなったかが分かります。日本が一人勝ちできたのは、先進国を手本に追いかけたこととともに、後ろから追いかけてくる国がいなかったのです。
「経済成長の軌跡2」に掲げた、日本の経済成長の数字だけでは見えないものが見えてきます。
これらの図表は、昔から使っていたものです。なかなかの優れものです。日本の社会と行政を規定する経済要因を、2つの図表で示すことができます。今回も、小黒桂君の助けを借りました。
さて問題は、アメリカに追いついた後です。日本が横ばいなのに対し、アメリカは成長を続け、逆転した後に差が広がりつつあります。それについては「経済力の日米比推移」に続く。