カテゴリー別アーカイブ: 経済

経済

大手銀行採用人数の変化

4月7日の日経新聞「3メガ銀、新卒採用8年ぶり増」から。

・・・メガバンクが8年ぶりに新卒採用を増やす。3メガの2024年入行の採用計画は合計で約1200人強と23年比で1割増える。三井住友銀行はデータ分析などの専門コースの採用を3倍超にする。支店の統廃合などを背景に新卒採用を減らしてきたが、デジタル人材を中心に採用増にかじを切る。新事業の創出やリスク管理の強化に加え、大量採用世代の退職を見据えて人員を補強する側面もある・・・

2011年からの新卒採用者数の変化が、図で示されています。2011年には3行で2000人あまりだったのが、2016年には5000人を超えました。その後急速に減って、2023年には1000人あまりになっていました。
ネットバンキングの普及や店舗の統廃合で、新卒を大量採用して全国に配置する必要性が薄れたからと、説明されています。

日本市場の魅力、世界197位

3月4日の日経新聞「日本株はよみがえるか⑤」「日本市場の魅力、世界197位」から。

・・・海外企業にとって日本の魅力は北朝鮮以下――。一見、冗談に思える。投資の世界では事実だ。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、各国の国内総生産(GDP)に対する海外勢による累積の投資額(出資や設備投資、融資などの合算)の割合は、2021年時点で日本は5.2%。北朝鮮(5.9%)を下回り、200カ国・地域中197位だ。

1990年代後半まで他の先進国と比べて外資参入の規制が厳しかった影響はある。とはいえ、21年単年の投資額のGDP比でも日本は0.5%と、主要7か国平均の1.3%を下回る。
日本企業も国内より海外に投資の軸足を置いている。日本政策投資銀行(DBJ)の調べでは、日本企業による22年度計画の国内の設備投資水準は02年度比で8割にとどまるのに対し、海外は2.4倍に増えている。
市場としての日本の魅力が海外に見劣りしているためだ・・・

日本の中間層

日本の経済発展によって生み出され、そして経済発展を支え、社会の安定をもたらした中間層。かつては「一億層中流」という言葉もありました。それが、この30年の間に崩れました。簡単にいうと、非正規労働者の増加によって、中間層が二分化されたのです。
それは、さまざまな問題を経済、社会、政治に引き起こしています。でも、中間層の重要性は、経済学の標準的な教科書には載っていないようです。

3月9日から日経新聞「やさしい経済学」で、田中聡一郎・駒沢大学准教授の「衰退する日本の中間層」が始まっています。第1回「分厚い中間層が重要な理由

経団連の存在感の低下

1月27日の日経新聞「私の履歴書」古賀信行・野村ホールディングス名誉顧問の「財界総本山」から。

・・・結局、副会長と審議員会議長をあわせ8年も経団連と関わった。改めて、経団連とは何だろうと思う。官僚組織がしっかりしている時代は、政策を実現する産業界のカウンターパートとして機能していた。個別業界ではなく、広く産業界の代表だった。

今は官の枠組みが大きく揺らぎ、相手側の経団連も存在意義を問われている。政策をきちんと提言できる組織になることが今こそ求められている、私はそう思う・・・

官庁エコノミストの縮小

1月18日の朝日新聞オピニオン欄、原真人・編集委員の「岸田政権の巨額予算 司令塔なき政策の矛盾と欺瞞」から。

・・・財政や金融政策は本来は理論やデータ分析の規律が働く分野だ。にもかかわらず、これほど矛盾や欺瞞に満ちた政策がまかり通るのはなぜか。政策決定に最低限の良識とまともな論理を回復させる必要がある。
かつてマクロ政策の総合司令塔として政府内や日銀との調整役を担ったのは経済企画庁(現内閣府)だった。官庁エコノミストと呼ばれる学者顔負けの専門家たちが集い、経済白書(現在の経済財政白書)に大きな国家構想を描いた。1947年に出た初の経済白書の筆者である都留重人、池田内閣の所得倍増計画にかかわった宮崎勇、のちに外相を務めた大来佐武郎。さらに金森久雄、香西泰、吉冨勝ら戦後を代表する著名エコノミストたちがひしめいていた。
経企庁は22年前、省庁再編で総理府などと統合し内閣府になる。男女共同参画や沖縄振興など諸部門を抱える巨大組織のなかでマクロ経済調整は一部門にすぎなくなった。次第に官庁エコノミストは重きをおかれなくなり、今や絶滅危惧種だ。
経企庁の物価局には50人規模が配置されていたが、再び物価に焦点があたる現在、内閣府の物価担当はわずか2人である。

旧経企庁OBで経済白書の執筆者だった小峰隆夫・大正大教授(75)は「官庁エコノミストの重要性は今も変わらない」と言う。「ビッグデータや行動経済学など最新の道具が増え、これを政策立案のために使いこなすスペシャリストが必要です」
とはいえ、それも結局は政権に都合のいいデータ集めに利用されるだけではないのか。小峰氏にその疑問をぶつけてみた。

――あなたがいま官庁エコノミストだったらおかしな政権方針を批判できますか?
「いや無理でしょう。私も財政はいつか破綻するのではないかと心配だし日銀の政策もどうかと思う点が多い。でも官僚は表だって時の政権の方針を批判できません」
どうやら問題の本質は官庁エコノミストの減少だけにあらず。政権が都合のいい結論を持ち出す意思決定のブラックボックス化、官僚たちが率直な意見をあげにくい風通しの悪さにこそ、理が通らぬ政策が横行する原因がある。ならば政権の良識に期待するより抜本的な制度改革が必要だろう。

小峰氏が提案するのは省庁再編に伴って廃止された「経済審議会」の復活である。学界や産業界、労組、消費者団体などから分科会も含め100人超の識者を集めた首相の諮問機関だ。首相が示す政策理念に沿って、計量モデルにも整合的で、かつ現実的な経済計画を4~5年ごとにまとめた。
「全会一致が原則だからかんかんがくがくの議論の末、結論はマイルドになった。でも、論理的に説明できない結論にはなりません」。これも一案かもしれない・・・

この記事は、朝日新聞デジタル版では「「決める岸田政権」政策迷走の裏に 官庁エコノミストの絶滅危惧状態」という題です。こちらの方が、わかりやすいですね。