カテゴリー別アーカイブ: 経済

経済

日本経済の転換期

朝日新聞は19日から、「変転経済、証言でたどる同時代史」を始めました。
かつて輝いた日本経済は、1990年代に大きな転換期を迎えた。バブルからデフレへ、グローバル競争へと変転を繰り返し、21世紀の今また、日本は人口減少社会、団塊世代のリタイアという未経験の時代に入る。この20年、どこで、何が、なぜ変わったのか。
初回は、日本型経営の衰退です。日本的経営側として今井敬元経団連会長は、信頼を失ったら経営はできない、会社が従業員の雇用を守ることを主張しておられます。アメリカ型経営側として宮内義彦オリックス会長は、日本的経営ではグローバリズムに負ける不安が大きかったと述べておられます。

生活保護制度改革

18日の日経新聞経済教室は、林正義准教授の「急務の生活保護改革」「老人・医療を別体系に。地方は就労支援で独自性を」でした。
生活保護が地方の事務になっている国は珍しくないが、現在の日本の制度では地域間で給付水準の引き下げ競争が起きるなど、問題がある。
日本の生活保護の問題点は、次の3点。
1 保護費の半分以上が医療扶助であり、日常生活の経費は半分以下。
2 受給世帯の8割が、高齢者、疾病・障害者。
3 就労可能な世帯は2割以下であるが、この部分に関しても労働保険や失業手当が充実しておれば生活保護の守備範囲は狭くなる。
このように、生活保護以外の安全網が狭く、生活保護が性格の違う対象を丸抱えしている。そのために、次のような改革が必要である。
1 現状の制度のままでは、中央による地方への財源保障と統一的な給付基準の設定が必要。
2 医療や高齢者対策といった別の対象者について、それぞれの安全網を広げるべき。
そして地方のメリットを生かせる分野は、受給者の就労支援である。
説得力ある論文です。詳しくは、原文をお読みください。

2006年度の結果2

13日の日経新聞「エコノ探偵団」は、「日本の労働生産性なぜ低い?非製造業の効率化が課題」として、日本の労働生産性、特に非製造業での低さの原因を、わかりやすく解説していました

2006年度の結果

昨日、トヨタ自動車の2007年3月期決算が、発表されました。各紙の一面を飾ったので、ご覧になった方も多いでしょう。営業利益2兆円、世界一の自動車メーカーです。喜ばしいことです。売上高24兆円は、ロシアの国家予算と同額、日本の国家予算の30%にもなります。朝日新聞の図表が、わかりやすかったです。
さて、日本の国家財政は、まだ2007年度決算が出ていません。これは会計年度は3月までですが、5月まで出納整理期間があるので、数字が確定しないのです(遅れて納められる税金があるので、それを待ちます)。
もっとも、ここにも問題はあります。収納整理期間は、納めるべき税金は決まっているけど、納付が遅れているためのものです。だから、3月末には、取るべき税収の数字は、あらかた確定します(入るかどうかは不確定ですが、これまでの傾向値が参考になります)。ところが、国税はそうではないのです。1980年度に、税収不足を埋めるために、13か月分を税収としたのです。それ以来、法人税は、翌年5月以降に総額の約半額が入ることになりました(うーん。ということは、国税の出納整理期間は、6月までなのかな?すみません、勉強不足で)。
多分その当時は、「緊急避難」として知恵を出したのでしょうが、その後元に戻すことなく、この特例は続けられています(若い研究者や記者さんは知らないでしょうね。もう少し詳しくは、「新地方自治入門」p122。より詳しい資料を探しているのですが、財務省資料では見あたりません)。

国の特別会計

国の財政を議論するときに、多くの場合、一般会計が取り上げられ、特別会計を入れた全体像はよく分かりません。決算数値だと、GDP統計には合計で出てきますが、内訳の詳細が分かりません。国の財政の解説書や教科書も、一般会計のことばかり書いてあります。特別会計が書いてあっても、それは個別の会計の解説です。全体像を書いた本が、見あたらないのです。
わかりやすい資料を、教えてもらいました。財務省の資料「平成19年度予算政府案」の「特別会計の見直しについてです(ちなみに、この予算政府案の資料も、主に一般会計について解説してあって、特別会計との合計・全体像は説明がありません)。
そのp5に、特別会計総額と純計額が載っています。それによると、19年度の特別会計総額は362兆円です。これは、一般会計総額80兆円の4倍以上もの額になります。ところが会計間のやりとりがあって、それを差し引いた純計額では、175兆円です。それでも、一般会計の2倍もあります。
もっとも、そこには、国債の返還80兆円、交付税の配分15兆円、財政融資資金への繰り入れ19兆円があり、これらは「仕事をしている」のではありません。すると、仕事をしているのは、残る63兆円です。このうち、社会保険給付が51兆円、その他が12兆円です。その詳細は、p6に載っています。
残念ながら、この資料では、財源が分からないのと、性質別支出区分が分かりません。だから、例えば人件費総額や公共事業総額は出てこないのです。また、税収も特別会計に入る分があって、別の資料を見ないと税収総額も出てきません。