「経済」カテゴリーアーカイブ

経済

最低賃金引き上げ

23日の日経新聞経済教室は、「最低賃金見直しの視点」、山田久さんの「生産性底上げの突破口に」でした。
日本の最低賃金は、生活保護水準より低く、国際的にも極めて低いのです。これを引き上げるべきとの意見がありますが、一方で企業の経営が成り立たなくなるとの意見もあります。この問題についての議論です。
・・中長期的にみれば、最低賃金の引き上げは、格差問題やワーキングプア問題を生み出す根っこにある二つの「二重構造」にメスを入れ、所得底上げを実現していく突破口の役割を果たすことができる。
その第一は、企業規模間の二重構造である。大企業と中小企業とでは大幅な生産性格差があり、それが国際的にも大きい企業規模間の賃金格差の要因になっている。しかも近年、賃金格差は一段と拡大する方向にある。第二は就業形態間の二重格差である。日本の正社員と非正社員の処遇格差は国際的にも大きい。
これら二つの二重構造問題は、戦後一貫して存在してきた。ただ、高度成長期を経て所得が底上げされ、正社員数が増えることで、いったん消滅したようにみえていた。それがバブル崩壊後の景気低迷のもと、グローバルな産業再編や非正規への雇用需要シフトが起こり、水面下で問題がじわじわと再燃してきていた・・。
・・格差やワーキングプアの問題解決には、長らく放置されてきた二つの二重構造に本格的にメスを入れることが不可欠である。中小企業セクターに多く残る低生産性部門での経営革新・事業再生を促すとともに、正規・非正規雇用間の処遇格差を是正し、気象になる人材の能力を最大限引き出す環境を整備することで、経済全体の生産性底上げを目指す必要がある・・
詳しくは、原文をお読みください。

借金大国アメリカを支える日本

21日の朝日新聞別刷り「be on Saturday」、山田厚史編集委員の「読み解く、債権国なぜ買われる」から。
・・不可解なのは、世界最大の債権国である日本の企業が、買収におびえるという事態だ。世界最大の借金国・米国にかじられている。外貨をしこたま貯め込んだ国が、資金不足の国に攻勢をかける、ならわかる。その逆が起きているのだ。
この逆転構造は、「円安」と同根である。日本の国際収支は年間20兆円を超える大幅な経常黒字。稼ぎが増えれば円が高くなり、やがて貿易や資本取引が均衡するというのが自然である。そうならない理由の一つは、輸出企業が稼いだドルを円に換えず、海外で再投資していることにある。「あり余るドル資金を何に運用するか、日々頭を悩ませています」。日本を代表する自動車メーカーの金融子会社の役員は苦労している・・
日本がモノ作りで稼いだカネが米国の投資ファンドに流れ、日本企業が買収不安におののく、という皮肉な事態が起きる。根源は日本の超低金利だろう。有利な運用先が日本に見あたらない・・日銀が金融をじゃぶじゃぶに緩和しても、国内で使われず海外に流出する・・
日本のカネが米国を支えるという構造が、さまざまなゆがみを生んでいる。日本が稼いだカネを、日本で使う知恵が求められている。

バラの空輸

15日の日経新聞「エコノ探偵団」は、バラの種類なぜ増える」でした。輸入されるバラは、韓国、インドの他に、ケニアからのが多いそうです。ケニア産のバラは、オランダが持ち込み、生産しています。そして、日本への輸入が増えたのは、ドバイから日本への航空便ができたからだそうです。なるほどねえ。
かつて、香港で「香港の花はオーストラリアの他、オランダから来ている」と聞いたときも驚きましたが。飛行機で、地球を半周して運んできても売れるんですね。それだけ安くて良い品物だということでしょう。

派遣自由化

14日の朝日新聞「変転経済」は、労働者派遣法でした。規制緩和の歴史が、簡単な年表になっています。1986年に派遣法ができて、99年に原則自由化になりました。記事は、99年改正を取り上げています。長期不況と規制緩和の流れを要因としています。
私は、派遣やパートの不安定さもさることながら、正社員との格差の大きさが問題だと考えています。

外国為替特会

9日の日経新聞「YEN漂流」は、外国為替資金特別会計を取り上げていました。この会計は、円高時に、ドル買い円売りで介入します。財源は政府短期証券とのことです(1年未満の国債。地方団体だと一時借入金のようなものといったらいいでしょうか)。ドルを買うので、結果としてドル(外貨)が残ります。それがたまって、9千億ドル(約100兆円)になっています。
これだけなら、借金で財産を築いたので、純資産はありません。円ドル相場が変化してドル高になると、持っているドルの価値(円での評価)が上がり、プラスになります。例えば100円借金して1ドル買ったとします。その後、ドルが値上がりして1ドル=120円になると、借金は100円なのに、持っているドルは120円になっているのです。
また、アメリカ国債で運用しているので、金利が収入になります。日本の短期金利(調達金利)と、アメリカ国債の金利(運用利息)との差が、収入になるということです。
ということは、この金利差が縮まると利益は減ります。また、円高になると、持っているドルの価値は減ります。持っているドル=アメリカ国債を徐々に売るのが一つの選択肢ですが、難しい問題もあるようです。
私も詳しくはないのですが、多くの人は、この特会を知らないのではないでしょうか。