カテゴリー別アーカイブ: 歴史

公文書館、春の展示

国立公文書館が、「江戸幕府、最後の闘い-幕末の「文武」改革―」という展示を始めました。概要を引用します。

・・・平成30年(2018)は明治元年(1868)から満150年を迎える年に当たります。春の特別展では明治前夜、幕末期の江戸幕府に焦点を当て、当館所蔵の江戸幕府公文書である「多門櫓文書(たもんやぐらぶんしょ)」を中心に、幕末期の江戸幕府の「文武」改革について取り上げます。こうした改革が可能になった背景や、維新後に新政府で活躍する幕臣たちのその後も合わせて展示し、明治の近代国家建設の端緒を江戸幕府の側からご紹介いたします・・・

ご関心ある方は、どうぞ。皇居周辺の桜もきれいですから、その帰りにでも。

トニー・ジャット著『記憶の山荘』

トニー・ジャット著『記憶の山荘 私の戦後史』(2011年、みすず書房)を読みました。著者は、『ヨーロッパ戦後史』で有名です。読みたいと思いつつ、大部な本なので先送りしています。どのような人が書いたのか、気がかりだったので、『記憶の山荘』を見つけて、読みました。

この本は回想録ですが、体験、それもいくつかの物から記憶が広がります。プルーストの『失われた時を求めて』のマドレーヌのようにです。
1948年、ロンドンのユダヤ人家庭に生まれます。物資の乏しかったイギリスの戦後生活から、話が始まります。奨学金を得てケンブリッジ大学へ。ケンブリッジ大学とオックスフォード大学で教鞭を執った後、ニューヨーク大学に移り、アメリカで暮らします。
ヨーロッパ戦後史を書くには、西側だけでなく東側の知識も必要です。その背景が、この本を読むとわかります。

晩年、筋萎縮性側索硬化症にかかり、『記憶の山荘』は、人工呼吸器をつけ、口述筆記されたとのことです。
碩学の回想録、エッセイを、寝る前の布団で読むのは、至福の時です。先達の経験、苦労、考えたことを、(すみません)寝転びながら読めるのです。もちろん、翻訳の場合は、訳文がこなれている必要はあります。

変わる古代史

佐藤信編『古代史講義 邪馬台国から平安時代まで』(2018年、ちくま新書)が、勉強になりました。
古代史も、新しい発掘とともに、視野が広がる(国際的観点、地方史、社会史など)ことによって、かつてとはかなり変わってきています。この本は、最新の研究成果と研究動向を、一般向けに解説したものです。この期間の、15のテーマを取り上げています。
例えば、「飛鳥・藤原の時代と東アジア」「平城京の実像」「奈良時代の争乱」「受領と地方社会」など。
「へえ、そうなんだ」と驚くことが、たくさんあります。

たんぱく質考古学

「たんぱく質考古学」って知っていましたか。1月7日の朝日新聞が大きく解説していました。詳しくは、記事を読んでもらうとして。中に、次のような記述があります。
・・・奈良県明日香村にある7世紀の牽牛子塚(けんごしづか)古墳から出土した豪華な棺を分析すると、中国原産のカイコに由来する絹が使われていた。
一方、3世紀ごろの奈良県桜井市の纒向(まきむく)遺跡から出た巾着型の布製品は、やはり絹だが日本在来のヤママユガだった・・・
へえ、そんなことまで分かるのですね。科学の進歩は、すばらしいです。

牽牛子塚古墳は、子どもの頃、自転車に乗ってしばしば見に行きました。近鉄飛鳥駅の近くの小山の中にあり、石室を覗くことができました。きれいに加工された石で、部屋が二つ並んでいました。不思議な形でした。近年、発掘されて、大きな話題になりました。
近くに、真弓鑵子塚古墳(まゆみかんすづか)があります。こちらは、大きな石室に入ることができました。自然石が積み上げられて、大きなドーム型の空間になっていました。最大幅4.4m、高さ約4.7m。使われた石は約700個だそうです。一人で入ると、積み石が落ちてこないかと、怖かったです。今は、立ち入り禁止です。

兼好法師

小川剛生著『兼好法師』(2017年、中公新書)が面白いです。徒然草で有名な吉田兼好ですが、私たちが知っている経歴は間違いなのです。この本は、兼好の実体に迫ります。推理小説みたいです。
吉田という姓も嘘だそうです。後世、吉田家が「箔を付ける」ために、ねつ造したとのこと。なんと。

どのようにして、700年前の人物の実像を明らかにするか。お寺に残っていた古文書(仏教の経典)の裏に、兼好が書いたと思われる手紙が残っていたのです。紙が貴重な時代、裏を再利用して教典を書き写したのです。
この本は、徒然草の解説書ではありません。兼好法師とは誰かの、推理です。
面白いですよ。