読売新聞政治面では、最近の政治主導について、「政策決定」の連載を載せています。まずは、経済財政諮問会議を取り上げています。日々の出来事を追いかけるのではなく、このような分析を期待します。
カテゴリー別アーカイブ: 報道機関
大臣等規範
今日、平沢総務大臣政務官が、「大臣等規範」に違反したとして、麻生大臣に辞表を提出しました。この規範は、平成13年1月6日に閣議決定された、大臣・副大臣・大臣政務官の服務規律です。今回問題になった国内外の旅行については、その1(9)に定められています。
新聞なども書かないので知られていませんが、政治家が大臣等に就任したときに渡される規範です。拙著「省庁改革の現場から」p202に書いてあります。制定された日付は、あの省庁改革の日です。その趣旨は「政治家であって国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、国民の信頼を確保するとともに、政治的中立を確保すること」です(出張の許可より、この方が重要なんです)。
書物としては、たぶん私の本にしか出てこないのではないのでしょうか。新聞記者もあまり知らないと思います。日本政治に関する系統だった教育を受けていないようですし、1年で異動することが多い記者に、期待する方が無理ですか。「番記者」として政治家を追いかけるより、もっとすべきことがあると思います。(拙著「新地方自治入門」p312)。
資質を疑う
2004年3月10日の日経新聞記事に、「ここ20年で国の予算歳出の伸びに比べ、交付税と赤字地方債の合計の伸びは大きく、その差は7兆円にもなる。そのために、財務省は7兆円交付税を削減する」とありました。
びっくりした人もいたでしょう。でも少し読んだら、おかしいとわかりますよね。国の「歳出」と地方の「収入の一部」とを比べるなんて。国の歳出と比べるべきは、地方の「歳出」です。地方の赤字地方債と交付税の合計を比べるなら、国の赤字国債とです。赤字国債がどれくらい増えているか、調べて見てください。
こんな資料をもらって、そのまま記事を書く記者は・・・、それを紙面に載せるデスクも・・・。
退官してからしゃべること?
1月11日付のN新聞読書欄で、ある本について、次のような書評が載っていました。「W大学教授の著者は、××省××局長時代に××処理に取り組んだ・・。(この本に書いてある)『円高は予想以上の効果を及ぼし日本経済は自壊した』といったセリフは、現役時代には決して漏らせなかっただろう・・・」
ふーん。そうなんだ。この書評が正しいのなら、官僚は現役時代には真実(あるいは、書評で取り上げられるほど重大なこと)を、しゃべってはいけないんだ。少なくとも、書評を書いた人はそう思っているらしい。ということは、この新聞社が書く「官僚の発言」はすべては真実ではないと、思わなければならないのか(でも、このセリフって、そんなに「漏らせない」内容かなあ)。
そんな官僚に仕事を任せている国民は、不幸せですね。そんな新聞を読まされる国民も、不幸せですね。私も、この本が単なる回顧談なら、この評価もなるほどと思います。もっとも、それなら新聞の書評の、しかも第1には取り上げられないでしょう。この書評を書いた記者が、この記述に感激したか、著者に恩義があるのですかね。
このような書評を書かれて、著者はどう思っておられるのでしょうか。後輩に、「現役時代には、真実はしゃべるな。大学教授になるまで取っておけ」ということでしょうか。
確認を忘れた記事
国の予算の大臣折衝の結果が、昨日のテレビニュースや今朝の新聞に載っています。次の記事を読んで、変だと思いませんか。
「財務大臣は、警察庁については、地方警察官を3150人増員し、3.5億円を認めた」
ふーん、これだと1人あたり10万円あまりですよね。それなら3千人といわず、30万人ぐらい増員すればいいのに。僕のポケットマネーで、2人ぐらい雇おうかなあ。年間10万円なら。
たぶん、こういうことだと推測します。警察官は県の職員で、その給与や活動費は県庁が負担しています。国が負担しているのは、ピストル代です。これは、国の現物支給です。警察官は一般職員より給料も高く、経費も含めると1人あたり1千万円を超えます。その経費は、地方財政計画に計上します。それは総務大臣の仕事です(拙著p90)。16年度の地財対策には、この増員分も織り込んであります。
地方公務員の数を、財務省が決めているような報道。そして、「1人あたり10万円」を、変だと思わない記者。予算編成とその報道については、まだまだおかしなことがありますが、それについてはまたの機会に。