鎌田浩毅先生の新著『理科系の読書術』(2018年、中公新書)が良かったです。紹介には、次のように書かれています。
・・・本を読むのが苦行です――著者の勤務する京都大学でも、難関の入試を突破したにもかかわらず、そう告白する学生が少なくない。本書は、高校までの授業になかった「本の読み方」を講義する。「最後まで読まなくていい」「難しいのは著者が悪い」「アウトプットを優先し不要な本は読まない」など、読書が苦手な人でも仕事や勉強を効率よく進めるヒントが満載。文系の人にもおすすめの、理科系の合理的な読書術を伝授する・・・
わかりやすいです。すらすら読めて、納得します。学生だけでなく、社会人にも、役に立ちます。いくつかのキーワードを書いておきます。詳しくは、本を読んでください。
多読と速読の違い。速読とは、時間あたりに読める文字数が多いのではない。未知の分野では速読はできない。
人間関係2:7:1の法則は、本にも当てはまる。
難しい本を読む際の、棚上げ法と要素分解法。音楽的読書(丁寧に最初から読む本)と絵画的読書(飛ばし読みができる本)。
生産の読書と消費の読書の違い。
最近の学生は、本を読まないようです。昨日、このホームページでも紹介しました。京都大学の学生もそうだとか。もっとも、昔から、本を読む学生と読まない学生はいました。読まない学生の割合が増えたということでしょうか。
「本の読み方を教えてもらっていない」という指摘があります。私も大学の法学の授業で、教授から読み方のコツを教えてもらいました。法律学の本は、難しいのです。「そうか、教授もこのように読んでおられるのだ」と自信がつきました。
そこで、私が講義する大学の授業でも、本の読み方と新聞の読み方を教えるようにしています。新学期からは、鎌田先生のこの本を紹介することにします。