カテゴリー別アーカイブ: 生き方

生き様-生き方

性格の違い、人生への影響

鈴木信行著『宝くじで1億円当たった人の末路』(2017年、日経BP)がおもしろかったです。
本屋で見たときは、表紙を見て「雑学」「とんでも本」の一種かと思って、手に取りませんでした。書評で取り上げられていて、買って読みました。
表題になっている、1億円当たった人の末路は、想像がつきました。勉強になったのは、ほかの人たちです。
子どもにキラキラネームをつける親は、とんでもない人でなく、中流以上で真面目な人が多いこと。自分は没個性的な人生を余儀なくされたが、子どもには個性的な人生を送って欲しいと思って、そのような名前をつけます。ところが、子どもには「周囲にあわせて生きよ」と抑圧してしまうのだそうです。子どもは、あまり幸せではないようです。ところが、最近はそのような名前が多くなって、目立たないとか。
友達がいない人は、不幸な人生だと思われます。ところが、一人で生きていける力のある人は問題なく、「友達を作らなければいけない」と思い込んで群れようとしている人の方が問題だとか。へえ!と思う事例がたくさん載っています。
取り上げられているのは、何かに遭遇した人(宝くじにあった人)の将来がどうなったかというより、「このような性格の人はこうなる」という性格による人生の違いが多いようです。

「おわりに」に書かれていますが、この本のもう一つのテーマは、社会や世間にうまく同調できずに悩んでいる人へのエールです。
同調圧力が強い日本で、周りにあわさなければいけないと思って悩んでいる人が多いのです。それにあわせようとする人が、友達を作らなければいけないと思い、自分はそうだったけど子どもにはそうなって欲しくない親が、子どもにキラキラネームをつけるのでしょう。
日本社会論として勉強になる本です。

休日の苦しみと喜びと

かつて、わが家の子供が、「金曜日↑、土曜日↑、日曜日→、月曜日↓」と、イントネーションを利かして歌っていました。笑って聞いていましたが、確かに金曜日と土曜日は、「明日は休み」と思うと気分も楽しいです。日曜日になると「明日から働くのか」と少し落ち込み、月曜日にはさらに・・・。

私も、金曜夜が、気分が一番ゆっくりします。しかし、締めきりが来た原稿を抱えた身では、そうも言っておられず。
金曜夜(飲んでから)、土曜日と日曜日は早起きをして(こちらは冴えた頭で)、一気に書き上げました。すっとしました。
書いてしまえば、「何で、こんなことに悩んでいたんだろう」と思うのですが。まとまった時間がとれないのです。昼はキョーコさんのお供と孫の相手をしなければならないし。

まだ、今週の講義の準備と、17日締めきりの原稿がもう一つあります。常に締めきりに追われる人生は、健康によくないです。
でも、一つ書き上げたので、気持ちよくこの文章を書いています。

今日は母校で講演

今日29日は、母校・奈良女子大学付属高校の同窓会で、講演をしました。今年は、私たち昭和48年卒業生が幹事で、私と小吹君が「出し物」です。
私の役割は、官僚としてのやりがいを話すこと。小吹君が、NGOとしての活躍を話すことでしょう。で、私は、東日本大震災の対応と復興をお話ししました。割り当てられた時間は30分でしたが、実際は20分あまり。

このような場では、話より写真が効果があります。用意した写真は、半分だけを使いました。
いつものことですが、発災直後を思い出すと、大変だったときのことが頭をよぎります。「これを、若い人たちにも伝えておきたいなあ」と思い、ついついエピソードに脱線します。
皆さん、興味を持って聞いてもらえたようです。ありがとうございました。

「あなたの人生の意味」

デイヴィッド・ブルックス著『あなたの人生の意味』(邦訳2017年、早川書房)が良かったです。副題に「先人に学ぶ「惜しまれる生き方」とついています。
著者は、人間の美徳には2つあると指摘します。一つは履歴書向きのもので、社会でどのような資格を得て、成功を収めたかです。もう一つは、追悼文向けのもので、あなたの葬式に集まった人たちの思い出話として語られるもの、親切、正直、誠実といったものです。その人たちと、どのような関係を築いていたかにもよってきます。生き様、人格といったものでしょう。
前者を「アダムⅠ」と、後者と「アダムⅡ」と名づけます。Ⅰは外向きです。高い地位と勝利、世間からの評価を求めます。Ⅱは内向きです。良き生き方を求め、心の中に道徳的資質を持とうとします。Ⅰは他人との競争、Ⅱは自分または神との約束とも言えます。
この本は10人の人を取り上げ、それぞれの人がどのようにアダムⅡで立派な人生を送ったかを書いたものです。

アイゼンハワー・大統領は、自己抑制の人であったこと。マーシャル・国務長官が自制心の人であったこと。二人ともアダムⅠとして成功していますが、ここでは大変な努力家として描かれています。そういう人を、周囲が放っておかず、大きな地位に就けるのです。
ほかに、自ら進んで恵まれない人への支援を行い社会改革に取り組んだ女性たちなど。それぞれに、簡潔な伝記として、彼らが自らを律した様、それもしばしば強烈な体験が書かれています。

人生とはなんぞや、どのように生きるべきかを考えている人には、良い本です。
取り上げられている人がアメリカ人がほとんどで、しかも私たちになじみがないこと。450ページを越える厚さであることが、難点です。
1か月ほど前に読んだのですが、ほかの記事を優先していたら、今頃になりました。私の研究課題は日本の政治と行政で、主にアダムⅠの世界ですが、たまにはアダムⅡについても書いてみました。

魚谷・資生堂社長の読書術

日経新聞3月4日の読書欄「リーダーの本棚」は、魚井雅彦・資生堂社長でした。
・・・書店では「何か違った本はないか」と思って探しますが、買った本を見ると「人間の可能性」や「経営哲学」に結びつく本ばかりです。そういう読書をよしとして、楽しんでいるんです。もうちょっと遊びがあってもいいかもしれませんが、自分にとっては企業経営そのものが人生なんです。
ベッドのそばにはメモ用紙が置いてあります。本を開いてから、30分も持たずに眠ってしまうこともあります。それでも本を読みながら「そうだ。明日これを副社長に連絡しないと」「これはおもしろい。うちに当てはめたら、こんな新製品が考えられる」といったことを書き込んでいます・・・
魚谷社長は、奈良県の先輩です