カテゴリー別アーカイブ: 生き方

生き様-生き方

野村監督に学ぶ夫婦の関係

2月20日の朝日新聞オピニオン欄「ノムさんに学ぶ」
・・・自らを「月見草」に例えた昭和のプロ野球選手の人生がなぜ、グラウンドの外でも、人々の興味をかきたてるのか。「ノムラの教え」から、何を学び取れるのか・・・

橋田壽賀子さんが、次のようなことを指摘しておられます。詳しくは記事をお読みください。
・・・たぶん沙知代さんは野村さんと出会い、「私の言うことを聞く人」と見抜いたんです。野村さんくらいの年齢の男性の女房像は、夫の言うことを聞いて家のことだけやればいい、というのが普通でしょう。でも、野村さんは逆でした。外で勝負の世界に生きているからか、逆に英では助言や叱咤もしてくれる強い女性がいたほうが楽だったのでしょう。言うなりになっている感覚こそが「愛されている」という実感だった・・・

私には、珍しいこととは思えません。日本の多くの家庭では、このようなのではないでしょうか。
外での仕事に全力を使い、家のことは妻に任せっぱなし。自分のことでも、食事も服装も妻任せです。これまでは、これが理想像でした。
財布を妻に渡している夫が多いです。その段階で、力関係は歴然としています。「亭主関白」は外面だけで、家では妻の方が強いのです。夫を「夫唱婦随」などとおだてて、実権を握る。女性は上手ですわ。
問題は、夫がその力関係に気づかず、ムダな抵抗をすることです。私も、もっと早く気づくべきでした。

それぞれの人の判断ですが、結婚は人生を豊かにしてくれ、かつ人生修養にとって、ほかにはない場です。
さらに上はいます。悪妻の方が、夫が出世するという事例です。これについては、また別の機会に。

鎌田浩毅著『理学博士の本棚』

鎌田浩毅著『理学博士の本棚』(2020年、角川新書)を紹介します。
帯とあとがきに、「科学者が愛した中古典の名著」とあります。こちらの表現の方が、わかりやすいです。古典(大古典)と呼ばれるような本ではなく、鎌田先生が若い時に読んだ本、先生の科学者人生を作ってきた本です。

挙げられている書名を見ると、皆さんも「ああ、こういう本もあったな」「私も読んだ」と、思い当たる本が並んでいます。
鎌田先生、良いところに目をつけられましたね。古典の数々は、これまでも多くの方が紹介しておられます。それに対し、ここに挙げられた本は、古典でも大古典でないもの、また、まだ古典になっていないものです。
「B級グルメ」といったら、失礼になりますが。大古典は少々敬遠する人にとっても、これらの本は、取っつきやすいでしょう。

本のあらすじ、著者の紹介だけでなく、鎌田先生がその本をどのように読んだかが載っています。これは、読書の参考になるでしょう。
そして、さらに読みたい人のために、関連する書物が並んでいます。巻末には、出てきた本と著者名の索引もついています。親切です。

いつもながら、鎌田先生はとんでもない量の本を、読んでおられますね。しかも、それを覚えておられる。脱帽です。

「世界一孤独な日本のオジサン」

岡本純子著『世界一孤独な日本のオジサン』(2018年、角川新書)を読みました。面白かったです。データと実態とで、日本のオジサンの孤独をあぶり出します。それを、軽妙な語り口で伝えます。頷くことが多いです。笑いながらです。

オバサンは友達が多いのに、オジサンは少ないこと。新しい友人を作ることができないこと。会社人間が退職すると、行くところやすることがないこと。名刺がないと、生きていけないことなどなど。ふだん言われていることが、列挙されています。

「男は黙って・・」とか、以心伝心、察してくれよなどが、コミュニケーションベタをつくっているようです。おしゃべりができないこと、そして、褒めることが少ないことも。
オジサンは、他人を褒めないのに、自分のことは褒めて欲しいのです。でも、他人を褒めずに、誰があんたを褒めるんや。

関西人の方がまだましだ、との指摘もあります。私も思い当たります。外で「うちのキョーコさんは美人です」と言うと、多くの人があっけにとられ、笑います。
皆さん、自分の妻や夫を褒めないようです。外の人に向かっても、本人に向かっても。本心からであっても、ヨイショであっても、相手が喜ぶことなら良いことですよね。しかも、プレゼントよりずっと安いのですから。
口は、仕事では、お願いとお詫びをするためにあり、部下と連れ合いには、褒めるためにあります。

笑いが少ないことや、笑い方を知らないことも、指摘されています。写真を撮られても、すまし顔や口を締めて、きりっとした姿で写ります。
この本で指摘されているように、外国の経営者はニコニコして写真に写っていますよね。日本でニコニコしているのは、落語家と政治家のポスターでしょうか。

イギリスなどでも、オジサンの孤独は課題と認識され、民間での取り組みが進んでいることや、担当大臣が置かれたことなども紹介されています。
社会の問題としてだけでなく、あなたの問題として読んでください。処方箋もついていますから、実践してください。

先人の経験談

私は、ある人の経験談を読むのが好きです。日経新聞の「私の履歴書」も、その一つです。
英雄の伝記も悪くはないのですが、私たちの生活とはかけ離れています。その点、新聞に取り上げられる、いまを生きている、あるいは最近まで活躍された経済人などの話は、身近なのです。
特に、さまざまな危機や失敗を切り抜けてきた人たちの経験が、勉強になります。日経新聞の読者は、最後のページ(私の履歴書のページ)から読むという人も多いようです。

私の若いときは、太平洋戦争とその後の混乱を、生き抜いてきた人たちが多かったです。私の知らない世界がありました。その後は、社会も安定し、そこまで過酷な人生は少なくなりました。
とはいえ、会社勤めをしていると、本人の思ったようには、順風満帆な人生ばかりではありません。

「本社でエリートコースを歩いてきました」という社長さんの話は、面白くありません。「いくつも失敗したけど、そこで学んで出世しました」という話が、役に立ちます。
例えば、1月12日の日経新聞日曜版のインタビュー、ビームスの設楽洋社長の話。社長になり順調だった1998年、バイクレースでチームスポンサーになって優勝します。翌日の取締役会で、幹部全員から辞表を出されます。まさに「天国から地獄」だった・・・そして、その危機を乗り越えます。

私たちが失敗したとき、失意の時に、「あの人もこんな苦労をして、学習して、出世されたのだ」と。社会人にとっての、人生の応援歌です。
もっとも、本人の回顧談は、都合の悪いことは書かないでしょうし、周りの人たちがどう見ていたかも、書かれていません。それは、無い物ねだりでしょう。

男と女は誤解して愛し合い、理解して別れる

12月19日の日経新聞に、ウイスキー「タリスカー」の全面広告が入っていました。「島地勝彦が語りかける、バーカウンターの嗜み」です。

その中に、「島地勝彦の格言vol.1」「男と女は誤解して愛し合い、理解して別れる」というコラムが載っています。ネタをばらしてはいけないと思いつつ、読む人は多くないと考えて、一部を紹介します。できれば、原文を読んで、楽しんでください。

バーに入ってきた男性客が、「将来を考えていた女性と別れた」と話します。
彼女とは、料理教室で出会った。趣味も味覚の嗜好も似ていたので、これが運命の人だと恋に落ちた。しかし、付き合うようになってからは、彼女は一切、手料理を作ってくれない。
「美食には興味はあるが、調理には興味がなく、自分では食事を作らなくてもすむように、料理男子を探していた」のだそうです。
島地さん」「島地さん、タリスカー

補足
この話の背景には、「夫婦では、女性が料理を作るもの」という、過去の「常識」があるようです。この話を、男女を入れ替えてみると、意味が違ってきますよね。(12月26日)