カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

社員の技能を可視化

3月20日の日経新聞に、「日本特殊陶業、全社員7000人のスキル可視化」が載っていました。

・・・エンジンの点火プラグで世界首位の日本特殊陶業は全社員、7千人のスキルを可視化している。プラグがいらない電気自動車(EV)の普及とともに市場は縮む見通しだ。車部品業界トップの収益力がゆえに、危機感の浸透や事業転換が壁となる。一人ひとりの目指す姿と今のギャップを鮮明にする仕組みで、学ぶ意欲や新事業への攻めの志を養う・・・
ソフトウェア開発、セキュリティー技術など6項目で、1(未経験)から5(社外で講師ができる)の5段階があります。社員が自ら評価し登録します。上司が修正します。

私が職員研修などで取り上げている、「採用されれば、人事異動や昇進は人事課任せ」「自ら技能を磨かない」という日本型職場慣行の欠点を埋める、よい取り組みだと思います。

新社会人の皆さんへ

今年は、4月1日が月曜日。新しい年度が始まりました。新しく社会人になった人、職場を異動した人も多いでしょう。大きな希望と少しの不安を抱えての出発だと想像します。私も若いときは、そうでしたから。初志を持ち続けて、成長してください。

悩みについては、一人で抱えないでください。
電車の車内広告で、新採社員向けに「悩まず先輩に相談しましょう」「先輩も相談されることを待っています」というものがありました。その通りです。一人一人にとって初めてのことであり大きな悩みですが、経験者にとって「みんなが通ってきたこと」です。その基本を『明るい公務員講座』に書きました。

「若い人に『明るい公務員講座』を渡したいので、署名してください」との依頼もありました。お役に立てればうれしいです。不安そうな新人を見かけたら、拙著を紹介してください。
『管理職のオキテ』も、売れているようです。連載している「公共を創る」でも書いているように、各職場での管理職研修(といっても、ほとんどが「先輩を見て覚えよ」であり、管理職の育成は特段のことをせず優秀な職員から選んでいます)が、現実の変化に追いついていません。こちらの本も、管理職になって悩むことに対して助言をしています。

管理職を目指さない日本の社員

3月18日の日経新聞夕刊に「管理職は「なり損」?」が解説されていました。

・・・管理職は責任も伴う役割です。その部署が進む方向を決断し、成果を上げなくてはいけません。それを自分では担えない重責だと感じる人もおり、日本では特に管理職を敬遠する風潮が顕著になってきています。
パーソル総合研究所がアジア太平洋地域(APAC)の14カ国・地域を対象に実施した働く人の意識調査によると、管理職を目指す人の割合は日本は男女平均で21.4%でした。14カ国・地域中、最下位です・・・

理由として、処遇が責任に見合っていないことが挙げられています。戦後日本の平等志向で、諸外国と比べ管理職の給料が高くないのです。
そして、私が指摘している「管理職に必須の職場管理知識」が増えていることも原因としてあげられています。
・・・一方で役割は広がるばかりです。1999年以降、セクハラ、パワハラなどへの法的な対応が企業に課せられました。65歳までの継続雇用も始まり、年上の部下を持つケースも増えています。働き方改革で残業削減にも目を光らせなくてはいけません。
いずれも大切な取り組みですが、その役割は現場を預かる管理職が主に担います。管理職に必要なマネジメントスキルはますます複雑化し、難易度が上がっています・・・

記事では、各国の「管理職を目指す人の割合」が図になって載っています。インド、ベトナム、フィリピンなど東南アジア各国では男性も女性も7割から8割です。日本の低さ、特に女性の低さが目立っています。
これは、社員に原因があるのではありません。職場が魅力のない管理職を作っているのです。会社側に原因があります。
対策はそんなに難しくありません。
・給与を引き上げ、社員と差をつけること
・できる社員を管理職に昇進させるのではなく、管理職を意図して育成すること。
・管理職研修をしっかりやること

「上位下達」

「上位下達とは、上位の者の意志や命令を下位の者に徹底させること。下意上達とは、下位の人たちの意見や考えが上位の人に届くこと」
この文章の間違いを正せ。

わかりますか。「上位下達」は、「上意下達」の間違いです。先日、やらかしてしまいました。
職員研修で使う投影資料でです。中間管理職の仕事を説明する際に図を描いて、その横にこの言葉を添えてあります。漢字変換する際に、間違ったようです。この資料はもう何回も使っているのですが、気がつきませんでした。反省。
見た人から指摘を受けました。ありがとうございます。

さらに調べていて、もう一つの間違いに気がつきました。「上意下達」は「ジョーイゲダツ」「ジョーイカタツ」のどちらの読み方もあると思っていたのですが、「ジョーイカタツ」が正しいのだそうです。「NHK放送文化研究所

社員の育て方改革、タテ組織のOJTに限界

3月11日の日経新聞オピニオン欄に、原田亮介・論説主幹の「Z世代社員の「育て方改革」 タテ組織のOJTに限界」が載っていました。

・・・人手不足で人材獲得競争が激しさを増すなか、企業が若手の育成に苦労している。転職も含めて自分のキャリア形成を重視する「Z世代」の価値観が、伝統的なタテ割り組織とかみ合わないからだ。職場内訓練(OJT)で育てる従来のやり方には限界があり、企業も「育て方改革」に動き出している・・・

・・・いま30歳までの若者は、一般には1990年代後半から2012年までに生まれたZ世代と呼ばれる。その育て方に一石を投じたパナソニックのイベントには他の会社からの照会が相次いでいる。実際どの会社も悩みは多い。
「40代以上は一定の価値観で育っているが、Z世代の価値観は多様。人事部もどうマネジメントすればいいか悶絶している」。20年も転職支援に取り組んできた人材会社のあるトップは今までにない世代、とみる。

第1の特徴は有給休暇の取得やリモート勤務を重視する層が増えていること。残業などで自分の時間を侵食される職場を選びたがらない。働き方改革、コロナの影響が意識を変えている。
第2の特徴は就職時に最初から転職を視野に入れている層が増えていること。リクルートワークス研究所が19〜21年に就職した人を対象にした調査によると、今の会社に定年まで働きたい人は2割にとどまる。「すぐにでも退職したい」と「2、3年は働き続けたい」を合計すると半数近い44.5%に達する。
3つ目はキャリア(仕事の専門性)を会社ごと、職場ごとに伝承してきた企業の組織文化に対し、キャリアは自分に蓄積され、転職しても持ち運ぶという意識が高いことが特徴にあげられる。
4つ目の特徴は、タテよりもヨコのつながりを重視する考え方だ。SNSを使い慣れ、同級生や同期のコミュニティーで立ち位置をいつも確認してきた。上司よりも異なる職場や違う会社の同世代がどう働いているかに関心が強く、副業にも意欲的だ・・・

・・・もう一つ気がかりなことがある。企業は年功部分を反映して従来厚めだった中高年への配分を見直し、初任給の引き上げなど若手に手厚い配分に改め、賃金カーブをフラット化させつつある。取り残される中高年は賃上げの実感に乏しく不満がたまりやすい。
また若手の指導役の中間管理職は通常業務以外に、若手のキャリアプランの作成などを求められており、負荷が増している。その処遇を手厚くし、コーチング研修などを強化しないとうまくいかない・・・