カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

幸せになる4つの心的心的因子

11月4日の日経新聞「やさしい経済学」、前野隆司・慶応義塾大学教授 の「幸せ中心社会への転換(5) 4つの心的要因が寄与」から。

・・・どのような心的要因が幸せに寄与するのかについては、1980年ごろから多くの研究が進んでいます。私たちは幸せの心的要因について、日本人1500人に87の質問をしました。その結果の分析から得られたのが幸せの4つの因子です。

1つ目は「やってみよう」とする「自己実現と成長の因子」です。やりがい、強み、成長などに関係します。その反対にあるやらされ感や、やる気がないといった人は幸福度が低い傾向があります。

2つ目は「つながりと感謝の因子」で、「ありがとう因子」といえます。感謝する人は幸せです。また、利他的で親切な人、多様な友人を持つ人は幸せです。逆に、孤独感は幸福度を下げます。つながりが醸成された社会・コミュニティーをつくることが重要です。

3つ目は「なんとかなる」と考える「前向きと楽観の因子」です。ポジティブかつ楽観的で、細かいことを気にしすぎない人は幸せです。リスクを取って不確実なことにチャレンジし、イノベーションを起こそうとするマインドもこの因子に関連しています。

最後は「独立と自分らしさの因子」です。人と自分を比べすぎる人は幸福度が低い傾向があります。「ありのままに」と考え、自分軸を持って我が道を行く人は幸せです。

これらの因子を満たしている人は幸せです。皆さんも4つの因子を満たして幸せに生きてください・・・

働きがい改革

11月2日の日経新聞「スマートワーク 新常態の対応、企業の競争力左右」に「求められる働きがい改革」という部分があります。
・・・労働生産性は通常、仕事で生み出される付加価値を労働投入量で割ることで測る。従来の働き方改革でフォーカスされてきたのはこの計算式の分母(労働投入量)をいかに小さくするかだった。日本は長時間労働を美徳とする企業文化があり、給与に占める残業代の比率も高い。このことが先進国で最低の生産性の原因と見なされ、残業時間の削減が働き方改革の「1丁目1番地」となった。
見かけの数字では改革は進捗している・・

・・・アフターコロナでは、生産性の計算式の分子である付加価値により目を向ける必要がありそうだ。経団連も今年1月にまとめた経営労働政策特別委員会(経労委)報告で、これまでの働き方改革が残業時間削減や休暇の取得促進に一定の成果を上げたと総括。その上で働き方改革の「フェーズ2」では付加価値の最大化が課題と指摘した。カギとして位置づけられたのが従業員の「エンゲージメント」の向上だ。
エンゲージメントは2000年代前半に欧州で確立した概念だ。日本では「働きがい」と訳されることが多い。自分の仕事に意義を感じ熱意を持って取り組む姿勢を指す。蘭ユトレヒト大学などがエンゲージメントを定量化する手法を開発するなど、生産性を測る新たな尺度として世界的な注目を集める。人事コンサルのリンクアンドモチベーションの調査では、エンゲージメントが高い企業の方が収益性が高い傾向にある。

日本は諸外国に比べてエンゲージメントの水準が低い。17年の米ギャラップの調査では、「自分の仕事に熱意を持っている」と答えた人の割合は6%と世界平均(15%)の半分だった。米国(33%)やシンガポール(23%)に遠く及ばない。
米国に本部を置く国際的な調査機関、グレート・プレイス・トゥ・ワーク(GPTW)が今年2月に発表した、世界60カ国の7千社を対象に実施した調査でも、日本企業の4割が働きがいは「低下傾向」にあると回答した。働きがいの底上げなくして生産性の向上はおぼつかない。
何が必要か。リクルートマネジメントソリューションズが2月に発表した全国約600人を対象にした調査がある。働きがいを高める制度として上げた人が多かったのは、「社内公募などで配置が実現する仕組み」(44.7%)や「自分の希望に応じて特定のスキルを学べる研修」(49.8%)。柔軟で自由度の高い人事制度が処方箋の一つといえそうだ。
だが現状、日本企業では職務内容に限定がない「メンバーシップ型雇用」が圧倒的な多数派。転勤や異動を拒否することはできず、キャリア形成はもっぱら会社任せだ。コロナを機に職務内容を細かく規定した欧米型の「ジョブ型雇用」を導入する企業も増えているが、働き手の主体的なキャリア形成を後押しする仕組み作りが不可欠だ・・・

このホームページや、拙著「明るい公務員講座 管理職のオキテ」で取り上げている課題です。

働かない職員を作る職場

ある若い公務員が職場を移り、新しい職場の特殊性を報告してくれました。「どうしてこの職場は、職員が仕事を積極的にしないのか」という驚きです。

・答弁作成が割り振られそうになると、まずは「それは私の仕事(私の課の仕事)ではない」という理屈を考える。防衛に成功すると、褒められる。
・新しい仕事に取り組む際に、他部局に問い合わせて確認することを渋り、「ああかな、こうかな」と想像している。
・解決策を考える際に「効率的か」「論理的か」というより、「批判されないかどうか」に重きが置かれている。
・問題点の評論はするが、解決策は提示しない。

そして、「『明るい公務員講座』に書かれているような、悩まないで仕事をする方法、効率的な仕事の方法は、実践されていません」とも。
う~ん、職場の風習「社風」は恐ろしいものです。仕事が人を作るといいますが、職場も人をつくります。よい方にも、悪い方にも。「朱に交われば赤くなる」ですが、黒くなる場合もあります。

優先順位を体系で示す

総花と優先順位と、切る勇気」の続きです。

「政策の階層」で示したように、政策の重要性を階層で示すことが重要です。
優先順位をつける場合も、バラバラにつける方法と、体系にして示す場合があります。相互の脈絡のない優先順位は、わかりにくいです。なるべくわかりやすい政策体系を示して、多くの施策をその中に位置づけると、関係者は仕事がやりやすくなります。また、部外者にとっても、理解しやすくなります。書物の場合は目次であり、分類の場合は体系分類(系統樹)です。

『明るい公務員講座』109ページで書いたように、人間の頭に入るのは、3つまでです。それ以上の項目がある場合は、2つか3つに分けた大分類の下に、中分類や小分類を作って、そこに並べると頭に入りやすいです(といいつつ、このホームページの大分類は、左の黒い場所を見てもらうと、6つもあります。本の目次と思ってください)。

麻生太郎内閣総理大臣の時代に、総理の目指す日本を簡潔に「麻生総理の主な政策体系」として示しました。
東日本大震災直後の被災者生活支援本部では「現地の課題と本チームの取り組み」という形で、またその後の復興庁では「復興に向けた道のり」や「復興の現状と課題」という形です。

これらは非常に簡潔な姿になっています。もちろんその後ろには、もっと詳細な施策や資料があります。でも、関係者や部外の方に理解してもらうには、まずは1枚が良いのです。さらに知りたい人には、詳しい資料を見てもらいます。

総花と優先順位と、切る勇気

半年ほど前に書いて放置してあったのですが、「政策の階層」を書いていて思い出しました。

仕事をする際に、やるべきことの優先順位をつける必要があります。
個人でも職場でも、やるべきことややりたいことは、たくさんあります。能力ある人は、そうでない人よりも、たくさんのことを処理することができます。とはいえ、一人でできることは、限られています。すると、優先順位をつける必要があります。
そして、組織として仕事をする場合には、部下や関係者に、優先順位を示す必要があります。

何でもかんでも取り組むというのが、総花(そうばな)です。それに対し、どれを優先するか順番をつけるのが、優先順位です。
優先順位をつけるということは、優先しない項目を決めるということです。すると、その項目の関係者からは、反発が出ます。そこを説得し、納得させる能力があるかどうかが、次の課題になります。すなわち、優先する順位をつけることより、捨てる順位をつけることが重要なのです。
この項続く